5-14.ドラゴン襲撃
全員でお昼ご飯にカレーを食べた。
大工さん達にも振る舞い、大変喜ばれました。
ただ、こちらではあまりお米を食べないこともあり、カレーライスよりも焼いたパンをナン替わりに食べる方が人気だった。
食事は食べ慣れていないとなかなか難しいのかもしれない。
まあ、用意していたお米は私達だけでも食べきっていたけどね。若者組の食欲はやっぱりすごいな。
師匠は私達と同じものを食べていたので、今後は米メインになる。
食事後、大工さん達は休んでもらうように伝え、戦闘ができるメンバーを集めて、作戦会議を行う。
「作戦会議って何をするんだ?」
レオニスさんと仲間全員(ルナさん・リュンヌさんを除く)が集まった。
「ここが襲われる可能性があるので、非戦闘員や戦えないペットもいるから被害を出さないように事前に作戦をたてます。レオニスさんには申し訳ないのですけど、師匠が心配なので、もしもの場合には守ってもらってもいいですか?」
「ああ、構わないが……お前らが揃って、もしもがあるのか?」
シマオウがこちらに戻ってからは魔物が全く近づいてこなくなり、危険は無くなったため、ジュードさん達もマーレに帰っている。
レオニスさんは今日、ルナさんの様子がおかしいため、ギルドを休んでここにいるわけだけど……。
ギルド休んでばかりだとクビになるんじゃないかなとか、考えてしまうけどね。
「相手が空を飛べるので、私達を無視してそっちを狙う可能性があるのかなと……」
「空を飛ぶ魔物だと、確かに厄介だな。だが、何でわかるんだ?」
「諸事情がありまして、竜玉。……ドラゴンの位置が把握できる物を所持しています。これですね」
スペル様から借りている竜玉を取り出す。
竜がいる場所がわかるし、逆に竜からもこの宝玉については察知できるらしい。
でも、スペル様からはこれがあれば襲ってこないと聞いていたんだけど……。
普段は雷のような光とかが浮かんでいるのだけど、今は緑色で風が吹き荒れるような状態に変わっている。そして北側から近づいてきているというのも確認ができる。
「ドラゴンがこっちに向かってきてます」
私の言葉にルストさん以外の全員が呆れた顔になった。
確認できる竜玉を持っているだけで、私が原因なわけではない。
「私のせいじゃないから!」
「いや、まあ、そうなんだろうけどさ。実際、クレインがいる場所で何か起こるんだもん」
「そもそも、ドラゴンがルスト達を襲う可能性は最初から聞いてただろ。あまりクレインを責めてやるな」
レウスも兄さんもフォローになってない。私がいるから騒動が起きるわけじゃない。
私が帰ってくるまで平穏だったとか、クロウもぼやいている。
私が帰ってきたから襲われているわけではないと主張したいところだけど、おそらく、ルストさん以外のみんな私がトラブルメーカーだと思っている。
事前に危険が分かるからこそ、ちゃんと対策しているだけなのに……襲われる前に対策練ろうって言ってるんだから、協力してほしい。
「ドラゴンが攻めてくるという割には随分と落ち着いてるな」
レオニスさんの言葉に苦笑する。
だって、戦力は十分ある感じがしてる。
「いや、今回は様子見なのか、全く、命の危険は感じてないので……出来れば、生け捕りにしたい。ただ、他にもなにかいそうなので、警戒は必要です」
「そうか……対空の戦いだと、魔法や弓が必要になるが、準備は?」
「弓は兄さんが使えます。レウスとアルス君も練習はしてたけど……」
「無理無理。ドラゴン相手には効果ないよ」
「弓も出来なくはないが、刀を振り回している方が好きなんだがな。今回はナーガ達に任せるか」
レオニスさんの確認に、弓を使うメンバーをあげるけど、レウスがあっさりと否定。
そもそもの精度が兄さんのが高いし、多少の練習はしているが戦力としては数えられないという。
兄さんだけが牽制も含め、弓で戦うことになった。
「魔法は私とクロウですね」
空から叩き落すための人員が足りてないと、師匠への危険が増すから兄さんは後衛にまわってほしい。兄さんも魔法も撃てるので、臨機応変にやってほしい。
レオニスさんも師匠側の方で控えてくれるということになった。ただ、前線は自由に戦えということで、席を外してしまった。
あまり口を出す気はないということだろう。
しかし、ドラゴン相手でも戦力としても申し分ないという判断か。
いや、兄さんとナーガ君が化け物だし、レウスやアルス君も強くなっているからだろう。
「では、具体的に決めていくとして、ルストさんとティガさんはどうしますか?」
「うん? 参加するよ」
「わたしは参加しよう。彼女達は不参加ということかな」
「正直に言うと、魔物見て逃げ出されたり、恐怖で動けないという状況になってしまうと混乱で戦線崩壊の可能性があると判断しています」
戦いにおいて、混乱する味方って対処に一番困ると思う。予知夢で見て駄目なら、実戦には厳しい。
「実戦経験がない上にあまり戦闘に向いている性格でもなく、組み込まない方がいいです。混乱して、悪魔の力を使ってしまうとそっちの方が対処困るので、ルナさんは不参加。そうするとリュンヌさんも無理に参加してもらう必要はありません」
逃げ出して、魔物が追いかける事態になるのが一番困る。ルストさんがその可能性あるなら、ルストさんにも外れてほしい。
そう思って視線を向けるが、こくりと頷いて「大丈夫」と返ってきた。
「では、ルストさんも後衛で参加。複数いる可能性を考慮して、二組に別れます。ルストさん、ティガさん、私、アルス君で一組、兄さん、ナーガ君、レウス、クロウで一組。不満ある人いますか?」
「俺とルストを変えてくれ。こんなガンガン攻撃する側にいれるのはやめろ。だいたい、役割が被っているだろう」
「う~ん。まあ、兄さんとクロウは覚えている魔法がかなり被っているのは事実で、被らないルストさんの方がいいのもわかるけど……メイン攻撃側にルストさんが入るとノリについていけないかなって思ったから」
クロウが言うことは正しい。種族適正なのか、風・雷魔法は二人ともほぼ同じ魔法を覚えている。魔法攻撃力はクロウのが高いけど、基本的に魔法のスペックは変らない。クロウが出来ることは兄さんも出来ると言ってもいい。
たしかに、メンバーがガンガンいこうぜという編成だけど、タンクとしての安定感ならナーガ君のが高い。安全度はそれなりに担保してある。
「ルスト、君の意見はどうだい? こっち側はおそらくメインで魔物と対峙する側になるそうだ。どちらがいい?」
「そうだね。僕がそっちのイケイケパーティーに入るよ、クロウと交代で」
「クレイン、それでいいかい?」
「うん。本人の意思で納得しているならいいと思う。一応言っておくけど、ヒーラーがいないから無茶はしないようにね? 私も近くにはいると思うけど」
「キャロを側に置いておけば、気が向いたら回復してくれるよ」
兄さんの確認で、本人の意思も確認した上でトレードが成立した。
しかし、レウス……気が向いたらでいいの? いや、ピンチになったとき、回復がないのは辛いから、気が向いたときだけでも回復があるだけいいのだろうけど。
「……流石に、危険になる前に下がってくれる? 私も気を付けて回復するように動くから」
「オッケー!」
「ドラゴンは私がメインに、増援が来た場合には兄さんのパーティーが対処。おそらく、どちらも飛べることが前提になるので十分気を付けて」
後ろに逃がした最終手段として、レオニスさんがいる。
ディアナさんにも一応言っておこう。ヒーラーなので戦力外だけど。
「せっかくの畑とかを戦場にしたくはないが、どう思う?」
「誘導できるかはわからないけど、戦いは牧場側かなとは思っている。最悪、牧舎とかが壊れても被害は少ないから」
「……戦える魔物は参加していいか?」
「うん。ナーガ君に任せるけど、畜産用の仔達は避難させてね。あと、オリーブは私が借りてもいい? 私が指示出したい」
「……いいか?」
「シャラァ……」
オリーブは不満そうに鳴いたが、それでも私の足元に寄ってきた。
私の横で待機するらしいので、「よろしく」と伝えておくと「シャ~」と返ってきた。何を言っているかはわからない。
せっかく整ってきた土地に被害を出したくないので、北側で迎え撃つ。そして、ドラゴン相手だからか、何となくだけど、オリーブが鍵のような気もしている。
「ちなみに、襲ってくる時間は?」
「そこまで精度が高いわけじゃないから。兄さんが見える限りでいいので、見張りをお願い」
作戦会議をして、各自準備。
ナーガ君が蜂も戦闘に参加させるとは思わなかったけどね……。
新しく仲間になったハニービーの一部が戦うみたいだけど、大きい虫って気持ち悪い。
偵察を頼むと、飛行できる高さは結構ある、誘導とかには便利かもしれない。
出来る限り、こちらが優位になる場所で戦いたい。
「ぐる~」
「シマオウ。よろしくね」
牛舎の屋根にて、待機していたらシマオウが登ってきた。いや、ぴょんと飛び越えてくるあたり、跳躍力がすごい。
風魔法を使ってブーストしているのだと思うけど、上方向に使うのが難しく出来ない。
シマオウがすり寄ってきたので、頭を撫でる。なんだかすごく久しぶりなので和む。モモも一緒にしばらく戯れてると、兄さんがしゅたっと屋根に上がってきた。
「クレイン。来たぞ……緑のドラゴン、その後ろにワイバーンが4体だな。戦闘態勢!」
兄さんの号令で、全員が武器を用意する。だけど、兄さんが見えているだけで、私にはその方角に豆粒も見えていない……。
いや、なんか小さな緑のが光って見えたような気がするから、あれがそうかな?
「モモ。レオニスさんに襲撃を伝えてくれる?」
「な~」
避難しているレオニスさん達に、念のため、警戒するようにと伝令としてモモを送る。
まだ距離があるので、準備も十分に出来そう。
近づいてきたら、最大級の魔法を放つために魔力をゆっくりと溜める。
「かっこいい! 本当にドラゴンだ!」
「かっこいいね~」
「レウス、ルスト……まじめにやりなさい」
レウスが興奮して、ルストさんが感心しているけど、これから戦闘なのに気が抜ける。ティガさんが注意してくれているけどね。
「やれやれ……どうするかねぇ。あのドラゴン、どう見ても風属性だろう。俺よりも高位だなぁ」
「クロウ。ワイバーンは魔法耐性はそこまでないからそっちに参加する? クロウの雷魔法で十分に叩き落せると思う。ワイバーンが4体いるなら、数的にもそっちに応援に行ってくれる?」
「結局、そっちかぁ……」
うん、まぁ……直感さんの陰ながらのお仕事だと最近は気付いている。
風属性の可能性は言ったと思ったのだけどね……。まあ、ドラゴンの方を兄さん達に任すという方法はあるのだけど……生け捕りにしたいからね。
「ティガさん。アルス君は引き続き、対ドラゴンでお願いします」
「承知したよ」
「う、うん……頑張るよ」
「まあ、叩き落さないと何も出来ないので、少々お待ちください」
目の前に迫ってきたドラゴンに一発ぶち込むための魔力は十分に溜めている。ついでに、ワイバーンも巻き込みたいところだけど……。
もっと怖いかなと思ったのだけど……なんか、思ったほどドラゴンに脅威を感じていない。それよりも後ろについてきているワイバーンの方が逃がすとまずい。
「大丈夫なんだな?」
兄さんが心配そうに確認を取るけど、多分、クロウは魔法属性の問題でこちらでは戦力外なので、一人かけても問題はない。
ドラゴンは魔法耐性も高いけど、ワイバーンはそこまで高くないはずなので、兄さんのパーティーのが活躍できる。
「オリーブがいれば、水魔法で牽制もできるから大丈夫。魔法で威嚇したあとは、こっちで対処できるよ」
兄さんの確認に頷きを返して、剣を構える。他のメンバーも各自準備が出来ている。
「ドラゴンと後ろワイバーンの間に広範囲の魔法を放ちます…………裁きの光〈ジャッジメントレイ〉」
広範囲で聖魔法の無数の光線がドラゴンとワイバーンを襲う。
ただ、ドラゴンはその場で止まって羽を広げ、ほとんどの攻撃を受けた。そのせいでワイバーンにはほとんど当たらなかった。残念、失敗か。
やっぱりドラゴンの魔法耐性が高いな。かといって、皮膚が固いから物理攻撃に対しても防御力が高い。
「クロウ、合わせろ! 雷を落とす」
「やれやれ……」
「「……落雷〈サンダーボルト〉」」
おおっ。
兄さんとクロウが同時にワイバーンに魔法を放った。
ずど~んっと大きな音を立てて、一体が地面に落下した。
クロウの魔法攻撃でワイバーンが一体、墜落した。同じ魔法であっても、クロウはINTが高い分威力が高いからだろう。
兄さんが放った方のワイバーンは持ちこたえている。
「PUUUUU!」
しかし、兄さんが魔法を撃ったワイバーンにもロットが追撃の雷魔法を放った。さらに追撃をして、2体目が撃墜。下で待ち構えていたレウスとナーガ君により倒されている。
残ったワイバーンはクロウが脅威と思ったのかクロウに向かっている体当たりをしようとしたところで、ナーガ君が止めて、レウスがワイバーンに飛び乗っている。
あちら側は、問題なく倒せそうだ。
「さて……こっちも、行くよ」
眼前に迫ってきた緑色のドラゴンと向き直る。先ほどの聖魔法攻撃は効いていないかと思ったけど、よく見るとダメージは入っているらしい。
先ほどまで緑に輝いていた皮膚がところどころ汚れているように見える。
ドラゴンがほぼ真上に陣取ったところで、再度、魔力を溜める。
「オリーブ、水を噴射してくれる? あっちのブレスに合わせてね」
「しゃ~!」
私の指示で、オリーブは大きなサイズに戻り、ドラゴンが上空から風と火のブレスを吐き出したのに合わせて、オリーブも水のブレスを噴射してくれた。
オリーブの攻撃に合わせて、私も魔法を唱える。
「水の槍〈ウォーターランス〉! 氷結〈フリージング〉!」
水魔法で水の槍をドラゴンの羽に突き刺し、その瞬間に水の槍を凍らせる。
濡れている羽の付け根部分を一瞬で凍らせる。だけど、羽が動かない状態でも、風魔法を使って浮いている。
それでも先ほどよりは飛行が不安定になって、ブレス攻撃が止まり、オリーブの水のブレス攻撃が直撃している。
「氷結〈フリージング〉!」
そのまま、ずぶ濡れのドラゴンの皮膚の表面を凍らせるとドラゴンがそのまま落下。
ワイバーンの時よりも大きな音とともに、地面が揺れた。
流石の巨体。バランスを崩しそうになった瞬間にドラゴンが咆哮した。
「GYAAAAOOOOOO!!」
まずい!
ティガさんの方を確認すると至近距離で咆哮を受けたせいで、耳を抑えている。
ふらふらとしているティガさんの前に立って、庇う。
「光回復〈ヒール〉! 状態異常回復〈リフレッシュ〉!」
ティガさんを回復しつつ、ワイバーン側を確認する。
雷魔法で感電していたはずのワイバーンの目が赤くなり、動き出している。
「狂暴化状態だ! 攻撃力が上がる! 気を付けろ!!」
クロウが視たことを大声で伝える。ただ、そんなことよりも、咆哮の効果が心配になる。
ちらっとレウスを見ると、水竜の時と違い、影響はないらしく手を振っている。
ナーガ君はと確認をしようとしたら、咆哮が再び聞こえた。
「GYAOO!」
短い咆哮はナーガ君だった。そして、その咆哮を聞いたワイバーンがぴくっと反応した後、動かなくなった。
「ナーガ君!!」
「……ああ、大丈夫だ」
ナーガ君も正気だった。
あの咆哮もワイバーン達を大人しくさせるためだったようだ。
だけど、あの咆哮の後、ドラゴンの方の様子がおかしい。
「ティガさん、大丈夫です?」
「ああ、すまない……少しふらついたが、もう平気だよ」
ドラゴンはさっきまでこちらに対し敵意を向けていたのに、戸惑っている。いや、多分、ナーガ君の咆哮で怯えている。
何が起きているかわからず、ちらっとナーガ君の方を確認すると何故かナーガ君の前で頭を下げているワイバーン2匹。
しかも、もしかしなくても、テイムしようとしている。いや、いいけど……仲間を2体殺してしまっているのに、テイムできるのだろうか?
でも、オリーブの時も同じような状態だったから、亜竜種の場合は強いものに従うということなのかな。
「えっと、攻撃していいのかな?」
「さて、どうしようか?」
「とりあえず、捕らえます。…………蔦の檻〈アイヴィーケージ〉」
アルス君もティガさんもドラゴンに攻撃することに戸惑っていた。私も戸惑う。
出来れば、魔法でドラゴン縛り付けて、逃がさないようにする。
兄さん達もワイバーンとの戦闘終了と判断して、こちらに向かってきている。
「ヒドイでちっ!」
「うん?」
何だか、甲高い声が聞こえたと同時に蔦で拘束していたはずのドラゴンが姿を消した。
まずいと思って駆け寄ろうとしたとき、シマオウがドラゴンがいたはずの場所にどさっと飛び掛かった。
「がぅ!」
「シマオウ?」
慌ててシマオウに駆け寄ると、右足で全長30センチくらいの緑色の物体を圧し潰している。羽のようなものを動かしているので、おそらく、先ほどのドラゴンだと思う。
「そっか……オリーブと同じで小さくなれるのか。ありがとう、シマオウ」
「ぐるる~」
シマオウにお礼を言って、しばらくそのまま拘束をしてもらう。ヤコッコ用とかの小動物用に用意した檻を持ってきて、その中にドラゴンを入れて、聖魔法の反射〈リフレクション〉をかけて、檻を壊せないようにしておく。
希望通りにドラゴンを捕獲できたのは良かったけど、何となくしまりがない終わりとなってしまった。
「さて……ドラゴンは何を食べるんだろうな?」
兄さんが餌の心配をしているけど、飼うつもりではないのだけど……。
出来れば、ドラゴンの長への取次ぎのために捕獲するつもりだっただけで、ペットにするつもりはない。
「ナーガ君」
「……無理だろう」
テイムをするつもりはないらしいので安心をした。
後ろにいるワイバーン二体はテイムしているように見えるんだけど。
二人くらい乗せられそうな大きさのワイバーン。
とりあえず、この仔達も飼うのであれば、もう一つ、牧舎を建てる必要があるかな。ワイバーン用か。何か資料とかあったかな。
「とりあえず、お疲れ様でした」
「お疲れ~」
「お、お疲れ様です」
戦闘終了ということで、挨拶をしたけど……返してくれたのはレウスとアルス君だけだった。
「さて、俺は休ませてもらうぞ。婆様とレオニスには終わったことを伝えておく」
「あ、クロウ。俺が行くからここに残って。クレイン、俺とアルスで避難させてた魔物を牧舎に戻す作業するね、行こう、アルス!」
「えっ、うん」
「僕もいいかな」
ルストさんもレウス達についていったので、残っているのは、私と兄さんとティガさんとナーガ君。そして、逃げようとしたのに残るように言われてしまったクロウ。
いや、ナーガ君はワイバーン二体に他の仔たちを襲ったりしないようにとしつけているので、こちらに参加する気は無さそう。
せっかく捕まえたドラゴンの話を聞かせてもらおう。




