5-10.ペット強奪
レウスとアルス君は駆け込んできた。
「クレイン! なんか、キャロとロットが奪われた!」
「ああ、うん……やっぱりね」
昨夜の時点で、すでに予感はあった。
ナーガ君の所有物からレウスとアルス君に移すと、あの子達を欲しがる貴族が出てくる気はしていたんだよね。予想よりも早かったけど……さっき、ナーガ君から貸し出しの手続きをしたばっかりだったのに、ほんの1,2時間で動くのもすごいなと思う。
「相手の貴族の名前、わかる?」
「わかんない……なんか、テイマーギルドの人にキャロとロットが売却されることが決まったとか、よくわからない説明を受けただけ。相手の貴族の名は言ってなかった」
「貸与契約を結んでいて、自分の物じゃないって言った?」
「言ったけど、関係ないとか……で、俺らは所有者を呼んでくるって言って、ここまできた」
いやいや、関係ないとかあり得ない。
ペットも財産なんで、勝手に奪えるはずがない。
でも、テイマーギルドもか……。
なんていうか、ギルドって貴族に対抗するために業種で集まって徒党を組んでいるんだと思っていたけど。
この世界のギルド……不正ばっかりしてない? まさか、この大きな街でもそんな馬鹿なこと起こると思わなかった。
どこにでも問題を起こす人がいるのはわかるけど……貴族に阿って、不正ばかりって組織として問題しかない。
「えっと、キャロが貴族の人を怪我させたとかで、その賠償としてキャロとロットを差し出すようにって……怪我の賠償だから、他に方法はないって……」
「アルス君。わかった、ありがとう。兄さんは手が離せないから、私が時間稼ぎするよ。テイマーギルドね?」
「おお、それならば相手の貴族の従者とテイマーギルド長を離宮に招いてくれ。俺と兄上が話を聞くと伝えるとよい。場所は用意しておこう」
「カイア様。ありがとうございます。申し訳ないのですが、騎士も一人貸してください」
「もちろん、良いぞ。連れて行くといい」
あっさりとカイア様の護衛騎士を一人借りることができた。名前はユーリさんというらしい。兄さんと挨拶しているあたり、知り合いっぽい。
「じゃあ、行ってくるね」
「……俺も行く」
「うん、ナーガ君。うちの子を奪おうとするなら徹底的にやらないと。ね、兄さん?」
「ああ。すまんな、手が離せないからここまで連れてきてくれ」
ナーガ君とテイマーギルドへと急いで向かう。レウスとアルス君には、宿に戻らず、ここで待機をお願いする。貴族に逆らったとか、連れ出されると危険だからね。安全確保できるまでは、兄さんから離れないようにと言っておく。
徹底的にやる許可はもらった。うちの子に手を出さないようにしっかりとやり返す。
テイマーギルドの受付にて、面倒事が起きたと報告を受けたためキャロとロットを引き取ることを伝える。
「困りますね、人に怪我をさせた魔物ですよ。本来、処分対象となります」
「うん、それで? うちの仔を勝手に奪う理由にはなってないよね? うちの仔は返してもらう。必要なら、相手と直接やり取りをするけど、譲り渡す気はない。上の人を呼んで」
ギルドにて、預けているキャロとロットの引き渡しと、ギルド長を呼ぶように命じるが職員は面倒臭そうで、従う意思を見せない。
「貴族の方を怪我をさせたのです。そして、その魔物を引き渡せばなかったことにするとおっしゃっております。そちらが原因ですから、諦めてください」
「ギルドの不祥事を隠蔽するために、うちの子犠牲にするつもりはない。諦めるとか軽々しく言わないでくれる?」
希少な魔物に進化したから、欲しがる人がいるのは理解していたけど。
だから、誰かに譲るとかはあり得ない。キャロもロットも私たちの家族だ。
「困ります。人に怪我を負わせた魔物は処分対象です」
「困ってるのはこっち。なんで、預けた魔物を暴れさせてるの? 何のために預けるのかな? ギルドの存在意義も理解していないの?」
テイムした魔物は基本的には人に危害を加えようとしない。
狭く不快な状態でずっと放置されると暴れることもある。だから、宿の厩とかでなく、広いテイマーギルドに預け、大金を払っている。
魔物を安全に預かるための存在なのに、テイマーギルドで魔物が暴れて怪我をする状況を作っている時点で管理不足だ。
「暴れたときにその現場に他人がいるのも可笑しいけど。本当にケガをしたとしても、当事者同士で話し合いするよね? なんで、すでに譲り渡すのが確定事項になってるの? 貴族同士のやり取りにわざわざギルドが介入して、一方的に決めることが出来るの?」
「貴族同士では……」
「ああ、メディシーアは貴族ではないという認識なんだね。それでも、こちらの意見も聞かずに、勝手に強奪することは出来ないけど。一方に加担したテイマーギルドの信用が地に落ちるよ。何人の首が飛ぶかな」
「は?」
子どもにもわかるように説明してあげる、という態度でこちらに接してきた職員だったので、こちらもわかりやすいように言ってみたが、理解できていないらしい。
「こちらの全力で相手するって言ってるの、わかるかな? メディシーアは子爵。王弟殿下の庇護も受けている。うちの子達を奪おうとした貴族も、それに加担したギルドも、徹底的に戦うよ。あなただと話にならないのはわかった。もう一度言うよ、ギルド長呼んでくれる?」
うちのペットを勝手に譲り渡す手続きをした人達を許すつもりはない。受付程度では話にならないからギルド長を呼んでくれるようにだけ伝えた。
しかし、ギルド長はあほだった。貴族の従者のような人を従えて、キャロとロットに似合わない成金趣味の首輪を取り付けて無理やり引きずるようにして現れた。
それ、すごく悪手だよね。まあ、こちらとしてはやりやすいからいいのだけど。
「この兎達の元持ち主ですかな? 我が主、ヴァルスト子爵より譲り渡すのであれば大事にする気はないと仰せですが……」
「そう。こちらは大事にするから、安心してください。ヴァルスト子爵っていうと、たしか、ヴァルト伯爵家に従属してる子爵家?」
私が記憶をたどるようにつぶやくと、後ろで、ついてきてくれた騎士が「その通りです」と肯定してくれた。
「なるほど、本家のために仕返しとしてメディシーアに喧嘩を売ってるんだ? そっか、そっか……まあ、そんなことはどうでもいいや。離宮にて話し合いの場を設けるので、奪おうとする貴族の従者とギルド長は離宮に出頭するように、セレスタイト殿下から命令です。はい。これが命令状ね?」
私が手紙が読めるように広げて、内容を確認させる。
従者の近くにいた護衛らしき人が、書状を奪おうとしてきたので、足を払って転ばせて、起き上がれないように胸のあたりを踏みつける。後ろの騎士の人は止めようと動いていたけど、遅い。
「んぐっ」とくぐもった声が漏れ、他の職員たちがこちらを取り押さえようと構えたので、にこりと笑って牽制する。
「邪魔しないでくれる? あ、そうそう。名乗ってなかったね。クレイン・メディシーアです。……一応、子爵令嬢だからね、異性が勝手に触れられるようなことが無いように自衛しただけだから、正当防衛ね? そっちが手を出してくるなら、こちらも抵抗させてもらう……で、ギルド長? 出頭するの? しないの?」
「は?」
私自身は生意気な小娘のように振舞いながら、周囲を観察する。メディシーアの名前に「噂の……」とか色々と小声で囁いているが、気にしない。
前の時でも、悪評は流れていた。それを気にして、こんな馬鹿なことを許すなんてできるはずがない。
「セレスタイト様の直筆の書状だよ。兄、グラノス・メディシーアが事情を聞きたいって言ったら、場所を貸してくれるって。こちらはそれを見届けるためについてきてくれた騎士の方。カイアナイト様付きの騎士だから、公平に物事を見てくれるよ」
その言葉に、先ほど受付をしていた女性は土下座体勢になった。
うん、私への態度が褒められたものでなかった自覚はあるらしい。
「そっちの従者の人。主の子爵様を呼ぶ手配をしたら? まあ、あなたを拘束した後で呼び出すのでも、十分だろうけどね」
「わ、わたくしが、す、すぐに呼んでまいります!」
ギルドの職員の一人が走り去っていった。逃げたね……多分、直接なにかをやった犯人ではないから、見逃しておこう。
「……事情を知っているギルドの職員も一緒に出頭してね? すでに大事になってるけど、仕方ないよね? 公正な場でお互いの主張をしないと、一方的に決まったことのように伝達されちゃったから」
「お、おまちください!」
がたがたと震えている従者は無視して、ギルド長に意思を確認する。
従者の方はメディシーアの名前が出てから顔色が悪かったが、殿下達の名前が出た瞬間から震えている。ギルド職員が呼びに行くのも、小さな声で「駄目だ」と呟くだけで止めなかった。
最初はすごく偉そうに振舞っていたのに、メディシーアと本家のヴァルト伯爵家との揉め事を知っているのか、自分たちが何をしたのか悟ったらしい。
誤解だというには、因縁がある。しかも、直近で。風化するほどの月日が流れていないため、ペットを奪うなんで出来ないことも、自分たちのやらかしで本家すら窮地になることを悟ったらしい。
「待たないよ。うちの子達が怪我させたっていうんだから、それを公式の場で証言しなよ。その上で、怪我した貴族の治療費を必要なら払うよ。でも、この子達を奪うなんて許さない」
「PU! PUPUU!」
ロットが抗議の声を上げたので、わかってると頷きを返す。
「わかってるよ、ロット。キャロもロットも何かされない限り、暴れたりしないって……すべての事情を明らかにする。……他の子達と引き離して、暗くて狭い場所に押し込んだり、餌に何か仕込んでいたり、痛めつけたり……この子達が暴れる理由、職員が作ってないといいですね、ギルド長? 原因がギルド側にあるのに、所有者からテイムしている魔物を取り上げようとしていたなんて、テイマーギルドの根幹に関わる重大事件だから……どうなるかな?」
私の言葉に顔色を青くしているギルド長。
むしろ、貴族の従者を連れてどうどうと出てきた時点で、穏便に済むと思ってたんだろうけどね。ナーガ君の所有が分かりにくくなったとはいえ、ちゃんと調べればわかったはず。所有者が分かりにくくなったのは数時間前なのに、なんでこんなバカな行動したのか。
「希少な進化をしたダッシュプースを奪う……テイマーギルドはそういうギルドなんだね? 預かっている魔物の情報を外に漏らして、買い手を探して? 飼い主には非があると思わせて、奪う。帳簿も持って行った方がいいかな。探してもらえますか?」
ついてきてくれた騎士に頼むと、家探しを始めて、帳簿を二冊もって戻ってきた。やっぱり裏帳簿あるんだ……組織的に常習犯だね。
「テイマーギルドと貴族の癒着か……これ、ばれたらまずい貴族も多そうだね。従者さん、これから大変だね?」
「……あ、その……」
「私たちに奪った事を見せつけるつもりだったのかもしれないけど……言い逃れ出来ない状態にしたのは、そっちだからね。ご愁傷様」
震えている従者に威圧をかけると従者はその場に座り込んでしまった。
この件が公になって困る貴族が、メディシーアを攻撃する? こちらは被害者であることが主張できるし、不正を暴いた側だからね。
間違いなく、元凶の従者とその主が恨まれる。
「……クレイン、落ち着け。とにかく、出頭するか、しないか……どっちだ?」
ナーガ君がどうどうと肩を叩いて止めて、あちら側の出頭の意思を確認。
だけど、はっきりとした答えは返ってこない。
「あ、いえ……」
「…………うちの子に手を出したんだから、覚悟してね? 全部、明らかにするから」
にっこりと笑って、キャロとロットに近づき、勝手につけられた首輪を取り外す。首輪についていた紐の先は従者がもっていたので、首輪をぽいっと従者に投げて渡す。
「ぷぅ~」
「ぷぷっ!」
「ごめんね。痛いことされた? 嫌なこともかな……ちゃんとやり返すから、待っててね?」
二匹を撫でるとこくこく頷いてから、私とナーガ君の後ろに隠れた。
唸ったりもせずに普通に大人しくしているので、こちらの言うことは理解している。
「この子達はメディシーアのペット。貸し出したのだって、クランの仲間だからであって、他の奴に譲るなんてありえない。ギルド長も処罰対象になる職員を選んでくれる? 庇うのであれば、その人も許さない。ああ、職員は動かないで? この場から動いたら証拠隠滅しようとしていると見做すからね」
「……クレイン、落ち着け」
「ナーガ君、落ち着いてないように見える?」
「……見える。似合わないことはやめておけ……お前がやらなくても徹底的にやるだろ、グラノスが……不祥事を見逃すような王弟殿下でもない」
この先を兄さんがやることは間違いないんだけど……キャロが怪我している。つまり、ロットはキャロを助けるためにやったとかだろう。
虐待して、反撃受けたら賠償のために譲り渡せ……性質が悪い。
「メ、メディシーア様、その、何が起きていたのか、わたくしは存じませんので、調査の時間をいただきたく」
「そっか……」
ギルド長が今更、調査をするとか言い出したけど、遅いよね。逃がすはずがない。
「じゃあ、私が指名する人達は一緒に出頭してもらう。不甲斐ないテイマーギルドの調査で時間かかって、殿下たちを待たせるのも困るから、関わった人は私が指名する」
「は?」
「いいよね?」
文句は言わせない。
こちらの態度にギルド長が力なく頷いたのを確認する。
じっと一人ひとりに視線を送りながら、直感を発動させる。
うん、ちゃんと関わっているかどうかがわかる。便利だよね……まあ、多用するつもりはないけど。
「君と君、そっちも……ああ、後ろにいる隠れようとした人と、この足元の護衛もね。あと二人かな? 全員集まって欲しいところなんだけど、勝手に密談されても困るしね」
「あの、この場にいないのは副ギルド長と飼育担当が数人でして……」
関わっていないだろう職員に声をかけると、どうやらこの場にいないのは副ギルド長と飼育担当者だけらしい。おどおどした態度で発言してきたので、呼んでくるように頼んだ。この人は多分、無関係だしね。
「ギルド長ではなく副ギルド長が主犯か……でも、従者と現れた時点で、ギルド長もこっちに非を押し付けたから同罪。上二人の椅子が空いたら、運営大変そう」
「っ!?」
キャロとロットの担当をしていた飼育担当と副ギルド長が呼ばれてきて、全員そろった。これ以上は関係者はいないので、離宮についてきてもらう。
怪我をしたという貴族本人は別だけどね。従者を捕らえたからいいか。呼びに行ったけど戻ってこなかったから、離宮に戻った後に呼び出すとかをすればいいはず。
「な、なんで?」
指名を免れた人達ががくがくと震えて、疑問を投げかけてきた。恐ろしいものを見るような目でこちらを見てくる。
「この人達以外は、実行はしてない。見ているだけだったから無関係にしたんだけど、不満がある? まあ、見ていて止めなかったわけだし、無関係じゃないから処罰対象かな」
「ひっいっ」
「こ、これ以上は……これ以上は運営に支障が出ます。どうか……メディシーア様、どうか、お許しいただけないでしょうか」
「……立会人がいる場で、素直に証言をするんだな。こいつらとは別で、事情確認はくるだろう。……黙秘や嘘で誤魔化すなら……ギルドごと処分対象だろうな」
ナーガ君の言葉に、指名された人達に対し視線が集中する。貴族を嵌めようとした平民がどうなるかなんて、私たち以上によく知っている。
「じゃあ、行こうか。離宮では大人しくね?」
「ぷう~」
キャロとロットを優しく撫でつつ、ギルドを出て離宮へと向かった。
兎を連れて戻ったけど、離宮ではしっかりとキャロとロットを預かってくれることになった。
ギルドの人達はカイア様とセレスタイト殿下に引き渡し、私は錬金作業に戻る。逆に兄さんは調合作業を早めに切り上げ、対処のために席を外したという。ナーガ君とレウス、アルス君の3人でちまちまと詰め替え作業を手伝ってくれている。
夕方、着替えるようにと指示をされたので身なりを整えた。ドレスは嫌なので、薬師としての正装姿で、部屋を出るとカイア様が待っていた。
「一人ひとりから事情を聴取しておるが、本当に関わった者だけを連れてきたらしいな」
「全員、ちゃんと事実を話したんですか?」
数時間経っているけど、もう、全容が解明したのだろうか。
優秀だなと思いつつ、ラズ様がいなくて良かったと思う。「また、やらかして」とか怒られそうだからね。
「ある程度は、事実を述べているだろうな。実際には、お主らの兎に過度なストレスを与え続け、わざと興奮状態になるように仕向けた上で、貴族の前でむち打ちをしたことは確認が取れている。何故かその場にいた子爵は驚き、尻もちをついたそうだ」
「それが怪我の理由なら……あほかと……よく、そんな不正に力を貸したりしますね、理解できない」
「お主は固有種がどれほど価値ある魔物かは理解しておらぬだろう? 協力するだけで莫大な金が手に入ると思えば、愚かなことを考える者もいる。貴族という権利に阿る者もな」
私が手口も、関与した人も口に出して指摘したことで怯えているらしい。借りた騎士の人の証言もあり、テイマーギルドについては、処分が下されることが確定した。
子爵は呼び出されたが、逃亡しようとして街の入口で拘束されたらしい。
「随分と早くないですか?」
「メディシーアに問題を起こさせたいための捨て駒だからな。馬鹿な従者は理解していなかったが、子爵はわかってやっていたな。たびたび問題を起こすメディシーアが悪いと印象付けることが目的だな」
「ええっ……そのために、自滅するんですか?」
「ヴァルスト子爵家にはすでに立場がないからな。これで貶めておくことで、後ほど復権が約束されていたのであろうな」
貴族のややこしさは理解できない。テイマーギルドも迷惑を被ったという立場を手に入れたし、ヴァルト伯爵家の時に冒険者ギルドとも揉め事を起こしている。
薬師ギルドとも……。メディシーアの株が急降下しているということだね。
「なに、気にすることはないぞ。グラノスと俺の方で手を打っておくのでな。そなたはやりたいことをやっているといい。悪いようにはならない」
じわじわと真綿で締め付けるように、立場を奪っていくのが貴族の戦い方だというなら、確かに、向いていない。
「良い啖呵だったぞ。大切なもののためであれば、そなたが動くという印象を持たせることが出来たのでな。あれを全てグラノスに任せてしまうと悪評がさらに追加される」
「兄さんだけに背負わせるなんてしません」
「そうであろうな。あとは任せておけ」
その後は兄さんの独壇場だった。私とナーガ君も参加はしていたけど、一言も発することなく終わった。
テイマーギルドの処分も、子爵からの賠償も……公式の場で、メディシーアが謝罪を受けたという記録が残った。
そして、終わった後、兄さんだけ残して、私たちは宿に戻った。




