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異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【WEB版】  作者: 白露 鶺鴒
第三章

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3-29.スタンピード1日目夜 ため池


 川から100m位離れた場所にちょうどよく空き地になっていて、木々がなく、見晴らしがいい場所があった。

 この位置なら何かあった時にもすぐにわかるので、対応しやすい。ダムの高さは2メートルくらいあるので、ため池に流すための高低差は気を付けないとかな。


「今回のスタンピードが終わった後、出来る限り元に戻すので、ここにため池を作ってもいいですか?」

「ああ、許可をする。だが、ため池など短時間で作れるのか?」

「多分、ですけど……」


 ついてきていた双子に許可を取って、おおよそのため池と水路を地面に印をつけてから、魔法を唱えていく。


「土壁〈アースウォール〉」


 土魔法を使って、土を盛り上げながら、他よりも固くなるように魔法を使っていく。高さ1mの壁を円になるように作っていく。まあ、別に形に拘りがあるわけではないので、適当に壁を作っていく。


 これで壁の高さと固くした分だけ、ため池の中側の土が減っている。さらに下の土を固めるように魔法を使い、深さを2mくらいまで下げていく。


 だいたい、土壁〈アースウォール〉と合わせて、3メートルくらいの深さになった。魔法で土壁もかなり固くしているので、そう簡単に壊れることは無いはず。


 上流側はダムで2m高くなっているので、川から水を引き入れるときにも、その高低差を使えばなんとかなるはず……ちゃんと計算はしていないけど。


 後は、水がしみ込んでしまって、池にならない状態だと困る。

 とりあえず……木の板を敷き詰めておこうかな……多少間があっても、ないよりはきっといいはず。


 そこらに生えている木をサクッと風魔法で斬り倒して、幹の部分を2センチくらいの板になるようにスライス……。近くに人がいない事を確認して、MPポーションを一気飲みする。流石にMPが半分を切ってしまうと作業効率が落ちるので、飲んだけど……。


「異常状態回復〈リフレッシュ〉」


 昼間にもポーションを飲んでいるので、念のため……。



 ため池の底に敷き詰める板を敷き詰めていく。

 ついでに、ため池の形を長方形に直すことにした。板の形からして、長方形の方が上手く敷き詰められる。二度手間だけど、だいたい25mプールみたいな形に直して、真ん中に通路を作っておけば、多分、接近戦でも戦えるはず……落ちると危険だけど。

 後は適当に底に砂利を詰めておこう。魔法鞄を持って、川で適当に砂利を鞄に詰め込み、ため池の底に敷き詰めていく。


 まあ、形としては水が溜まってくれるはず……。川の様な流れも作るし、川の水を引き入れ、川の砂利も敷き詰めたから……魚を誤魔化せるといいな。

 


「調子はどうだ?」

「兄さん。ため池は出来たよ。下に板を敷いてから砂利を被せたから、水が土に沁み込んでしまうことも無いはず。あとは川に繋げる水路作るよ。頼んでた物はどう?」

「とりあえず、こんな感じだな」


 木で作られた水門……大きく、しっかりした枠を作ってある。悠々と魚が抜けられる大きさで、真ん中の溝に大きめの板が入る。開けている間は上で止まるようにもなっているので、使いやすそう。

 短時間でよく出来てるなと思ったら、アルス君が仕組みを詳しく知っていたらしい。実家で田んぼに水を引く時に使っていたから覚えていたそうだ。

 下流の方はこれで……流れを緩やかにすれば水圧とかの問題も何とかなるだろう。



「じゃあ、これを下流に設置するね。上流からはそのまま水を流すからもっと単純な板でいいかな。サイズも小さめで、このあたりに繋げるから……魚が通れないくらいにしたいから30㎝くらいとかでいいと思う」


 ため池の上流側からつなげる位置と上流と下流での水路の大きさを伝える。

 下流の方は、魚が通れる大きさにする必要があるけど、上流からのは魚が通れない大きさのが良いからね。その先に行けない様にするためにも、小さめでいい。


「わかった。それから、22時になる。あとはこっちで何とかするから、君は睡眠確保な。ポーションと魔丸薬の数から、絶対だ。MP回復してくれ」

「いや、ほら……MPは使ってるけど、なんとかなるから」

「ポーション飲んだよな?」

「な、えっと……一本だけだよ?」

「水路については俺らが徹夜で掘るでもいいんだが?」

「わ、わかった……あと一時間だけ! 一時間作業したら、寝るから」

「一時間な。まあ、6時間の睡眠確保できるから、それで手を打とう」


 兄さんから残り時間を設定されてしまったので、作業を急ぐ。

 水路も土魔法を使って、さくさくと作っていく。上流への水路は道幅も狭いので、あっさりと開通。流石に水を流し始めるのはまずいので、そこだけ土魔法で止めているけど、すぐに取り外せる状態。


 とりあえず、形にはなった。後は、倒した後の回収作業がしやすいように一部は階段状にしておこう。


 あとは、下流の方は水がちゃんと流れるように角度を付けて、幅広で……。

 一通り形になったところで、みんながいる方へと合流する。



 兄さんとアルス君で上流に取り付ける水門を作っているらしい。

 ナーガ君とレウスはユニコキュプリーノスの解体作業。その隣で笑いながら、双子が参加していることに驚いた。


 クロウとティガさんは先に仮眠を取っているとのこと。夜営の予定メンバーと変わってない? と思ったが、アルス君が作る構造を知っているので、交代したらしい。

 兄さんは少し目線を反らして、詳しく言わないということは、関わって欲しくないのだろう。


「やあ。出来たの?」

「いま、この水門に合わせて、川と繋げるところです。えっと、何してるんです?」

「忙しそうだからね。これくらいは手伝わないと終わらないでしょ?」

「うむ! 流石、兄君。助け合いは大事だ」


 いや、まあ……手伝ってくれるのは有難いけど、貴族にやらせていいのだろうか。多少上手くはぎ取れてなくても使い道はあるだろうしね。細かい事はいいか。

 兄の方はのほほんとした雰囲気と違って、しっかりと綺麗に解体をしている。逆に弟の方は意外と不器用なようだ。


 水門をしっかりと固定した上で、水路が完成する。水門を開いて水が少し逆流していくけど、まあ、問題は無さそう。

 きちんと上流から流れ込むようにするためには、ため池に水を溜める必要もある。



「じゃあ……私も手伝う」

「君は寝る。MPを回復させておかないと明日が辛いぞ。俺らは最悪は寝ていても問題ないが、君とクロウはずっと撃ちっぱなしだ」

「いや、でも……」


 そちらの双子が作業しているのに、寝るのは戸惑う。

 それに、水門を取り付けてみないとため池に水が流せないのであれば調整が必要になるだろうから、それまでは起きていた方が良いのでは?


「僕らは気にしないでいいよ~。君が魔法使えるかは大きいんだから、ゆっくり休んでね~」

「あ、でも……完成してないので。兄さんのが出来上がって、取り付けてから、ため池に水溜め始めたら寝るので」

「そうか、水溜めるのにも時間かかるか?」

「まあ……上流からの方は、魚が入れない様に狭くしているからね。それに、それなりに大きくため池を作っているから、池に水ためるのはそれなりにかかるよ。……水自体は、最悪魔法で溜められるけど……川の水の方が警戒されないからいいと思う」


 水が違って、作戦失敗してしまうとここまで作った意味が無くなってしまうので、できれば水を入れ始めたい。ただ、水門取り付けてからの方が、確認も出来るから良いと思うのだけど……。


 兄さんは少し悩んだ様子で、作っている水門を見つつ、考えている。


「わかった。水は入れ始めてくれ。水門は後から取り付ける。で、水が入って問題が無いと判断したら、寝ること。問題があった場合は作業をする前に報告。俺らでなんとかなりそうなら君は寝るんだ」

「……うん。でも、寝てる間にトラブルあったら起こしてね?」


 とりあえず、上流側の塞き止めている土をどかして、水が流れ始める。しばらく見ているとナーガ君がやってきた。


「……どうだ?」

「うん。水はね、流れているんだけど……これ、水路側は板敷いたりしなかったから、染み込んでて、すぐに溜まらないかな?」

「……そのために、板と砂利を引いたんだろう?」

「そうなんだけど……」

「……寝ろ。3時間経ってもこのまま溜まらないなら、間に合わないから起こしてやる……」


 ナーガ君からも変わらないから、寝ろと言われてしまい、仕方なくテントに入って、寝ることにした。


 ダメそうなら起こしてくれるというので、それまで休ませてもらおう。

 上手くいくことを願いつつ、水の音を聞きながら眠りについた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 種族のマスクデータありそうだし、天使系に奉仕種族の特性とかがあるのかな。
[一言] 主人公は社畜精神でも染み付いてるのか中身は良い大人のはずなのに自己管理杜撰なのは前々からだしなぁ 調薬でも周囲が見てないと平気で徹夜してるとかもあったはずだし
[気になる点] この話だけで何回、寝ろって言われるんだ、主人公。 副作用のある薬は、隠れて飲む。何なの? 寝ろと言われて、その理由も説明されているのに延々と拒む。 代案だって提示されてるのに、ひたす…
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