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心象~枯れた田んぼ~  作者: 久徒をん
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スポーツマン

 

 ◇スポーツマン


 放課後の体育館にバスケットボールが弾む音が響いた。

「山口、もっと右へ攻めろ」

「はい」

 長身の男と男子生徒の声が館内に響いた。

 男が笛を鳴らした。

「よし休憩!」

 男の声と共に練習していた生徒達が体育館の舞台前に歩いてタオルで顔を拭いたり給水した。

 男の名は戸川雅也。

 雅也は中学生の時、涼太と同じクラスメートだった。

 子供の時からバスケットボールをやって地元の高校を卒業してから東京の体育系の大学へ進学、実業団のチームで活動したが数年で現役を引退してチームのコーチとしてしばらく勤め地元に帰って来た。

 雅也にはバドミントン選手だった妻の絵里香と息子の勝彦がいる。

 今は県内の高校でバスケットボール部のコーチを勤めていた。


 晩に帰宅した雅也は一人で食事を済ませ居間でテレビを見ていた。

 絵里香が「お疲れさま」とパジャマ姿で居間に来た。

「大会が近くなると遅くなるわね」

「みんな熱心だからな。少しでも練習したいって聞かないから他の部の顧問から白い目で見られながらやっているよ」

「私もそうだったな。自信が無い時は尚更頑張りたくなるのよね」

「気持ちはわかるが指導する側になると早く帰って欲しいんだがな。最近流行りのブラック部活とか言われないようにしないと面倒だから」

「運動部が色々言われる世の中になって辛いわね」

 二人は水割を飲みながらしばらく話をした。

「勝彦、中学に行ったらバレーボールをやりたいって」

「前から言っていたな。でもやれるのか」

 雅太が水割を一口飲んで言った。

「友達がバレーボールをやっているから一緒にやりたいって」

「そういう事か。部活が厳しくて嫌になるかも知れないが好きにさせたらいい」

「今度は続くかしら。野球部は半年で辞めたけど」

「やりたい事をやったらいいし嫌ならやめたらいい。俺は親父みたいに頭ごなしに決めつけるのは好きじゃないから」

 絵里香との結婚を父親に相談せず決めて以来、雅也は父親と絶縁状態だった。

 雅也は「風呂に入る」と水割を飲み干して居間を出た。

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