いろんなタイプ6を書き分けないの?
「なんというか冬休みまでの後一ヶ月半が長いよね」
いつもの早朝の教室で机に突っ伏した川谷がぼやくと青山も同意するように頷いた。
「そうだな。 そういえば思ったんだけどエニアグラムに国民性とかって関係あるのか?」
「あるとも言えるしないとも言えるかな」
「意味わからんが」
「エニアグラムの各タイプは統合分裂やウイングといった関係の深いタイプになりきる事は比較的容易だと考えられているんだ。 よってその国や地域によって賞賛されやすいタイプになりきる人が多くなり、批判を浴びやすいタイプは他のタイプになりきる傾向がある為に地域ごとの性格傾向が生まれてくると考えられているんだ」
「そうなのか」
「うん、だから例えば日本はタイプ1と6っぽい人が多いけど実は他のタイプの人がなりきってるだけでどのタイプも同じくらいの人数だったりするんだよね。 ちなみに男女差も同じパターンだと考えられているけど、体や脳などの差異があるからね、何かこれとは違う理論があってもおかしくないかな」
「結構奥が深いんだな」
「そうだね」
頷く川谷。 青山の疑問が解消されたと見るやすかさず本題に入った。
「今回はタイプ6だね。 タイプ6は一人では生きていけないから助けが欲しいけど、助けが信頼できないという思いから揺れてしまうタイプだったね」
「信頼と疑惑、責任あたりがテーマだったな」
「そうだったね。 それでタイプ6のウイングは信頼と疑いを向ける対象で変わってくるかな」
「だろうな」
そう言って頷く青山に川谷も一緒になって頷く。
「ウイング5は制度、体系、方式、機構、組織等といったシステムに対して安定的であってほしいと期待を寄せ存続に力を入れる傾向があるよ。 その為専門家になる事も多いみたい」
「システムか、確かにそこが安定してたら安心できるよな」
「そうだね。 ただ一方でシステムを存続させようとしている他の人たちに対する警戒感は強めみたい」
川谷はそう付け加えてから次へと進めた。
「ウイング7は周囲の人々や組織に対して励ましや助言、自分の進むべき道を示してほしいと感じる傾向が強いよ。 ただどこかで相手も間違っていると感じる部分があり助言をもらってもその通りに動かないところがあるみたいだね」
「なんかいいイメージじゃないな」
「それが意外と好かれるキャラクターってこのウイングだろうって言われることが多いんだよね。 人あたりがよくて仲間を大切にするし、ギスギスした雰囲気を嫌うから雰囲気を和らげようと頑張るからかなぁ」
首を傾げながら言う川谷に青山も首を傾げる。
「とりあえず次行こうか。 生得本能。 自己保存だね」
「おう、さくさく行かんとな」
「タイプ6にとって自己保存は家庭を気にする傾向を左右する。 タイプ3もそうだったけどすでに持っているものの価値をどの程度感じて守ろうとするのかっていうパラメーターになっているんだよね」
「自己保存欲求の中の安全欲求が特に強いって事でいいのか?」
「そうだね。 タイプ6と方向性がぴったり一致してるから。 自己保存欲求が高いと些細なことで心配になり周囲に助けを求め、助けてくれるかどうか、自分の事をどう感じている様子かを観察してたりする。 権力者の顔色を窺う一方で弱い立場の人間相手でも理解者としてのポジションで関わるよ」
「なんか印象悪いんだよな」
「そうかな、僕は意外と好きなんだけど。 あっそうだ怒って失言したりする事が特に嫌いだけど、感情隠すの苦手だから『イラっとしたけど深呼吸して落ち着こうとした』みたいな描写を入れてみたら面白いかも」
微笑みながら付け足した川谷に冷たい目を向ける青山だったが川谷はそれを無視して続ける。
「次はソーシャルだね。 タイプ6にとってソーシャル欲求は自分の居場所を確保したいという欲求として働くよ。 『この行動は誰々の責任下において行われている』という感覚は実際はどうあれリスクが少ないような気持ちになれるんだね」
「失敗したのはあいつのせいだって言えるようにしてるって事か?」
「否定はできないかも。 ソーシャル高いと報連相はしっかりするし契約を結びたがってそれを遵守するってなるんだよね。 いざという時に切り捨てやすいようにしてるのもあるのかも」
最後の一言は首を傾げながら言った川谷はすぐに次に進めた。
「セクシャルは難しいね。 とにかく不安が強くそれに対抗する手段が欲しいわけだから欠けている部分を意識する事で自分は弱いという感覚が強まり『やられたら倍返ししてやる』という傾向性が強まるよ」
「過激だな」
「過激だよ。 セクシャルが高いと自分を鍛えるなり魅力的な仕草で人を矢面に立たせたりという事が出来るようにしていこうという傾向が強まるよ。 権力者に対しては敵対する可能性がある存在として常に意識し対策を練る。 そしていざ戦えば徹底的に叩き潰すという感じかな」




