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いろんなタイプ1を書き分けないの?

「あ」


 いつもの早朝の教室で青山と顔を合わせた川谷は間の抜けた声をあげた。


「どうした?」


「そういえば言ってなかった気がするんだけども、タイプって先天的に決まるって言ってたよね」


「言ってたな。 それがどうかしたか?」


「あれ僕が先天説を推しているだけで生後、物心つくまでに決まる説もあるから頭の片隅に入れておいて」


「そうだったんか、わりといろんな説があるんだな」


「意見がかなり食い違う部分ではあるよね」


 と、まとめた川谷は本題へと話を変える。


「まずおさらいからやろうか。 タイプ1は自らの感情に向き合うのが不器用なために使命に突き動かされようとするんだったね」


「そうだったな、確か何やればいいかが明白だから楽なんだよな」


「そうだったね」


「よしじゃあウイングからだな」


 青山がそう促すと川谷も頷く。


「そうだね、タイプ1のウイングは使命・理想に関してのスタンスで変わって来ると言っていいと思う」


 そう言った川谷は少しだけ頭の中を整理する様子を見せてから話し始めた。


「ウイング9は『完璧で素晴らしい理想郷』の定義を探求するウイングで、目の前の現実の気に入らない点を一つ一つ改革していくというより世捨て人的な印象で、理想の世界を練って押し付けるような印象かな」


「感じ悪いな」


 青山が顔をしかめるのを見て川谷は慌てた様子を見せた。


「長所としてはタイプ1的な『ブレない』部分と大局的な視点が同居しているから安定感がすごいよ。 もちろん分裂してると短所しか出てこなくなっちゃうけど」


「まあ良いとこも悪いとこもあるわな」


「そうだね。 ウイング2は自分が支持する変化が起きると嬉しい、賛同してくれるとやる気が出るといった感じ。 逆に言えば支持している理想が受け入れられない時に強いストレスを感じて批判的になる傾向がウイング9よりあると言えるよ」


「理論追求のウイング9と実践派のウイング2としっかりと分かれるんだな」


「そうだね、まぁなんでかはわからないんだけどね」


 口を尖らせて言った川谷は一呼吸置いてから話を変える。


「じゃあ次は生得本能が与える影響について話していきたいと思うよ」


「おう」


 頷く青山。 それを横目で見ながら話し出す川谷。


「まず自己保存的な欲求。 タイプ1にしてみると危ういものと感じられるよ」


「ん? なんでだ?」


「食べ過ぎると太るし必要以上の睡眠も時間を浪費してもったいない気がするしといった感じで自己保存的な欲求に従うと不利益になると感じられるよ」


「といっても食わなきゃ死ぬし寝なきゃ倒れるぞ」


 青山の指摘に川谷は頷く。


「もちろん足りないのも問題なのもわかってるから適切に欲求を満たそうとするけど欲求はエスカレートしがちだから〇〇し過ぎるという事もよくあるんだよね。 それで後でつじつまあわせをしようとする。 例えばつい肉ばかり食べてしまった次の日には野菜ばっかり食べ始めるとか」


「そういう奴いるよな」


「あと極端な潔癖症とか地震対策の家具配置にやたらとこだわりがあったりとか、この辺りはやりすぎでの不利益がいまいち思い浮かばないからエスカレートするんだよね」


 具体的な誰かを思い浮かべるように話し続けていた川谷は一つ頷いてから「次に」と続けた。


「ソーシャル欲求。 これは特にタイプ1的なコンプレックスとケンカしたりはしないかな」


「正しさに固執するのと仲間を見つけて安心したいだと仲間が悪い事したら板挟みにならないか?」


「正しくなるよう教育してやる。 ルールを変えてやる。 だから結果的に孤独になることもあるみたいだけど、相手の為にやっていると思うから板挟みにはなりにくいかも。 自分を社会の定規的な存在だとみなすからプレッシャーは感じやすい気がする」


 ゆっくりとそこまで話してから時計をチラ見する川谷。


「最後がセクシャル欲求だね。 これは噛み合っているというかなんというか」


「どういうことだ?」


「えーとね、正しさを指標とするタイプ1にしてみると自分に欠陥があるならもっと頑張って完璧にならないとっていうプレッシャーを感じる。 そのため誰かに『あなたは正しい』って言ってもらいたい欲求から自分が正しいとわかってもらう為の努力を惜しまないという感じかな」


「なんかうっとおしそう」


 少し身構えた様子を見せた青山に苦笑を向けた川谷は軽く間をおいて続けた。


「一方で相手に対しても『正しい』事を求めるため基準が高く、束縛気味になる事もあるよ。 ただその為のサポートは全力で頑張るからウザいと思われるか心強いと思われるかは相手次第かな」


「俺はウザい派だな」


「だろうね。 よし、とりあえず三つ言い終わったね」


 そういうと川谷は大きく息を吐き出した。


「これで今日は終わりか?」


「ちょっと待って、生得本能は多い、それなり、少ないをそれぞれ適用していく方法で形作っていくとやりやすいと思うよ。 例えばセクシャル多、ソーシャル中、自己保存少だと『基準が高い為いくら努力しても足りない、人に教えるのは相手の為より自分を肯定して欲しいからが少しだけ強い、体壊したら働けないとかいう発想はあまりない』という感じで」


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