7話 領主が予想以上の馬鹿だった!
予告どおり、今回は長めにしてみました。
俺達は今、村から馬車で四日程の場所にある都市ミーナに来ている。なんでかと言うと、夢幻級の魔物を倒したとして領主直々に勲章を授けたいとか。後で知ったことだが夢幻級の魔物にはある程度の知性があって、もしも俺達が討伐しなかったら、俺達の村を拠点として、都市に攻め入られた可能性もあったそうだ。まぁ、勲章を授けたいというのは建前で実際は、俺達を囲いたいか、危険分子として追い出すかのどちらかだろう。
村の皆はかなり心配してくれたが、無理に断ると村に騎士団を差し向けられそうなので渋々来たと言うわけだ。というのも、王族とかが知っているのかどうかは分からないがこの領地の領主は、控えめに言ってクソ野郎だ。自分が散財した尻拭いに領民の税金を上げるは俺達が作った作物の三分の一を無理やり上納させるわ、しまいには自分が気に入った女を世帯持ちだろうが攫って嬲る趣味まで持ち合わせていやがる。あぁ!説明してるだけでもイライラしてきた!……まぁ、そういう訳で仕方なく来たわけだ。
でもって観光する暇も貰えずに今から領主と会うのだが、もはや嫌な予感しかしない。
待たされること一時間、そろそろ催促してもいいのではないだろうか。
待たされること二時間、もう帰ろうかな?
待たされること三時間に突入しそうな時にやっと領主がやって来た。
領主はぶくぶくと太っていて、いかにも頭が悪そうだ。ついでに言えば、笑顔がニタニタしていて気持ち悪い。
「確か名前はユウとライだったな?早速だが貴様等には俺の騎士団に入ってもらう。勿論拒否権は無いぞ?俺の騎士たち一個中隊が貴様等の村に向かっている。もしも逆らえば、お前等の村が壊滅するぞ?」
予想通り、こいつはクソ野郎だったな。こいつに返す言葉はもう決まっている。
「お断りだ。お前みたいなクソ野郎の所に行くのに、村には何の対策もしていないとでも思ったのか?ご自慢の騎士達は俺達の村には近づく事さえ出来ないだろうよ。」
それを聞いた領主は憤慨して、村を攻撃するように伝令を出させ、部屋の外に待機させていた騎士達を俺達に襲いかからせた。
俺達と騎士達の間には練度の差はあれどそれを補ってあまりある程の実力差がある。
俺が手を出すまでもなく、ライが一瞬で騎士達を気絶させていた。
村に関しては全く問題無い。村長と話し合って、村を囲む壁は石の壁から、鋼鉄の壁に。しかもその上には機関銃や迫撃砲の自動迎撃システムを配置した。もはや騎士団とやらが近づく事は不可能だ。
あぁ、そうだ。目の前で腰を抜かしているクソ野郎に聞いておかなきゃいけない事ができた。
「この攻撃は、俺達に対する敵対行動と取っても構わないな?一応言っておくがお前はまがりなりにもこの領地を任せられた貴族の一員だろう?その貴族が俺達に敵対するという事、つまりはこの国が敵対するという事だ。言っておくが、俺達はただの子供じゃない、夢幻級の魔物でさえもあっさりと倒す者だ。」
そんな事もこのクソ野郎は分かっていなかったらしく、そうライが言うと、いきなり掌を返して謝りだした。
「も…も…申し訳ありませんでした!何でもしますので、どうか、どうか命だけは!」
俺達は呆れた。要はこいつは自分さえ助かれば他はどうなっても構わないと考えている様だ。
しかし、こいつはこんなでも領主だ。こいつが居なくなれば政治が混乱する危険性もある。しかし副領主も、こいつと同じくクソ野郎だから論外。ん?確か噂では文官長はかなりの常識人で才能もあり、人望もある。是非とも領主になってほしい人だと両親が言っていた事があったな。
ちょっと会いに行ってみるか。
「ライ、ちょっと文官長に会いに行って来るから見張り頼んでいいか?」
「ああ、勿論だ。でも出来るだけ早く戻ってこいよ。」
俺は、了解。と返事をして走って文官長に会いに行った。
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