第3話 非現実との邂逅
2話が消えました・・・そして、間違えて3話を投稿してしまいましたので、2話を書き直して中間にきちんと上げたいと思います。
追記 2話を上げました。問題は無くなりましたがここにこれを残させていただきます。
第一章
第3話 非現実との邂逅
私があの夢を見てから3日目、あの予知夢のようなことは一切なく、平和に日々を送っていた。
「樹希、はいこれ。お弁当だよ。お母さんに手伝ってもらったところもあるけどほとんど自分で作ったんだよ!」
私はあの夢のことは本当に起こると思っている。だからあの血はいつも肌身離さず持っている。
「おおおおおお!!ありがとう、鈴!!じゃあお弁当今から食べよっか。」
今はお昼で学校はお休み。だから樹希とピクニックに来ていた。
場所は電車で20分くらい離れていて、ここまで電車と徒歩で来た。
「ねえ樹希、ちょっと私の夢の話をしたいんだけどいいかな。」
「夢?将来のほう?それとも寝てる時に見るほう?」
「寝てる時のほうだよ。この間変な夢見たんだよね。」
「変な夢?」
「そう。なんか私たちが怪物に襲い掛かられてて、樹希が私をかばって死んじゃう夢。」
「えっ。」
「・・・聞いてもただの夢でしょって思うよね。でも本当なんだ。」
「本当って、え?話が分からないんだけど・・・」
「・・・・・・予知夢、らしいの。」
「・・・」
そうして夢で起こったことをさっきの説明よりももっと詳しく話して、どうしてそれが予知夢なのかっていう確証についてはその後見た夢についてぼかして語った。
「つまりその声の人があれは予知夢だから絶対に起こるよって言っただけだよね?」
「うん・・・まあ確かにちょっと私も信じすぎかもしれないけど。」
「・・・そんなことないよ。俺はどんなことがあっても守るって付き合った時に決めてたから、その覚悟を夢で口にしてる以上本当にあるかもしれない。」
樹希はものすごい真剣な顔をして悩み始めてしまっていた。
「・・・ごめんねなんかこんな話しちゃって。でも話しても多分未来は変えられないって思うんだ。」
「・・・」
「・・・私、たぶん樹希が死んだらそのまま同じようにその怪物に殺されてしまうんだって。だから、樹希が守ってもほんの少し死ぬ時間が伸びるだけになるってその声は言ってた。逃げ回ればもっと伸ばせるらしいけどやっぱり私たちは死ぬみたい。」
「・・・けど、やっぱり俺はお前を守るよ。今少しだけいろいろ考えたんだ。でも、いくら鈴が死ぬことになったとしても俺は守りたい。だから、死んだらごめんね。本当にそんな時が来たらこれだなって言うから。」
「うん。ありがとう。」
「・・・」
「なんか暗い話にしちゃったね。お弁当の残り食べちゃおうか。」
「そうだな・・・」
「そういえば!!来週の土曜日に水族館でイベントやるんだって。何のイベントだと思う?」
「ん~・・・入館料割引とか?」
「そうそう!学生の人は入館料がそれぞれ半額になるんだって!」
「へえ~!いいじゃん。半額ならいけるな、俺達でも。」
「だよね!来週の土曜日あけておいてね?」
「わかった。・・・ねえ、お願いがあるんだけど。」
「なに?」
「その日もお弁当作ってきてくれない?」
美味しかったのかな?何にしろやった!!!
「うん、いいよ!約束ね。」
そして、ピクニックを終えて家に帰る途中、まだ少し時間が余ったから町で普通にウィンドウショッピングをしていた。
「わ~、これきれいだね~・・・」
そう言って私が見ていたのは小さな真珠のついた指輪だった。
とても小さいからそんなに価値がないのか、指輪の輪っかに価値があまりないのか、1500円という手が届かなくもない値段だった。
でも今のお互いの手持ちを合わせても少し届くことはないと思って通り過ぎようとしたとき、樹希がその指輪をもって店員さんのところへ。
そして財布のお札を入れるところとは別のところから2千円を取り出して、「これ下さい」と言っていた。どこにそんなお金があったの?!
先日のチケットは割引で買ったらしいけどそれでも千円はしたって言ってたよね?
もしかしてだいぶ前から貯金してたりしたの!?あの日からのために?!
・・・ああ、さらに惚れたわ・・・やばい好き・・・
「・・・りん?鈴ってば。」
「・・・ん?」
「はいこれ。欲しそうにしてたから。つけて。」
「・・・・・・ああもう、好き!ありがとう!!」
盛大に笑って言うと樹希は顔を真っ赤にしてそのまましばらく固まった。
そして私が指に指輪をつけ終わると、何とかって言った感じでどういたしましてと声を絞り出していた。
そのあとは本当に普通にウィンドウショッピングを二人で楽しみ、6時ごろに家に帰った。
そしてその日の夜、樹希の家に親が持っていってほしいものがあると紙袋を渡されて、私は樹希の家に行くことになった。なぜか知らないけど宿泊の許可まで言い渡された。
樹希の家につき、招かれて紙袋を渡す。そして樹希と少しおしゃべりして樹希のお母さんに私がなぜか宿泊の許可をもらったというと、それはこちらも大歓迎だと言われてこの日は泊まることになった。
そしてなぜか私は樹希の部屋で寝ることになり、私はどうしてこうなったと頭を抱えていたが、樹希のお父さんからの一言ですべてが分かった。
夕食を食べているとき、樹希のお父さんが言った。
「樹希、鈴ちゃん、付き合っているんだろう?多分こうなるだろうと思っていたよ。だから今日はお祝いで鈴ちゃんの両親とも話をつけて、鈴ちゃんを呼んだんだ。だから今日は最後までしない限りは好きなことをしてもいいからね。」
と言われて二人そろって顔を真っ赤にしてご飯を食べた。
そしてお風呂に入り、歯も磨いて寝る準備をしていたら、樹希が外に少しだけ散歩に行こうと言い出した。
どうしてと聞くと、さすがにこのまま一緒にいるとやばいらしく、外で散歩することで発散するらしい。
さすがにそれはいけないと思って樹希の両親に十数分ほど散歩に行ってきますと言って、二人で夜風にあたりに行った。
そして少し歩いていたその時。
突如、「ォォォォォォォォ」という声か音かわからないものが耳に聞こえてきた。
私はもしかしてと思いその音がしたほうを見た。すると、あの夢に出てきた、丸い何かがそこにいた。
っ!!
見ただけだからか、夢でも見たからか、自然と体は動いていた。
一応着てきた上着のポケットの中には、あの血が入っていた。
でもそんなのはまだ使いたくないと思ってしまった私はとっさに逃げた。
樹希も隣で、「・・・これが、言ってた夢?」
って聞いてきたから、とりあえずうなずくだけうなずいて後は必死に逃げていた。
すると私がこけてしまった。
「っ、鈴!!大丈夫か!?」
「大丈夫だよ、早く逃げよう!」
そう言って起き上がった瞬間。見覚えのある顔をした樹希が、夢と似たような声を出した。
「鈴!!!!!後ろを見ろ!!!!」
そして私は振り向いた。ああ・・・デジャブだこれ・・・
私は逃げようとしたが、足は一向に動く気配がなかった。
「っ鈴!!!」
そして樹希が私を引っ張って走っていた。
ああ・・・これ、本当に覚悟決めないと樹希が死んじゃう・・・やだ・・・
そう思いながら、ポケットに入っている注射器を握った。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はああああ。」
私は、死にたくないし、樹希を失いたくない。
じゃあ、私はやっぱりこれを使うしかない。
もしもの5%を引いたら、私は樹希も吸血鬼にしよう。本当は嫌だし受け入れてくれるかもわからないけど・・・。
「・・・ねえ、樹希。私、ちょっと今から化け物にならないといけないかも。」
そういうと、樹希はきょとんとした。
「何を言ってるんだよ?」
「時間がないけどこれだけは言っておくね?樹希。大好き。」
そう言って頬にキスをしてから、私はあの血を取り出した。
もうすぐ後ろの家が崩れる。その前にこれを打たないと。
そして、私は夢で言われた通りの方向で自分のふとももにそれを押し付けた。