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第1話 平和な日常

                第一章

             1話 平和な日常


 朝7時半、私のスマホには毎日アラームが鳴るようにセットしてあった。

 そして今日も、そのアラームに起こされることから始まった。


 ♪♪~~~~!


 とっさに私はベットから起き、勉強机まで歩いて行って上に置いてあるスマホを触ってアラームを止めた。


「・・・ふ~、んん~~・・・!」


 勢いよく伸びをして目を完全に覚まさせる。


 そこから学校へ行く準備をしていると、母が2階の私の部屋の前まで来たようで「ご飯できてるから、準備終わったら降りてきてね~」と言い残して行った。


 それから5分くらいしてから準備も終わり、下に降りて家族で食事を済ませて学校に向かった。



 学校では私は普通の女の子で、少し違うことといったらほかの女の子よりも男の子とよく遊ぶくらいだった。私は運動が大好きで、ドッチボールやバスケットボールをやろうって男子によく誘われるのを快諾して、一緒に遊ぶことが多い。


 そして今も、男子たちに混ざってドッチボールをしていた。


 「(りん)。今日学校が終わった後って何か用事ある?」


 今誘ってきたのは特に仲のいい幼馴染みたいな存在の原田樹希(はらだたつき)


 外見的に言えば黒みがかった茶髪に前髪を少し伸ばしていてその前髪をピンでとめている少しおしゃれな男子だ。


 「ん~、何もないはずだよ。朝何も言われなかったし。」


 「じゃあさ、今日給食終わって次の時間終わったらもう学校終わりじゃん?時間もあるし親にこれもらったから一緒に行こうよ。」


 そう言ってもらったのは遊園地の一日券だった。


 「えっ!?何々デート!?うらやましいなあ、前から思ってたけど二人ってホントに仲いいよな!」


 「うん、まあ幼馴染みたいな感じだからね~。これでも小さいときは私樹希(たつき)のこと嫌いだったんだからね?」


 「えっ!?!?」


 突然会話に入り込んできた男子は小鳥遊彩人(たかなしあやと)。2番目くらいに仲のいい男子。


 黒髪黒目の純日本人って感じなのに鼻は高くて目もキリッとしてるけど、身長だけは低い。


 「確かにねえ。(りん)ってば、昔は俺のこの髪の色が嫌いで近寄りもしなかったっけ。でも近所に住んでて1日か2日に一回は必ず家の周りで会うから、吹っ切ったんだっけ?」


 「ちがうよ!?私はずっと怖かったの。それでもある日に私をさらおうとした人から助けようとしてくれたから、怖くない人なんだって思ったの。それまでは茶髪の人にかかわらず髪の毛の色が黒じゃない人は怖い人だって思ってたから。」


 「鈴ちゃん、それ何気なくひどくない?」


 「だよねぇ。今思えば俺もわけもわからずに避けられてたからあの時は結構心に来てた記憶があるなあ。でもそんな誘拐なんてされそうになったことあったっけ?」


 「・・・覚えてないならいいけどね。とりあえず家帰ったら何か用事ないか聞いてみるから。無かったら行こうね。」


 「・・・・・・なんかごめん。覚えてなくて。うん、そうしてもらえると助かるかな。」


 (こいつら・・・人の前で軽くいちゃつきやがって・・・早く付き合えこの馬鹿ども!!)



 学校が終わり家に帰った。


 「ただいまー。」


 そう言ってまずは荷物を置きに自分の部屋に直行。そして用事が何もなかった時のために一応準備をしておく。それからリビングへ行った。


 「おかえり~。」


 「ただいまお母さん。今日って何か用事とかある?」


 「ん~特にないわね~。なに?樹希君とデートでも行くの?」


 「デートかどうかは置いておくけど遊園地行こうと思ってて。一日券くれたし一緒に行こうって約束したから。」


 「んん~、仲良くなったわね本当に。小さいときは『あのおとこのこやだ~』って泣きながら隠れてたのに。」


 「今その話は関係ないよ!用事ないなら行っていいんだよね?」


 「いいわよー。ただしまだ中学生なんだから7時くらいには帰ってきなさいよ?」


 「はーい!」


 私誰に向かって心の中で話してるのか分からないけど自己紹介まだだったから、樹希が来るまでの間に自己紹介でもしようかな。


 私の名前は住良木鈴(すめらぎりん)。中学3年生で、見た目は黒髪ロングヘアに黒目、身長は少し高めでスタイルもまあまあ。お母さんにはよく「私の子なのによくこんなにナイスバディになったわ~」といわれる。


 ちなみに暴露してしまうと今では樹希のことを恋愛的な目でも見ている。好感度はすごく好き。


 向こうは私のことどう思ってるかわからないから今まで通りやっていこうと思ってる。


 「鈴ー!」


 「早かったね。連絡してからまだ5分だよ?」


 「一応準備してたからね!連絡来たらいつでも行けるようにしたかったから!」


 「ありがとう。」


 「・・・・・・」


 あれ?なんか少し顔赤くして固まった?ありがとうって微笑んだだけなのにな。


 「・・・どうしたの?」


 「い、いや、なんでもないよ。いこっか。」


 「うん・・・」


 ・・・あれ?微笑まれて顔赤くして固まるって・・・いや、いやいや、ないない。


 気を取り直して、遊園地でいっぱい遊んだ。まさか樹希がぐるぐる回るものにあまりのれないとは思わなかったけど、絶叫系のコースターやゆるーく回転するメリーゴーランドとか、あとはお化け屋敷とか。


 お化け屋敷は怖かったけど樹希にしがみつくのは嫌だったから何とか持ってきたカバンを抱きしめて叫ぶこともなくクリアできた。


 ・・・もう二度とお化け屋敷なんて行きたくない・・・


 そんな感じて楽しく過ごしてたらいつの間にか6時ごろになっていた。


 「ねえ、今日は何で誘ってくれたの?」


 「・・・なんでって?」


 「多分だけどそれ、集めたお小遣いで買ったやつだよね?今日樹希、欲しいもの少しだけ我慢して園内回ってたから。いつもなら欲しいもの真っ先に買って私とシェアするのに。」


 「あ~~、ばれてたのか・・・」


 ちょっと照れたように笑う樹希。何年一緒にいると思ってるんだ。それくらいはわかるよ。


 「・・・あのさ、聞いてほしいことあるんだけどいい?」


 いつにもなく真剣な顔をして私の顔を覗き込んでくる樹希。今の身長だと私が少しだけ身長上だもんね。


 「・・・いいよ?」


 ああ~なんか、なんかこれって・・・


 「じゃあ聞くけど、鈴って俺のことどう思ってるの?」


 「・・・どうって?」


 「だから、そうだなあ。好きか嫌いかで言ったらどっち?」


 「・・・バカじゃん。嫌いな男子と遊園地なんか来ないよ。」


 「そうだよね。じゃあもう一つ。今度は言いたいことなんだけど・・・」


 「・・・な~に?」


 「・・・・・・す、きです。鈴、俺鈴のこと好きです。」


 「うん、それで・・・?」


 「だから、付き合ってください。」


 ああ・・・・・・これなんて役得・・・?


 「・・・いいの?わたしでいいの?」


 「うん・・・鈴がいいの。」


 「私もね、樹希のこと好きなんだ。だから・・・私を樹希の彼女にしてください。」


 あ、樹希の顔がすっごい嬉しそう・・・たぶん私もそんな顔してるんだろうな・・・


 二人して微笑みあって、ハグをした。


 そして、その日は家に帰った。


 夕飯を食べている間も、お風呂に入っている間も、ずっと告白してくれた時の樹希の顔が離れなくてにやにやしていたらお父さんに「おめでとう」って一言だけ言われた。


 なんかわかられてしまって気恥ずかしいけどこればっかりは仕方がない。


 好きな人から好きだって言われて。もうやばいくらい嬉しかったもんね。


 そして眠りについた。

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