第7話 リンダ·ティナント
エレンと仲間探しを始めて20日ほどたった。今のメンバーは5人。やっとパーティーが完成した。僕と、エレンだけだったのが、あれからリンダ、エンダの双子に、アリエルという娘が仲間になった。さて明日からいよいよ冒険開始だ。
ーーリンダ視点ーー
私の名前はリンダ·ティナント。人間です。エンダとは双子の姉、年は16才です。とても小さな村出身で、あまりその村のことは周りに知られていません。100人に聞くと5人が知っているぐらいだろう。モンスター討伐の依頼を出しても誰も受けてくれない。ここから遠いのもあるのだろう。被害者は増える一方だ。
そこで私は自分の貯めていたお金全部···銀貨1枚を報酬としてギルドに依頼したところ、一人受けてくれた人がいた。
その人の名前はシルフォードこの依頼が初めて受ける依頼らしい。一人であのモンスターと戦うなんて正気の沙汰じゃない。
2日後シルフォードが町に来た。まず、シルフォードの姿を見てびっくりした。中肉中背言うのは悪いがそこらにいる普通の人だ。この人は本当にモンスターを倒せるのだろうか···
「えっと···あなたが依頼者ですか?」
シルフォードが急に話かけてきた。
「ひゃ、ひゃい。あの、すいません。えっと、その」
私は話すのはあまり得意ではない。妹と、両親以外はいつもこうなる。もう、妹しかいないけど···
「そうよ、私の妹が依頼したのよ」
助け舟が来た。妹だいつも感謝してもしきれない。
妹に耳打ちして通訳してもらう感じになった。言葉は通じるから通訳ではないのだけどね。
シルフォードは少し困った顔をしていた。
「ところであなた本当にモンスターに勝てるの?」
これが一番聞きたかったことだ。
「一応僕、こう見えてけっこう強い···と思いますよ」
と思いますよの部分に少しの不安は残ったが信じて見ることにしました。
それからいろいろと会話をしてその日は終わった。
なるべく早くモンスターを倒してもらいたかったので討伐は次の日にしてもらった。
次の日さっそくモンスターがよく現れる森···森に入った者は一度も戻ったことがない森『死の森』に入った。今日、私は死ぬかもしれない。妹も、巻き込んでしまったことは申し訳なく思っている。死にそうになったら命がけで妹だけでも助けよう。そう私は心に誓った。
森に入って5分さっきまで鳥の鳴き声も聞こえていたのに全くしなくなった。するとシルフォードは突然立ち止まり目を瞑った。気配でも感じているのだろうか?しかし普通の人間ではそんなことできないぐらいは私でも知っていた。ならなにを···そう考えていると私の真横から狼のような獰猛なモンスターが飛び出してきた。私は一瞬にして悟った···死ぬと。
「キャッ···」
こんな声しか出なかった。私は思わず目を瞑った。
···しかしいつまで経っても痛みは襲ってこなかった。そして目を開けると私の妹が驚いた顔をしていた。妹の見ていた方を見るとそこには
首を失ったモンスターが死んでいた···
「あなた···今、なにをしたの?」
妹がそんなことを言った。確かに気になる。モンスターを一撃で倒したと思えるその力を···
「えっと、普通に頭殴っただけなんだけど···」
は?殴った?そんなはずはない。
「殴っただけでそんな力が出るはずないじゃないですか!」
とっさに私はそういった。妹以外に声を荒げるのは初めてだった。シルフォードは驚いた顔をしていたが、ちょっと笑っていった。
「ならちょっと見ててね。あっ、その前にこの森ってどうなってもいい?」
そんなことを言ってきた。
「えっと、はい。たぶん」
「じゃ、いくね」
シルフォードはそう言って目の前の木に向かって拳を振り上げた。
シルフォードが目の前の木を殴った瞬間
ゴォォォォォォドガァーン
次の瞬間その爆発音とともに森が半壊した···
私の思考は停止した。覚えていることと言えばあの後シルフォードが
「ふぅー終わった終わった。いやぁー手っ取り早く終わってよかったよ。でも流石に森を一撃で半壊させちゃうとはな、しかも本気じゃなかったしな···本気を出せばどうなるんだ?いや、本気はやめておいたほうがいいな。どうなるかわからん」
などとぶつぶつ呟いていた。そして
「もう終わったし帰ろうぜ」
そう言われて私たちは町に戻ったぐらいだ。
その夜落ち着いた私はシルフォードに会いに行った。
シルフォードは少し驚いていたがすぐ表情を元に戻し聞いてきた。
「どうしたの?」
優しい声だ。なぜか安心した気持ちになる。
こんな気持ち初めてだった。この気持ちはなんと言うのだろうか?
憧れ?尊敬?それとも···恋?
まぁ今はどれでもいいかな?後で考えよう。
そして私は要件を言った。
「私を冒険者にして一緒に冒険してください!」
「え!?なんで?」
「えっと、私はあなたといれば今の自分を変えれると思ったからです」
「でも妹はどうするの?」
「妹は巻き込みたくないので、この村で一番信用できる村長に預けようと思います」
「本当にいいの?これが最後かもしれないよ···もう会えないかもしれないんだよ?」
妹には悪いがそれでも私の意見は変わらない。
「それでも私はあなたについていきたいです!」
「そうか···実は僕は今パーティーを作るために人集めをしていてね最低でも5人集めなければならない。今のところ君を合わせて3人だ。後2人必要なんだ。冒険までに時間がかかるかもしれない。でもいいかい?」
今3人?あと1人は誰なんだろう?でも今はそんなことどうでもいい。
「それでも構いません!連れていってください」
「そこまで言うのなら···わかったよ。これからよろしく、えっと、名前は?」
「リンダです。リンダ·ティナント、こちらこそよろしくですシルフォードさん」
「シルでいいよ!あと敬語もいらない」
「うん、わかったシル。私のこともリンダでいいよ」
こうして私はシルのパーティーに入りました。
それに今さらながらシルには普通に話せる自分がいることに気付きました。