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アルカナソウルオンライン  作者: 石釜 真岸
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ビギナーズラック

突然だが…ビギナーズラックなるものをご存じだろうか。

文字通り初心者の幸運の事をさし、様々なゲームで起きる現象である。ソシャゲならばガチャで最初から強い武器をゲットしたり、アナログなゲーム…特に賭け事で言うならチンチロリンでシゴロを初心者が叩き出すようなものだ。

なぜこの話を持ち出したかって?それは…

「俺は今…幸運のど真ん中にいる!」

……からである!

事の始まりは一時間ほど前にある。

フォルと別れてから、とりあえずクエストは受けるべきと考えた俺は剣の王国の、所謂ギルドと呼ばれる所へ行った。ギルドの中にはクエストを受けるためのクエストボードがあり、その中から好きなクエストを選ぶ事が出来る。

その中で俺が選んだのは聖杯の皇国国境付近でのゴブリンの討伐だった。

ゴブリンは常に沸いてくる小人型のモンスターで、プレイヤーに攻撃するだけでなく、クエスト挑戦中のプレイヤーの金品を奪う事もある迷惑なモンスター…なのだがゴブリンを倒せば奪われた物がドロップする事も多いので実際プレイヤーにとっては少々うざい程度ですむのだ。

そして今…ゴブリンを倒す毎に大量に金がドロップする。考えられることは前回ここに来たプレイヤーがゴブリンに金を盗まれたのにそれを無視したということだけである。

「いや~こいつは運がいいな~。幸先良いんじゃありませんか!?」

と俺はニヤけつつドロップした金を拾った。

あっちに行っては拾い…こっちに行っては拾いを繰り返していると急に暗くなった。

「?…いきなり天気が…」

変わった?そう思い見上げると巨大なモンスターの姿が。堅牢な鱗に巨大な翼膜…そして狂暴な顔、一回でもファンタジーなゲームをプレイした人間ならわかるだろう…あの生き物は…

「ド…ドラゴン!?」

RPGのゲームで強敵として現れるモンスターだが、このゲームでもその例に漏れず強いモンスターとして登場する。というかただの強敵ではなくクソ強いと評判である…あ、ヤバイな…

プレイ初日でゲームオーバーかよ…

と絶望していると

「おいお前ら!覚悟はいいだろうな!?」

と男の声が後方から聞こえる。 振り向いて見ると3人のプレイヤーがいた。

一人はメイスを、一人は小鎌を、もう一人は大きめの籠手をはめていた。

「ふんッ!」

籠手をはめていた男が先陣を切って攻撃する。武器を持たずに殴り付けるその様はプレイヤーの力強さを表しているようだ。

「シャオラァァァァ!」

そしてメイスを持った男が飛び跳ね、メイスを叩きつけるようにドラゴンの頭部へ攻撃。だが大したダメージになっていなかったらしくドラゴンは頭を突き上げる。

「のわぁぁぁぁ!」

それにより吹っ飛ばされたメイスの男は空中で体勢を立て直し着地する。

「ちぃ…地味にHP削りやがる…回復!」

メイスの男が叫ぶと小鎌を持った少女が胸元で鎌を持ちつつ手を組み

「死神の回復術!」

と叫ぶ。するとメイスの男と籠手をはめた男は緑色の光に包まれた。名前からして回復系のスキルなのだろう。

「おっしゃ!HPも戻った所だし一気に畳み掛けるぜ!」

「おう!」

「はい!」

メイスの男の声に呼応し二人はスキルを発動させる準備に入る。

「不屈の剛毅ッ!」

籠手の男が叫ぶ。たしかあれは剛毅の正位置のスキルで味方全体に強力なバフ(補助)をかけるスキルだった…ハズだ。

「ではこちらも!終局の死神!」

今度は小鎌の少女がスキルを発動。死神の共通スキルで相手の防御力を下げるデバフ(妨害)スキルだったハズ…。2つのスキルはそれぞれレベル40、レベル20で手に入るスキルなのでかなり強い人たちだと解る。

「止めは…任せたぞ!」

籠手の男が言うとメイスの男は

「任せろ…!」

と言いドラゴンに向かい走り出す

「喰らえぇ…解放の戦車…!」

と叫びメイスで殴り付けた!

解放の戦車は戦車の正位置の自信の攻撃力を格段に上げるレベル50で手に入るスキルだ。

バフ バフ デバフで重ねがけした一撃にドラゴンは吹っ飛ぶ…が倒すには至らなかったようだ。

「往生際がぁ…悪いんッだよ!勝利の戦車ッ!」

勝利の戦車…俺の記憶が正しければたしか…

「攻撃力プラス100%×2ダメージの攻撃…大技が来る!」

男が飛び跳ね、全体重を乗っけるようにメイスを振り下ろす。するとドラゴンは地面にめり込む。

「もう…一…撃!」

するとメイスの男の体からオレンジのオーラが現れ、闘牛を象った。

「行ッッッッけぇぇぇぇぇ!」

ドオオォォン

ドラゴンは金の光の粒子になって消えた。

このパーティーがドラゴンを倒したのだ。

「す…スゲェ…」

ドラゴンを倒し終えた3人は集まってその場にドロップしたアイテムを拾っていた。そのうちの一人、籠手の男はアイテムを少しばかり拾ってどこかへ行ってしまう。


「ふう…こんなもんか…」

アイテムを一通り集め終えた二人は帰ろうとしたのか立ち上がって振り返った。

「あ、人がいたみたいで…ね。お兄ちゃん」

そこでようやく俺の事に気付いたらしい。

「あちゃ~、気付かなかったな~。君…大丈夫かい?」

先ほどのメイスの男が声をかける。

「ええ、なんとか。…ありがとうございます。俺はリオって言います」

せっかくドラゴンを退治してくれたんだ、守られた側として名前ぐらい名乗っておかなきゃな。

「こいつはご丁寧にどうも。俺はコウだ。で、あいつが妹の」

「ユナです。以後お見知りおきを」

おお…こいつはご丁寧に…

俺…初めて「以後お見知りおきを」なんて聞いたぞ…

そういえば…

「あの籠手の人は…?」

「さっきのか?あいつが傭兵だよ。ああやって金稼いでるやつも居るんだ」

なるほど、それは賢い。金はアイテムの1つ扱いだからな。こんなことも可能なわけか。

「まぁ、攻撃系か回復系の人間があんなのに向いてるんだろうな。お前も攻撃系とかだったら入ればいいんじゃね?」

「確かに傭兵は賢い選択ですが…あいにく俺は愚者の逆位置ですからね。あはは」

と俺が言うとコウが目を見開く。

「お前…バックパッカーか…?」

「?ええ…愚者なんで」

俺がそう答えると二人は顔を合わせて笑顔になった。

「…お前、俺達のパーティーに来ないか?」

「いいんですか!?俺さっき始めたばっかですけど」

「問題はありませんよ。レベルなど、すぐに上がりますし」

これもビギナーズラック…なのか!?

「…では、よろしくお願いします!」

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