愚者の逆位置
「あああああああ!!!!」
どうも!俺リオって言います。
「あああああああああ!!!!」
今は
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!」
絶賛落下中です!
アルカナソウルオンラインでのキャラメイクが終わり、よしやるか!ってなった矢先落とされました。なんだよマジで。
地上には大きな都市が見える。って
「叫びすぎると冷静になるんだな……」
落下中だけど。
落ちたらきっと人にぶつかる事もあり得るんだろうな。そんときはどうなるんだろ?双方ともにダメージが入ってデスペナかな?
あ、ヤバい………真下にプレイヤーさんがいる
「そ、ソコのあんた!避けてぇぇぇ!」
あ、ぶつかる…
事はなかったよ…
「よっと」
と真下のプレイヤーさんに抱きかかえられる。
「大丈夫かい?」
「あ、はい…ありがとうございます…」
その人は銀髪で中性的な、綺麗な顔立ちだった。
男性ならばイケメンと言えるし、女性ならば美女と言えるだろう。それほど完璧な顔立ちだ。
「ぼくの名はフォルだよ。君は?」
「俺はリオって言います」
と返した。
「落ちてきたって事は君は今日始めたのかな?」
あ、皆落ちてきたんだ…
「まぁ、そんなところです」
「だったらぼくがいろいろ教えてあげるよ」
「良いんですか!?」
「ここであったのもきっと何かの縁だろうしね」
剣の国、近辺の高原
ここで俺は訓練をしてもらっている。
ここには初心者向けのモンスターが多く出現するから訓練にはぴったり、とのこと。
「愚者はマジックバッグを持ってるから、基本はバックパッカーとしてパーティーメンバーに入ることが多いね」
「あ、俺が愚者ってこと知ってたんですか?」
「見ればわかるよ。鍔の無い剣は愚者の武器だろ?」
アルカナソウルオンラインではそのカードごとのイメージの武器が専用のウェポンになるのだが愚者には元々旅人のカードなのでそれがない。そのための措置である。
愚者の剣は自身の攻撃力をそのまま相手にダメージとして与える弱い武器なので正位置のスキルが全種類の武器を扱えるものになっている。
「剣の扱い程度なら教えられるけど、どうする?」
リアルで剣道を(剣道のみならず格闘技全般なのだが)やっている訳じゃなかったのでここはひとつ
「お願いします」
ご教授してもらおう。
一時間ほどの剣の稽古をつけてもらい雑魚モンスターなら簡単に倒せるようになった。
「これくらいならもう大丈夫だろう?」
「はい!ありがとうございました!」
優しい人に会えて良かったな~。じゃないと俺詰んでたもん。
「それじゃあぼくはこれで…」
そう言って去ろうとするリンさんに俺は声を掛ける。
「あの!もしよかったら俺をパーティーに入れてくれませんか?」
ダメ元だが一応聞いてみる。俺だって強い人と一緒にゲームをしたいからな。だが彼(彼女?)から帰ってきたのは来んな言葉だった。
「それは無理だよ…ぼく、弱いプレイヤーには興味はないからね…」
その言葉を聞いて俺はがっくりと肩を落とす。
予想はしていた…があんな言われようは酷いなぁ…だったら!
「だったら俺は!あんたに認められるような強いプレイヤーになってみせます!」
もう既にフォルはいなかった…だが聞こえなくても良い。これは俺『の』決意なのだから。
「おっしゃー!裏愚者の魂見せてやる!」
…まずはクエストでも受けるか。