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第2話 激突

こんにちは


前回と間が空いてしまいましたが、投稿しました!



 今政府軍の分別の調査に当たれば間違いなく捕まることはわかっていた。しかし今の状況から逃げても、出ても捕まるのは目に見えている。


「誰も居ないのか?」


「ここには、ロイ・ファーランとその息子のシンジ・ファーランが住んでるはずだが」


「分別の時間に遅れることは許されていない。これは強制連行だな」


(・・・あっ、やべ。時間決まってたの忘れてたー)


 分別の時間帯をすっかり忘れていたシンジは頭をかきながら思った。これでもう取り返しのつかないのはわかったことだ。声からして人数は3人から2人なのはわかった。

 

「仕方ない。ドアをぶち破るぞ」


 少し後ろに下がると助走をつけてドアを蹴りつけるとドン! とドアが外れ中の様子が政府軍人の視界に入る。中には人が立っていた。マシンガンを構えながらゆっくりと歩みより話掛ける。


「分別の時間だと言ったはずだ。中に居るのに無視とはな」


「時間に遅れた罰として強制連行だ。いいな?」


 シンジは全身を包む装備をした政府軍人を見つめたまま何も言わない。なにも言わないことにしびれを切らし「おい! 聞いているのか!」とマシンガンを顔の前に突き出す。


「勝手に人の家に上がりこんで来たくせにその物いいか? だから嫌われてるんだよ……あんたたちはな!」


 マシンガンの銃口を左手で掴みそのまま捻る。「貴様!!」と2人目の政府軍人はマシンガンのトリガーを引いた。その瞬時に1人目の政府軍人を自分の前に引き寄せて盾にし放たれた弾丸は命中する事はなかった。


「ぐあっ!!」


 マシンガンだけを奪いとり2人目の政府軍人に盾にした軍人を蹴り飛ばし、倒れたのを見計らい家を抜け出す。しかし3人目の軍人も逃がしてくれる訳はなくマシンガンを発砲してきた。


「シールド」


 手をかざすとシンジの前に自分の背より少し高いくらいの黄色い光の壁が現れマシンガンの弾を弾いた。


「貴様……アトリビュートか?!」


 それを見て驚く政府軍人たち。


「しかも一番レアな光属性!」


「捕まえれば昇進間違いなしだ!」


 その言葉を聞いてシンジはフッと鼻で笑う。


「今鼻で笑いやがったな!!」


「なにがおかしい!!」


 自分たちが舐められていると知った軍人たちは激怒した。


「なにがおかしいって? そんなもん決まってるだろ。捕まえたら昇進? ………捕まえられるならな」


 その言葉でさらに火に油を注いだように怒りだす。生け捕りという考えはすでに軍人たちの頭の中にはなかった。持っているマシンガンをシンジに向けて撃つ。


 しかし一発もシンジに到達する事はなく光の壁に弾かれる。止んだと同時に左に飛び出し奪ったマシンガンを数発放つ。これも軍人たちには効かない。


 軍人たちが装備しているのは最新の防弾機能付きの装備。そう簡単に銃弾が体に刺さる訳ではない。そのことを知らないシンジ。しかし今の数発の弾丸で効かないということはわかった。


 すると2人目の軍人が円錐形の物をどこからか取り出しカチッと上の赤いボタンを押してシンジに向かい投げつける。


「シールド!」


 カツンとシールドに当たると同時に爆音と共に炎に包まれた。黒い煙が上がりシンジの姿は確認出来ない。


 倒したか? と3人が思った。すると黒い煙からサッと回避するように転がる姿を確認する。


(あっぶねー。周りにシールド張らなかったら危なかったな)


 至って焦った様子はなかったが汚れていなかった顔に黒いすすがついていた。そこにすかさず追撃を加えるようにマシンガンを撃つ。


 シンジはマシンガンを投げ捨てエナジーブレードを引き抜く、そして弾を全て弾き返し始めた。刃に弾丸が当たるたびにキン! と金属同時がぶつかる音がする。


 少しすると音が止んだ。カチカチと引き金を引いても弾は出ない。この数分で起こったことにまだ情報処理が出来ていない軍人たちは弾切れのことにも気付けなかった。


「接近戦を仕掛ける!」


 マシンガンを奪われた軍人は伸縮式の警棒を手に持ち、シンジに向かい駆けていく。残りの2人も同じく警棒を手に持ち駆ける。


 1人目が警棒を振り下ろす。それを体を少し捻りギリギリで躱し、刃とは逆の峰で腹部を打ちつけ、さらに頭を剣で叩く。衝撃が頭に伝わりよろけた。


 顔まで覆うヘルメットのおかげで衝撃は軽減されているが、それでも受ける衝撃はかなりのものだった。


 2人目と3人目の振り下ろされた警棒を受け止める。ギリギリとお互い一歩も引かずに力をこめる。2対1と力の差があるのは一目瞭然。


 シンジは片方の軍人を蹴り飛ばし、そのまま相手を弾き飛ばす様にクルッと一回転をしながら2人目と後ろから迫っていた1人目の軍人を斬りつけた。


「くそ! 強すぎる!」


「そう簡単には、捕まらないか……」


「一度撤退するぞ!」


 背を向けずに警棒を構え後ずさりをしながら撤退を始めた。それを見逃す訳がない。素早くエナジーブレードを鞘に戻す。


「シャイニングスラッシュ……」


 閉まったエナジーブレードを一気に引き抜くと同時に光の斬撃を逃げる軍人に向けて放つ。斬撃は止まることなく軍人3人の背中を斬り裂いた。


 赤い血が吹き上がり緑の草を赤く染める。一息ついてエナジーブレードを鞘にしまう。そして倒れている軍人のもとに歩いた。左端の軍人の首に手を当てる。


「死んではないか。意外としぶといな」


 それぞれの軍人から装備を剥ぎ取りつつ体を調べた。手に入ったのはグレネード3つ。マシンガンの弾薬。警棒も手に入れたが、接近武器はエナジーブレードで足りるためその場に捨てた。


 もう剥ぎ取る物はないと思いその場を離れようとしたその時。軍人たちが持つ無線から声が聞こえてきた。


「こちらの任務は完了したぞ。近くの村に居た人全てを強制連行という結果になった。そちらの様子はどうだ?」


(全員強制連行?! 頭どうかしてんだろ!)


 急いでその場を離れ、近くの村に走り始めた。全員強制連行……つまり村人全てがこれから地獄を味わうことになるということ。


 分別は単に能力の低い者と高い者を分けるだけでなく、政府に連れて行かれた者は特別トレーニングと呼ばれる地獄の特訓を課せられる。それを乗り越えられなかった者は廃棄施設、通称ゴミ処理場と呼ばれる施設に送られてしまう。


 ロイからそう聞いていたシンジは自然といつもより速く走っていた。そのことはシンジ自身は気付いていない。


 その全てを様子を誰かが物影から見ていたことをシンジは気付かなかった。




 







 村人はすでにトラックに乗せられていた。最初は抵抗する者も居たが目の前で銃殺された事により抵抗する者は居ない。ここでは死にたくないと大人しく政府軍の言うことを聞くしかなかったのだ。これは運命だと受け入れるしかないと思う者がほとんどだった。


 しかしその運命を受け入れたくないと思う者も居た。


「やめてよ!!」


「いい加減言うことを聞け!」


「嫌!」


 次々トラックに乗る者の中1人抵抗する緑がかった黒髪の少女。手を引っ張られ無理やりトラックに乗せられようとしている。周りの人も止めようと老夫婦が声をかけるが、聞く耳を持たない。


「レイナちゃん、軍人さんの言うことを聞きなさい!」


「そうじゃよ。でないと……」


「嫌よ! こんな人たちの言うことなんか聞きたくない!」


 なんとか手を振り切りその場から逃げ出した。


「くそ! 逃げられた!」


「待て。追いかける必要はない」


 そう声が聞こえるとトラックの前に停めてある装甲車から普通の軍人より一回り大柄な軍人が出てきた。見るからにこの部隊の隊長ということは一目でわかる。


「ガディウス隊長みずからですか?」


「お前たちは作業を続けろ」


 すると腰のホルダーから拳銃を引き抜いた。走って逃げていく少女──レイナに狙いを定める。


そして────


 少し前まで晴れていた空は灰色の雲が掛かり始めるそんな空の下に銃声が響いた。


「レイナ!」


 母親らしき女性が叫び駆け寄ろうと走りだそうとしたが、父親らしき人に止められる。


「っ!」


 放たれた弾丸は少女の右足を掠め倒れた。傷口から赤い血が流れ肌をつたいポタポタと地面に落ちる。


「痛っ……」


「逆らったことを後悔させてやる」


 再び銃を構える。それを見て痛む足を引きずって逃げようとするが誰の目から見ても逃げ切れるとは思えなかった。見るに耐えないとほとんどの人が目を背ける。


(誰か……助けて──)


 そして無情にもその引き金は引かれる。再び銃声が響く。しかしその弾丸はレイナに届くことはなかった。直前で長方形の黄色い光の壁がレイナを包み込んだ。弾丸はどこかに弾かれた。


「なんだと!?」


 突然のことにその場に居た軍人みんなが驚きの声を上げる。


「光の壁?」


「いったいどこから!?」


 辺りを見回すが人の姿はどこにもない。すると壁の前に1人の男が空から降り立った。右手には刀身が光輝いているエナジーブレードを持っている。


(誰……?)


「大丈夫……では、ないよな。ここから動けそうにもないか」


 後ろに振り返らずにシンジは言う。その後ろ姿をただ眺めるレイナ。昔にも同じようなことがあったような気がしたのかその背中が二重に見えた。


「ちっ……邪魔が入ったか。今乗せている分だけ施設に送れ」


「残りはどうしますか?」


「………処分しろ」


「了解」


 そう言うと軍人は持っているマシンガンをトラックに乗るために並んでいる村人に向けた。


「っ! やめろ!!」


 止めようと走りだすが、時すでに遅くシンジとレイナの前で次々にバタバタと倒れていく。人から流れた血が水たまりのように繋がる。


 逃げようと走りだす人も居たが他の軍人に撃たれ逃げ切れる者は1人も居なかった。


「やめろ…やめろやめろやめろ!!」


 マシンガンを放つ隊員に向けて光の斬撃を無数に飛ばした。それぞれ隊員たちにあたり血が吹き出る。


 あまりの光景にレイナは声が出ずに両手で口を抑えただ呆然と見ているし出来ない。目には涙が浮かんでいる。


 さらに無情にもレイナの両親もその中に居た。銃撃が止むと同時にトラックの扉が閉まりそのまま走りだしてしまった。


「行かせるかよ!!」


「それはこちらのセリフだ!」


 止めにいくシンジの前に立ちふさがったのは大柄な隊長──ガディウス。部下から受け取った大剣を横に振る。とっさにエナジーブレードでガードするがあまりのパワーに吹き飛ばされ家に激突し、大きな音と土煙をあげる。


 すぐにガディウスの近くに居た3人の隊員がマシンガンを構えてシンジに向かい撃つ。土煙で様子はわからないが、それでも打ち続けた。するとブンと音と共に光の斬撃が2発土煙から飛んできた。


 ガディウスは大剣で防いだが、横で撃っていた1人がマシンガンごと斬り裂かれ軽く吹き飛び血が地面に流れる。


「奴はアトリビュートか。面白い……」


 土煙が晴れた。しかしそこにはシンジの姿はない。焦って周りを見渡す隊員とは違い隊長は冷静に辺りを見回す。


(あの女を助けたのを見ると、置いては行かないだろう。前に周りにも居ない。隠れているわけでもなさそうだ。ならば──)


 その瞬間上空から光の斬撃が3発飛んできた。やはりガディウスには防がれたが残りの2人はそれぞれ肩にヒットする。しかし深手とは言えないダメージだ。


 見上げるとそこにはさっきの一撃で吹き飛んだ時に出来た切り傷が顔についたシンジ。


 確認すると同時にガディウスも高く飛び上がった。大剣はシンジに向かい横に振られるが、見切ると空中にシールドで足場を作りそれを踏みだいにし避ける。


「シャイニングストライク!」


 黄色に光輝く右足で隊長に向かい急降下キックを放つ。しかし左手で足首を掴まれ不発に終わる。


 そのまま左に投げられクルクルと空中で回転する中再びシールドを作り踏みだいにして接近した。


 剣と剣がぶつかりギリギリと火花が散る。


「なかなかやる小僧だ。少しは潰し甲斐があるというものだ!!」


「ほざけよ!!」


 つばぜり合いが続くが落下は止まらない。徐々に地面が見えてくる。シンジを吹き飛ばし大剣を縦に振った。それをガードし地面に激突し轟音が鳴り土煙があがる。


 そのまま大剣を地面に向けて投げつけた。シンジは地面で倒れる中、両手を耳の横に付くとそのまま勢いよく両足をあげ、両手の力だけで後ろに跳ねる。大剣は地面に突き刺さり再び土煙と轟音が鳴る。


 ドン! と音をたてガディウスも地面に降りてきた。大剣を引き抜くと同時に構えシンジに迫る。剣と剣が何度も火花を散らしぶつかる。


 その一瞬の隙を突かれ蹴りがシンジの腹を捉えた。その衝撃で地面を勢いよく転が、素早く体制を立て直し片膝を着くように地面を滑る。


(思った以上のスピード。それにパワーもありやがる。この状況をどう打開するか……)


 息を整えつつ次の作戦を考える。ふとポケットの重みに気付いた。


(そうか! あの手を使うか!)


 良い策が思いついたのか、立ち上がりポケットからさっき奪った手榴弾を3つ取り出しガディウスに投げつけた。


(目くらましか……。笑止!)


 そう思った瞬間───


「シャイニングスラッシュ!」


 走りながら光の斬撃を飛ばす。それにより手榴弾は全て爆発し黒煙を上げた。そしてスライディングをしながらガディウスに近づく。


「甘い!! そのような眼くらましで───」


 スライディングで迫ってくるシンジに大剣を突き立てる。ズブリと体に突き刺さった。


「がはっ!」


 赤い血が吹き出る───と思ったその時。




 後ろに気配。




 すぐに振り向こうとしたが、大剣が引き抜けない。横目に移ったのは大剣を自分から抜けないように押さえるシンジの姿。


 血は出ておらずその顔はもらった! と言わんばかりのどや顔。そして────


 ガディウスの頭に衝撃──そして吹き飛ぶ。


 あの一瞬で何が起こったのかわからない。確かにわかったのは、大剣を突き刺したのは“分身”。その一瞬の隙で顔に強烈な一撃がはいった。


 地べたにぺたんと座り、民家の壁に寄りかかるガディウスの視線は、その場でエナジーブレードを肩に乗せ相手を睨みつけるシンジの姿。


(面白い……面白いぞ小僧!)


 仮面の下で口が三日月のように曲がっていた。






 その様子をただ見るしか出来ない隊員2人とレイナ。その瞬間トラックが走り去って行った方角から爆音が聞こえた。


 シンジが横に振った剣を後方にジャンプされあっさり躱さた。そしてお互い見合う。


「あっちで爆発したぞ。行かなくていいのか?」


「構わんさ。所詮なんにも能力がない奴が死んだだけだ」


「あんたのそういうところがムカつくんだよ。政府はクソみたいな奴しか居ないみたいだな」


 さっきまで激しい攻防を繰り広げていた2人だが、お互い息ひとつ乱れていない。シンジは幼いころからロイに戦闘の訓練を受けていた。その事が今功を奏している。


「光のアトリビュートと戦えるとは。………貴様…名は?」


「あんたらみたいなクソ野郎共に名乗る名なんてない」


「そうか……。我が名は政府軍特殊部隊隊長! ガディウス!」


 大きく大剣を振り回し肩に乗せ格好良く名乗った。しかしシンジは「あっそ」と言って興味は示さない。


 大剣を片手にガディウスが走りだす。しかし──シンジは動かない。軽々と斜めに振られた大剣をシンジも軽々と躱す。地面に当たる度に大きな音をたてて地面に少し亀裂が入る。


「避けてばかりでは我は倒せんぞ!!」


「ちっ!」


 大型の武器を振るう割にはスピードが早い。隙を突くにも突けないでいた。攻撃を防げば吹き飛ばされる。その考えが一瞬の隙を産んだ。


 横に振るわれた大剣がシンジを捉えた。


「甘い!!」


「しまっ───!」


 シールド5枚とエナジーブレードで大剣を防ぐ。しかし止まることなくシンジは吹き飛ばされた。轟音をたてて建物を次々と貫いていく。


 背中に殴られたような激痛がはしる。一撃目よりも強いのは食らってみてわかった。防御しなければ一撃で殺られるのも目に見えている。


(痛って……。なんつー力だ。それにパワーだけじゃねぇ。スピードもありやがる。長引かせるのは得策じゃねぇな)


 体に乗る瓦礫をどかしパラパラと小さい瓦礫の破片が落ちる中痛みをこらえて立ち上がる。


「あの攻撃をとっさにガードするとは………数々の戦いをくぐり抜けてきたと見る」


「………いや、2回目なんだけど戦うの」


 口元の血を拭いながら答える。


「なに?」


 予想を遥かに超える質問が返ってきたことに驚く。そして同時に思う。数々の戦いをくぐり抜けてきたガディウス。特殊部隊という政府軍の中でも上位の力をもつ部隊の隊長が戦って間もないシンジに苦戦しているということ。


(勝負は一瞬……!)


(これだけ頭の切れる奴だ。長期戦は不利だと思う頃。次で勝負に出るか……)


 そしてお互いが再び動きだす。最初に仕掛けたのはシンジ。


「シャイニングスラッシュ!」


 光の斬撃を数発放ち距離を一気に詰める。ガディウスはそれを弾きつつシンジの動きを見切り大剣を振った。


「シールド!」


 3重の光の壁を作るが虚しく大剣で砕かれる。一瞬───大剣の動きが鈍った瞬間。シンジはしゃがみこんでエナジーブレードをガディウスの腹に突き立てる。


「ぐっ!」


 プロテクターを突き破り、刃に伝って鮮やかな赤い血が流れてシンジの手に付く。


 初めて人を刺す感覚がわかった。しかし今のシンジにはそんな余裕はない。


 追撃しようとエナジーブレードを引き抜こうとするが、刃を右手で掴まれビクとも動かない。


「もらったぞ!! 小僧!!」


 ガディウスはシンジに左手で大剣を振り下ろす。とっさにエナジーブレードを放し右に転がって躱した。


(ここだ!!)


 さっきまでのスピードはガディウスにはなかった。


「シャイニングナックル!」


 その一瞬の隙に渾身の右フックをわき腹に放つ。メリメリとプロテクターを砕くように拳が刺さる。


 そしてガディウスの視界からシンジが消えた。


「シャイニングストライク!!」


 輝く右足でガディウスの顔に回し蹴りをくわえる。大柄な体が遠くまで吹き飛び土煙があがり轟音が鳴る。


「はぁ…はぁ…はぁ」と息を切らし肩を上下させるシンジ。


 土煙からガディウスが出てきた。顔を覆うヘルメットは壊れ顔が半分見えている。口元にはシンジ同様に血が付いていた。さらに腹部からは血が流れてプロテクターを伝い地面にポタポタと垂れる。


「 こんな楽しい戦いは氷のアトリビュートと戦った時以来だ。こんなにボロボロになるのも久しい」


「はぁ…はぁ。しぶといな……」


「貴様も……な!!」


 勢いよくエナジーブレードをシンジに投げつけ距離を詰める。ダメージを受けているにも関わらず勢いが衰えることはなかった。


 クルクルと回るエナジーブレードを簡単に掴み取るとシンジも距離を詰める。


 お互いの剣がぶつかり火花が散り、再び鍔迫り合い。


 ガディウスがシンジを押し返そうとした瞬間───辺りの雰囲気が変わった。


 瓦礫が急に浮き始め、隊員たちが周りを見る。


「なんだ?」


「瓦礫が……。浮い──」


 隊員が言いかけた瞬間。隊員2人の首から血が吹き上がった。危険を察知しシンジとガディウスはお互い後ろにジャンプし後退する。


(急になんだ? 新手か?)


 その瞬間ガディウスの辺りに土煙が上がる。


「っ! そこか!?」


 ギン! と剣同士が何度もぶつかる。奇襲を掛けたつもりだったのだろうか。それでもガディウスには通用しなかった。


 そしてシンジの目の前に女の人が降り立った。


「ダンジさん! その娘を連れて離れてください!」


「はいよっ! リナも早く引けよ!」


「わかってます!」


 急に現れたリナと呼ばれる黒髪でセミロングの女の人とダンジと呼ばれた中年のおじさん。


 状況変化に少し戸惑うシンジだったが、リナがガディウスを攻撃したのを見ると少なくとも敵ではないことはわかった。


「お前もダンジさんに付いていけ」


「は? 急に現れて付いてけなんて言われて、はいそうですかなんて言えるかよ」


「素直に言うことを聞け。直に政府の別の部隊が来る。その前に撤退するんだ。いいから急げ」


 確かにガディウス1人で手こずっているのに、別の部隊が来ればさらにヤバいのは目に見えている。ここは素直に言うことを聞くことにしたシンジはエナジーブレードを鞘に閉まった。


「逃がすか!」


「悪いが撤退させてもらう!」


 剣だった武器が銃に切り替わる。そのままガディウスに数発撃ち次に足元に数発撃った。土煙があがりシンジとリナの姿を見失ったガディウス。大剣を横に振り土煙を払うがそこには2人の姿はない。


(逃げられたか……だが、次はないぞ…小僧)


 ガディウスは静かに後ろに振り向きその場から離れるように歩き始めた。


どうでしょうか?


感想や意見などありましたらよろしくお願いします!


次は出来るだけ早く投稿したいと思います

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