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魔女さんとわたしの欺瞞

一週間近く期間が空いてしまいました。

この場を借りて謝罪させていただきます。すみませんでした。

ぜひ今後ともこの作品をよろしくお願いします…!

 魔女さんと出会った日から、一週間がたちました。

 

 最初はねこさんが立っていることに驚いていたわたし。

 そのあとで小人さんに出会い、懐かれてしまったり…。

 色々ありましたが、たくさんの初めてに出会えたとても実りのある一週間でした。


 どれも魔女交流センターさんに加入させられて…もとい、したお陰でしょう。

 今になってみれば、これも運命だったのかもしれません。

 そんなわたしですが、魔女さんと生活を共にするなかで気付いたことがあります。

 

 それは、魔女さんが全く家からでないと言うことです。


 一週間たちましたが、一度も家から出ることはありませんでした。

 朝のんびりと起きてはゲームを始め、たまに本を読んでは眠りこける…。

 そんな怠惰な、と言うのでしょうか、堕落した生活を送っていました。

 そして一週間経った今日も、例に漏れずソファーでゲームに興じていました。


 「うわー!ちょっとなんですかこれ、バランス崩壊もいいところですよ!」 


 ーーまたですか…。

 魔女さんはゲームをしているとき、やたらめったら声をあげます。

 いつものことなので驚かなくなりましたが、最初は突然の大声にビックリさせられたものです。


 「魔女さん、町にでも遊びにいきませんか?いつまでも家に居てもしょうがないですよ」


 「だめです!いまお姫様を助けないと何をされるか分かったもんじゃないのですよ!?放っておくことなんてできません!」


 「だーかーら、何度もいってますよね?それはゲームのお話ですからセーブして中断出来るんですよ」


 「セーブ中にストーリーが進んでるとも限らないでしょ?だから中断なんて出来ません!」


 「大丈夫ですって進みませんから。だいたい、何でそんなに外が嫌なんですか?」


 「日差しにさらされたくないし歩くの疲れるし、それに…なんでもないです。とにかく、いいことなんてないんですからね」


 …こ、この人は…。


 「そんなこと言わないで、一回出れば考えなんて変わりますよ」


 「嫌ですー!外にでるなんて愚の骨頂ですよ(笑)」

 

 …とまあこんな感じでして。

 わたしは、頑なにゲームをやめない魔女さんをどうやったらお外に出せるのか模索中なのです。

 何か大きなイベントとかあればいいのですが…。


 「祭り?祭り?」


 方に乗っている小人さんが突然喋りかけてきました。

 小人さんたちは片言といいますか、必要なことしか言わないのが特徴です。


 「ん、お祭りあるんですか?」


 「花火!花火!」


 「花火祭りですか、行きたいですね~」


 「いく?いく?」


 「魔女さんを見てないと行けないからちょっと厳しいかもしれませんね。ごめんなさい」


 しょぼん、と小人さんは縮こまってしまいました。

 そんな顔しないでください…わたしが悪いみたいじゃないですか。

 途方もない罪悪感にかられたわたしは耐えきれずにこう言います。


 「分かりました。聞いてみますけど、無理だったら諦めてくださいね?」

 

 「ーーということで魔女さん」


 「なんでしょうか」


 「お祭りにいきませんか」


 「えー、お祭り…?ゲームしないと行けないから…」


 やはり駄目でしたか…。

 だが一筋縄でいかないのがわたし。

 考えていた第二の策に移行することにしました。

 

 「どうしてもダメですか…」


 「えっ」


 「本当に、本当にだめですか…?」


 「うっ、駄目なものは駄目なの!…悪いけど諦めてください」


 「そうですか…分かりました」


 そう言ったわたしは目を下げてわざとらしく落ち込みます。

 これが第二の策、その名もーー魔女さんの同情を誘うぞ大作戦。

 魔女さんはゲームばっかやっていますが、根は優しくていい人なんです。

 さすがにこの作戦は堪えているはずでしょう…。


 「では、失礼しますね。お時間とってすみませんでした」


 わたしは魔女さんの前をあとにします。

 哀愁漂う背中が魔女さんの目には焼き付くように見えているはずでしょう。


 「ちょ、ちょっとまって!」


 …ふふっ作戦通り。

 魔女さんは悲しそうに戻るわたしを見て黙っていられなくなったようです。


 「う…うー…。しょがないから一緒にいってもいいけど、少しの間だけね…」


 「ふふ、騙されましたね…魔女さん」


 「え、えぇ?騙されたってどういう…」


 「演技ですよ演技。長生きなのに気づけなかったんですか?」

 

 「前言撤回よ、やっぱりゲームするから行かない!」


 「甘いですね魔女さん。わたしがそんなこと予見出来ないと思うんですか」


 「どういうこと…?」


 「これを見なさい!」


 そう言ったわたしは高らかにボイスレコーダーを掲げます。

 どうせこんなことになるだろうと思い、第三の策も考えていたのです。


 「まさか…」


 「そのまさかですよ、ほいポチっと」


 ボタンをおしたボイスレコーダーからは魔女さんの声が流れます。


 「(しょうがないから一緒にいってあげてもいいけど、少しの間だけね…)」

  

 「ぬ、ぬぬぬ、ぬわあああああ!!」


 魔女さんは顔をソファーにぴったりつけて叫び声をあげました。


 「ず、ずるい…こんなやり方なんて…」


 「はい、わたしの勝ちですね。ということなので、今晩出掛けますから準備していてくださいね」


 「くそぅ…くそぅ…」 

 

 そういって魔女さんの前をあとにします。

 我ながら結構綺麗にはめられたものですーーあっぱれわたし。


 「いける?いける?」


 「ええ、皆で行けますから夜まで待ちましょうね」


 「やった!やった!」


 いぇーいと小人さんの小さな手とはいタッチしました。


 とまあこんな感じで、わたしたちは町で開催される花火祭りにいくことになったのです。

  

 


 

 



 


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