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夢日記  作者: 森の小人
恋愛編
79/160

《season2》リアルのパーティ

現在の犬塚家では…。


4人用の小さいテーブルにところ狭しと並べられていた料理は跡形もなくなり、ビール缶や酒の入っていた瓶が散らかっている。


「嫌ぁぁあー!何やってんの!」

貴子は近江が持っているアルバムを取り返そうとしている。

貴子の母親が珍しくお酒を飲んだことにより暴走し、貴子や一美が幼い頃の写真アルバムを持ち出してきたせいだ。

「良いじゃん、わんちゃん可愛いって」

「……萌え」

「私だけ晒すなんてフェアじゃないよ!」

「大丈夫!!私も晒してるから!」

酔っ払い気味の一美が顔を赤くしながら言った。

「何が大丈夫なわけ!?」

終いには母親が貴子が幼かった頃の文集を持ち出した。

「《6年1組、犬塚貴子。私の将来の夢》」

「読むなーー!ってかどこから出てきたわけ!?」

「ふふふ」

母親は怪しげに笑う。

「あんたがどこに何を隠してるかなんてお見通しよ」

「げっ」

母親は文集を近江に渡す。

「なんなら、高校生の頃の日記でも持ってこようか?」

「ガチで止めてーーー!」

「阿久津!パス!」

そして貴子の文集は近江から阿久津へと渡る。


その一方で、ほろ酔い気分の百合と礼は父親に絡んでいる。

「貴子にこんなに良い友達が出来るなんて…」

「お父さん、私たちが一生貴子さんの面倒を見ますから安心して下さい」

「お父さん。僕らが必ず貴子さんに相応しい男性を見つけてみせます!」

「そうか…。これで俺は、安心して…死ねる…」

「「(礼、百合)お父さんっっっ( ; ; )」」


ダイニングと一間続きのリビングで、浩太郎と航平が無言で睨み合っている。

「また、勝負します?」

「ふっ。俺はそこまで馬鹿じゃねーよ」

「そうですか」

そこにアルバムを持った阿久津がやってくる。

「《私の夢は、お花屋さんになることです》」

「ぎゃー!何読んでんのー!」

「ん?どれどれ?」

航平が阿久津から文集を取る。

「《おばあちゃんの育てたキレイなお花を売ったら、世界は平和になると思います》」

「わんちゃん可愛いー」

「世界は平和になるだってさ!」

「もう!小さい頃の話なんだから!」

「でも、その頃から花が好きだったんだね」

「うん。良い話。おばあちゃんも喜ぶよ」

そして何故か佑太郎が文集を取って読む。

「まだ続きあんじゃん。《そしてお店が有名になって、お金持ちになります》」


「…………。」


「最後の一文で台無し…」

「うん、ちょっとがっかり…」

「な!?勝手に人の読んでおいてガッカリしないでよ!」

「今頃おばあちゃん悲しんでるぞ」

「悲しんでないし」

貴子はようやく文集を取り返す。

「ったく。失礼な」

「でも…」

航平は貴子の手を取り

「お花屋さん、良いね」

「え?」

「わんちゃんにピッタリ」

貴子は顔を赤くする。

「確かにわんちゃん、って感じする」

「うんうん」

「…そうかな…?」

「金持ちになるのは難しいだろうけど」

「もう!その話はしないでよー」

貴子は無意識に航平の手を握り返した。

(…お花屋さん、か……)

航平はその様子を見て微笑んでいた。





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