リアルの夜明け
ドリームファームの最下層で、貴子は種蒔きを終えてから新たに種を買いに行った後、レイ(伊藤礼)の家に向かった。
みんなに話がある、と集めていたのだった。
家に行くとすでにレイやユーリ(浅田百合)、大海以外にアクマとドS兄弟のコウ(浩太郎)、ユウ(佑太郎)が待っていた。
「やっと来た!」
ユーリはすぐにお茶を淹れ、貴子に渡した。
「わん汰、呼び出しておいて遅い」
「ごめん!種屋さんで話し込んでた…」
「それで?」
貴子が椅子に座ると他のメンバーは静まり、貴子は咳払いをしてから話し始めた。
「あのね、みんなでオフ会しない?北海道で」
「え?」
「え?」
「北海道?」
「何?何?北海道旅行?」
「えっと…浩太郎さんの友達が北海道のゲレンデの近くでペンション経営してるらしくて、みんなで一泊2日でスノボーしに行きたいなー…なんて考えてるんだよねー」
「へぇ。いいな、ゲレンデ。俺はスキー派だけど」
レイがそう言うと
「私もスキー派♪」
とユーリは言った。
「俺はボード派!ちなみにどこのゲレンデ?」
「富良野」
「ラベンダー!」
「ホタルぅぅぅ」
「絶対誰か言うと思った」
「(ユーリ) ♪んーん〜」
「(大海) ♪んんーんーー」
「(アクマ) ♪ん〜んんーん〜」
「歌わなくていいから」
「で、いつ行く?俺と阿久津は春休みだから基本的にいつでも」
「お前、勝手に決めんなよ」
「え?お前行かねぇの?」
「行くけど」
「なら良いじゃん」
「私と礼たんは土日休み。確か貴子さんもそうだったよね?」
「はい」
「あれ?ユーリさん美容院で働いてるのに土日休みなの?」
「そうだよ。こう見えて私、オーナーだから♪」
「うわっ、カッケー…」
「でしょ!あ、コウさん達はどう?」
「…俺らは聞いてみないと分かんねぇ」
「あとは、そのペンションがいつ空いてるかだよね」
「確かに」
「俺、わん汰と同じ部屋でいいよ」
「絶対嫌!てか何で上から目線?」
「それと、どうやって行く?」
「電車?車?フェリー…あとは飛行機?」
「夜行バスっていうのもあるよね!」
「それって金曜日の夜に出発する感じ?」
「なんか修学旅行みたいで楽しそーー♪」
「ユーリ、テンション高すぎ」
「だってー、大勢で旅行とか久しぶりなんだもん」
「枕投げやる?」
「大ちゃん、それ幼稚すぎ」
「え!?じゃあ怪談話?」
「完全に修学旅行じゃん」
「じゃあ私、トランプ持っていくー!」
「俺は…、ウノ持ってく」
「待て待て、まだ何にも決まってないから」
礼が冷静に言った。
「とりあえず、各々行き方調べて、後は…自分が必要なものを用意するってことで、オッケー?」
「うん」
「了解!」
「さすが礼さん、しっかりしてますね!」
「こういうの、普通は一番年上の人が仕切るよねー」
アクマがそう言いながら貴子を見ると、貴子は無言でアクマの頭にチョップした。
「あのさ、」
と貴子が切り出す。
「ん?」
「私の妹が北海道の大学行っててさ、もし都合が合えば誘おうかなって思ってるんだけど…どう思う?」
「わんちゃん妹いるんだ!」
「うん。今年卒業で3月にはこっちに戻ってくるし、この際みんなに紹介しようかなって思ってさ」
「良いんじゃない?」
「そうかな?」
「うん。人数多い方が楽しいじゃん」
「人数ってか、女が多いに越したことはない。そいつもドM?」
「知るか!」
「妹さんにはもう連絡してあるの?」
「ううん、明日連絡してみる予定」
「そっか。………ってかさぁ、」
「ん?」
「何、その花?」
大海は貴子の持っていた赤色のコスモスを指差した。
「ああ、これ?種屋の店員さんがくれた」
「種屋の店員?」
「うん」
「何で?」
「お礼のお礼だって」
「何それ?」
「さあ?」