《season3》リアルの食卓
貴子の家の前。
仕事を終えた航平と合流し車に乗り込む。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
「今日は忙しかったみたいですね」
「うん。オイル交換が立て続けに入ってさ。まぁ、これくらいが普通なんだろうけど」
「そうですか」
「大丈夫。体力は残してあるから」
「何のためにですか」
「………、先ずは軽く買い物してご飯食べてからだね」
「はい」
2人はスーパーで材料を買ってから航平の家へと向かった。
「今日は俺が夕飯作るよ」
「良いんですか?疲れてるのに」
「平気。ゆっくりブログでも更新してて」
「了解です」
貴子は携帯でブログを更新し、その間に航平は鼻歌を歌いながら夕飯を作る。
そしてブログを更新し終わる頃には航平も夕飯を作り終えていた。
「いただきます」
「いただきます」
「美味しそう!なんかお洒落ですね」
「ホテルでウエイターのバイトしてたから、ある程度は料理の知識があるんだよ」
(…カルパッチョに…、これは何ていう料理なんだろう…)
と思いながらフォークを握った。
「なるほどー。うん!凄く美味しいです!」
「良かった。いっぱい食べてね」
「はい」
「あ、昨日モンペどうだった?」
「面白かったですよ。昨日も拓真と合流して一緒にモンスターと戦いに行ったりして」
「そっかー」
「ローキンは面白いですか?」
「うん。最初に貰う車はかなり遅いんだけどね。俺、カプチーノ選んだよ」
「え!?航平がカプチーノ…………ふふ」
「変かな?」
「航平さん大きいから違和感が…」
「そう?黒のカプチーノ、カッコ良いよ」
「カプチーノって速いんですか?」
「どうかな?色々変えていけば速くなると思うけど…。お金貯まればガレージを拡大して他にも車を買えるようになるし、今はカプチーノで遊ぶ感じ」
「ふーん」
「知ってる?ローキンはレース以外に、色んなところをドライブしたり出来るんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。実際にある道もあれば、架空の道だったり。ドリファムの恋人限定マップみたいな感じかな」
「へぇ♪」
「それに運転の練習にもなるし」
「おお!それは良いですね!」
「噂ではローキンが出てから、交通事故件数が減ったらしいよ」
「凄い…」
「でしょ?興味持った?」
「少しだけ。でもモンペの方が楽しいです」
「そっか。俺も試しにダウンロードしてみようかな」
「是非♪」
2人は食事を終えるとソファに座り、ふぅとため息を吐いた。
「いよいよ来週か…」
「ですね」
「もう荷物はまとめたの?」
「ある程度は。ただこっちより寒いのかなぁとか、色々考えたら荷物増えすぎちゃって…」
「ははは。わんちゃんらしいね」
「でも本当に車で行くんですか?」
「うん。わんちゃんのお母さんさんに、車ないとどこにも行けないよ、って言われたし」
「でも、夜行バスでも8時間くらいかかるんですよ?」
「休憩挟みながらだし大丈夫だよ。早朝に出て、遅くても夕方前には着けるよ」
「私!運転代わります!」
「ううん、遠慮しておくよ…」
「………」
貴子はあからさまに不機嫌な顔をする。
「もしかしたら、少し運転お願いするかも」
そして貴子は機嫌を直して
「はい!任せて下さい!」
と言って喜んだ。航平はその様子を見て微笑む。
「そういえば今日、渡辺さんから電話あったよ」
「…渡辺さん?」
「わんちゃんの元上司。狸じじい」
「はっ。その名前っ」
「ははは。わんちゃん、渡辺さんに会ったってブログに書いてたよね」
「はい」
「事情は聞いたよ。連絡くれって言ったのに一向に連絡くれない、って嘆いてた」
「…野菜が実ってから連絡するつもりでした…」
「そうなんだ。渡辺さんが畑見てみたいって言ってたよ」
「え!?」
「もしかしたら暇なのかもね」
「えーー…。見せられるほど凄いもの作ってないんですけどね…。でも何でこーへいさんに電話したんでしょう?」
「引き継ぎしてた時に、わんちゃんとは知り合いだっていう話をしたからだと思う」
「そ、そうなんですね…」
「うん。ついでに今付き合ってるって話した」
「………///」
「そしたら渡辺さん、結婚式には呼んでくれって言ってたよ」
「進んで仲人やりそうですね」
「確かに。とりあえず渡辺さんには、電話するよう伝えておきます、って言ったから明日にでもかけた方がいいかも」
「分かりました」
「さてと」
航平は立ち上がり
「お風呂入ろうか」
と言って貴子を見る。
「え!?」
「一緒に」
「え…いや…それは……」
「ね?」
航平は貴子が「はい」と言うまで満面の笑みを浮かべていた。