《season2》[番外編]ニコラスとふた葉Ⅳ
さらに翌日のこと。
貴子の家はいつものように賑やかだ。
貴子が畑仕事をしている中、ユウとふた葉がギャーギャー騒ぎ、それをユーリとレイが微笑ましく見つめている。
「うぜぇ!どっか行けよ」
「ユウさーん、そんなに照れなくてもー☆」
「照れてねーし。こっち来んな」
「まぁまぁ、せっかく付き合うことになったんだからさ♪」
「あくまでドリファム内だけだからな!」
「大丈夫♡すぐにリアルでも…むふふ」
「ウエーーー」
ニコラスはニコラスとしてのアカウントを消去し、ふた葉として新たにドリファムにやってきた。
今まで手に入れたものは全て消えてしまったが、ふた葉にとっては大したことではない。
「これからは同じグループとして一緒に居られるよん」
「今すぐ追放してやるーー!」
ニコラスだった時のキャラはふた葉に引き継がれ、ユウが頭を抱え、ふた葉はそれを面白がっている。
ふた葉の存在を知るものはごく一部で、エルフ精鋭グループですらこの事実は知らない。
ズームはオフラインのままドリームファームから姿を消し、他のメンバーも貴子の家に来ることはなくなってしまった。
「賑やかだけど、少し寂しいね」
貴子は呟くようにコウに言った。
「佑太に相手にされなくなったから?」
「はい!?違うよ」
「ふーん」
「やる事ないなら釣りでもしたら?」
「やる事あるし」
「何?」
コウは貴子にキスした。
「ばっ…///」
「今日、車来たんだけど」
「え?」
「明日、ドライブ行く?」
「………」
「何?もう一回キスして欲しいって?」
「言ってない」
「あっそ」
「行く!」
コウは微笑んだ。
「ワンタン達と一緒に」
コウは顔を歪めた。