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夢日記  作者: 森の小人
恋愛編
111/160

《season2》[番外編]ニコラスとふた葉Ⅰ

ドリームファーム最下層、中央広場にて。



貴子はニコラスと待ち合わせをしていた。

ニコラスに『明日の0時に下の中央広場前に来て』と言われ、訳の分からないまま承諾したのだった。

「わんちゃん、お待たせ!」

目の前に現れたのは、自分より少し背の高い女の牧場主。

「も、もしかして…ニコラス!?」

「うん!サブアカ取って作ってみたんだけど、どうかな?」

メインのキャラとは別に新しくキャラを作ったようだ。

「リアルの見た目通りなの?」

髪はベージュ色のショートカットでふんわりとパーマがかかっている。

「うん、だいたい、こんな感じかな?」

「可愛い!凄く可愛いよ!」

「そ、そうかな?」

「うん、うん!あ、この『ふた葉』っていう名前って本名も文字ってるとか?」

「というより、本名そのまま…なんだよね」

「へぇ!名前まで可愛い」

「はは、ありがとう。僕としてはニコラスの方が気に入ってるよ。名前から文字ってるし」

「え?文字ってる?」

「うん。ふた葉の'2つ'から'2個'でニコ、ラス」

「なるほどね!てか、どうする?今からユウちゃんに会いに行く?」

「……。どうしよう…、まだ心の準備が…」

「と、とりあえずニコラス…じゃなくて、ふた葉のお家に行こっか」

「…うん」



2人は小さなダイニングテーブルにつく。

「懐かしい…」

「だよね。僕も久しぶりに見たよ」

「このアカウントでしばらくやるつもり?」

「うん。レベル上げしなきゃ」

「手伝いたいけど、ユウちゃんにふた葉を組合に入れてもらわなきゃいけないし…」

「平気だよ。僕、効率のいいレベル上げ知ってるから」

「え!?何それ!?」

「ほうれん草の無限栽培」

「………?」

「畝を2つ作ったら、あとはひたすらほうれん草を植える。それだけ」

「何でほうれん草…?」

「ほうれん草だけ体力使わない仕様になってるんだよ、何故か」

「そうなの!?」

「気づかなかった?たぶんレベル10未満だけだと思うけど。体力使わずに作業出来て、経験値が溜まる」

「それ、チートじゃ…?」

「そう?その分お金は貯まらないよ?」

「そっかぁー」

「うん。だから明後日にはレベル10になると思う」

「え!?明後日!?早すぎ…」

「その分、ひたすらほうれん草栽培だけどね」

「レベル10になったらどうする?」

「……。どうしようかなぁ。ユウさんのグループに入れてもらって…。出来たら…好きって伝えたい…かな」

「はぅっ…。可愛いっ」

「え?」

「私!応援する!」

「う、うん。ありがとう…」

貴子は何と無く百合の気持ちがわかったような気がした。



貴子がふた葉の家から自分の家に帰ると、いつものようにレイとツインズ、そしてズームがやってくる。

「みんな、暇だねぇ」

「ドM、またニコラスとデートしてたのか?」

「はい!?」

「今日は珍しくニコラスがオンしてない。団長〜」

ズームがガッカリした様子でソファに座る。

「用がねぇなら帰れ」

「ここ私の家なんですけど…?」

「はぁ、最近団長冷たいからなぁ」

「ズームって本当にニコラスと仲良いよね」

「俺、エルフ谷の頃からずっとニコラスが好きだったんだ」

「…………え?」

「は?」

「あ?」

「お前、もしかして…そっち系!?」

「え?みんな知らないの?」

貴子はマズイ、という顔をする。

「ニコラス、女の子だよ」

(あーあ、言っちゃった)

貴子は世界の終わりが来たかの様な顔をした。

「は?」

「まぢ?」

「え!?本当に知らなかった?みんな。声は男の子っぽいけど、仕草を見てたらすぐに分かるよ」

レイとユウは目を閉じてニコラスのことを思い出している一方で、コウは貴子の反応を怪しげに見ている。

(あ…。マズイ…)

貴子は唇に人差し指を立てて、お願いだから何も言わないで、と願った。

コウは貴子の必死さに、仕方なく無言を貫きズーム達の方を見る。

「確かに…時々変な態度を取る時が…あった、かな?」

「そうだったか?全然気づかなかったわ」

「俺はすぐに気づいて、それから団長のこと、ずっと…」

「は?キモ〜」

「え!?」

「ずっと想ってたとかキモいだろ。好きならサッサと告れよ」

「む、無理だよー。団長には好きな人が居るみたいだし…」

「関係ねぇーだろ、そんなもん。好きなら自分のもんにしちまえよ」

「でも…」

「なんなら、俺が協力してやるよ」

ユウはニヤリと笑い、それを見た貴子は

(最悪の展開だ…)

と、下を俯いた。




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