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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第6章 自分と世界をしっかり見つめて
81/180

エル

 おかしい、前とは逆だけど絶対に変わっている。いや、元に戻っている、あの頃のちょっと腹の立つ敬語に戻っている。

「ん? 喋り方ですか?」

「ええそう、何かあった……まさかあんた、偽物じゃないでしょうね…」

「そんなわけないでしょう、調べ物は終わったかなって、そう思ってここに来たんじゃないですか」

 …確かにシオンだ、この人を小馬鹿にしたような敬語の持ち主は私の中でシオンしかいない。何があったのかは知らないけど、やっと慣れてきたのに戻されても困るのよね。

「あれっ、三葉さんは?」

「三葉なら仕事に戻ったよ、多分そこらに行列あるんじゃないか?」

 三葉ちゃんの事も知ってる、やっぱりこいつは本物よ。でもなんでまた急に戻ったのかしら、前のは美良さんが亡くなったショックで変わったのだとして、今回は何のショックが…

 考えても無駄ね、別に戻っても戻らなくてもシオンはシオンだし、少しばかりイラつくのは変わってないしね。どうせならそこが変わればいいのに。

「そうだそうだ、言い忘れてたんですけど、俺も偽物と一緒に裂け目を探してたんですよ、それで少しでも探す場所を減らすために行った場所教えますね。えっと……魔力の泉と砂丘と変な石の森です」

「へぇ、本当にいたんだ」

「えっ? それどういう意味ですか?」

「いやぁね、私もそこに行ったのよ。そうしたらそこにいた露世さんたちがあなたを意思石地帯で見たって。そういえば誰かと話してたらしいけど誰なの?」

「えっと……それは……」

 ん? 明らかに様子が変わった、言いにくい事なのかしら、それとも隠さなきゃならない事? シオンの分際で私に隠し事なんて……やめときましょう、さすがに性格悪いわ。

「えっと……そ、そう! 友達、友達ですよ。薬関係で仲良くなった友達ですよ。あはははは……」

「名前は?」

 樅さんなかなかきつい事するわね、絶対にこの人嘘って疑ってるわ。

「な、名前ですか……、ず、ずっきーです…」

「あだ名……シオンもあだ名とか使うんだ」

 うーん…、嘘の名前であだ名を言うのは無理よね、だったら本当にずっきーって人と話してたのかしら、……まぁいいか、気にしても仕方ないわ。

「そう、ずっきーねずっきー、分かったわよ。それで私の探した場所は…………って感じです」

「ふむ、かなり絞れたし明日にはもしかしたら見つかるかも、じゃあ今日は解散でまた明日の朝8時にここで」

 やっぱり仕切ってる、私としては仕切ってくれた方が楽でいいけど、あまり知らない人にあれこれ決められるのはちょっと…

「すみません、明日は俺仕事あるんです。だから2人でやってください」

「なんでよ、仕事に支障が出るからこっちを優先させたんでしょ?」

「いいんですよ、偽物なんていませんから…」

 なによ、全部わかったような目をして…、もういいわよこんな奴は、樅さんもいるけど私で十分よ。




「どうだったかしら」

「そうね、一応は見つけたのだけれど犯人らしき人と一緒に消えちゃったわ」

 晩御飯を食べながらの作戦会議、当然参加者は私とモエミの2人だけだ。今日は疲れたから簡単なものにしたけど……まぁまぁの出来ね。

「犯人? 世界にストレスを与えている犯人がいるとでもいうの?」

「うーん…、そうとは限らないのよね。偶々裂け目を見つけて、それをおもちゃに事件を作ってるだけかもしれないから」

「確かにそうね、ご飯おかわり」

 まったくモエミは子供なんだから……緊張感なんてあったものじゃないわ、それにおかわりなら自分でよそいなさいよ。

「まったく……ほら、それでその犯人なんだけど、シオンに似てるのよね」

「…っ! …………」

 どうしたのよ、箸が止まって……それに難しそうな顔をして、犯人に心当たりでもあるのかしら?

「ねぇ、顔色悪いわよ、何か心配事でもあるの?」

「…! いいえなんでもないわ、気にしないでちょうだい」

 気になるわよそんな顔されたら、……でもモエミだって何も考えてないわけじゃないから、言われた通りにしておくのが賢いわね。

 さて、私はもうお腹いっぱいだし、さっさと片付けてお風呂はいって歯を磨いて寝ましょう、今日は飛びすぎて魔力が減っちゃったから、よく眠れるわよ。

「じゃあモエミ、私はお風呂はいってくるから、食べ終わったら流し台に置いておいてね」

「はーいごゆっくりー」

 ……さっきの顔が嘘みたい、やっぱり何も考えてないのかしら。

 そんな事は気にしないっと、さてお風呂お風呂、お風呂に浸かって疲れをとりましょう。


「……………やっぱりあの人が……」

「あの人って誰かしら?」

「……⁉︎」

「お久しぶり、元気してたかしら? あなたがいなくなって私も寂しかったのよ」

「……何が寂しかったよ、勝手な事をしておいて…それでも管理者なの?」

「あなたの行動は間違ってはなかった、以前あなたは私にそう言ったわ」

「……目的は何なの、今度はカナンも消滅させるつもり?」

「あなたには教えられない。ま、そうするかもしれないわね、すべてはあの娘次第。でも期待はしてないわ、あの汚れた心じゃ…」

「白花ちゃんは! ……白花ちゃんはそんな娘じゃない、あの娘の過去も知らないくせに勝手な事を言わないで! あの娘をけなすのなら、たとえあなたでも容赦しないわよ!」

「…! ………ふふっ、あの自分勝手で我儘なモモがね、この世界が変えたのかしら。まぁいいわ、あの時も今も、私は世界の事を思っての行動をしている、それだけは忘れないでね。じゃあ1週間後に、裂け目は見つけられないわ」

「ちょっと、待ちなさい! まだ話は…!」

「どうしたのよ大声出して、誰か来てたの?」

 話し声が聞こえると思ってたら急に怒鳴って…急いで着替えて来てみたら誰もいない、一体何がどうなってるのよ。

「どうしたの、誰か来てたの?」

「……いいえ、昔の友人がね。でも喧嘩して帰っちゃった」

「ふーん…、友達なんでしょ、ちゃんと仲直りしなさいよ。ほら、モエミもお風呂はいっちゃって」

 流し台に行き洗い物をする、お風呂の後に洗い物って暑いのよね。


「………エル……」

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