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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第6章 自分と世界をしっかり見つめて
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妹想いの形

「その発想はなかったわ……でも少し弱いと思う、私確かにこの耳で聞いたから。非常にまずい、場所を変えるしかない、って」

 あまりにも急すぎて不意をつかれたけど、確かに聞いたから間違いはない。今戦うわけにはいかない、とも言っていた、つまり偽シオンは戦うつもりでいる。

「なーんだ、それを先に言ってよなんかあたしがマヌケみたいじゃない」

「あなたこそ重力の事言い忘れてたでしょ、これで五分」

 ぷくー、と頬を膨らませている三葉ちゃん、まだまだ子供ね。……隣の樅さんからの目線が痛い、絶対に睨まれてる。

「ふーん……大体こんな感じかしらね、あとは関係の無い事しか書いてないわ」

 結局大した収穫はなかった、他の本を読んでみればまだ可能性はあるかもしれないけれど……これ以上この妹への愛が過剰な兄を刺激するのはまずい。でも本の名前だけなら、それだけならいいわよね。

「ねぇキアレ、そこに退けた本の名前って何なの?面白そうだったら今度読みたいから」

「ふふっ…」

 うっ…! 忘れてた…真知さんいたんだ、どうしようバラされる…嘘ついてるのバラされる…う、うまい言い訳を…!

「えっとほら! こういう未来の約束みたいなのをしたほうが事件を解決する力になると思わないかしら?!」

 ………………恥ずかしい…

「ふふふ、『世界の超常現象』、『空間の歪み』、『暗黒の力よ、この世を全て飲み込め』、『昔話 ある世界の終わり』、この4つ。どう? 興味を持った本はあるかしら?」

 キアレに言ったけど、代わりに真知さんが教えてくれた。でも私の心が分かるからって笑って……ああもう顔から火が出るわ。

 ……本の題名は教えてくれた、そこら辺りは真知さんの大人な所だわ、さすが年上。だけどからかうのはやめてほしい…1人で恥ずかしくなってるのが恥ずかしいんですもの。

「そうですね……その昔話とか面白そうです」

「そう? じゃあ置いといてあげる。……からかわれるの嫌?」

 な、何を突然……しかも分かってるはずなのにわざわざ……大人って言ったけど撤回、こういう所は子供……口で言おう、考えた所で全部バレるから。

「できればやめてほしいです、恥ずかしいですし……私なんかをからかってそんなに面白いですか?」

「面白いわよ、焦ってる白花さんかわいいもの」

 なっ…! なな何を仰いますやら…、またそうやって真知さんは私の事からかって…私がかっ、かわいいわけがないわよ…

「かわいいよ、妹みたいな存在? アレサもキアレも私を主人として扱うから、兄弟っていうのに憧れてたの。まぁ義理の妹みたいな娘がいるのだけど……滅多に帰ってこないから。……その娘と似てるの…強がって嘘ついてる所が、だからってその娘の代わりじゃないんですよ」

 真知さん妹さんがいたんだ………うん…そっか、そうよね。

「嬉しいの?」

「なっ…! べ、別に嬉しいわけではなくて、ただ真知さんも面白いだけで心を読むんじゃないんだな、って…」

「もちろん、これでも愛は持ってます」

 あはは…でも私強がってなんかないのに、思った事を正直に言ってるつもりなんだけどなぁ。最初に会った時にも言われたけど、私自身が私の本当の心に気づいていないとか…そういう事なのかしら。

「あなたの過去は知ってる…というより前に知りました、小さい頃から1つの想いをずっと貫いているって事は素晴らしい事、言葉しかあげるものがないけど、これからも頑張って。いつでも相談にのりますから。さぁ、裂け目探し頑張って!」

 あら? 今日の真知さん不調なのかしら…小さい頃の想いなんてとうの昔に捨てたのに…ま、いっか。なんか無理やりに送り出されてる感じがするけど、真知さん嬉しそうだし、三葉ちゃん退屈そうだし、そっちの方がいいわ。

 調べる事も調べたし、真知さんの言う通り探しに行くとしますか。

「場所の検討はついてないから、しらみつぶしに探すわよ。覚悟はいい?」

「できてない場合は?」

「くすぐる」




 見つからない! 白花さんはどうやって見つけたんだ? そりゃ太陽が見えなかったら気づくだろうけど、……という事は今度こそ全く気付かないような場所に……

「呼んだら出てくるってわけでもないし、どうしたものかな…というかここ何処?」

 重力で町とか森の位置、さらには人の気配まで分かってしまう、だからおれはここへ来た。ここには人が3人いる、白花さんはおれに似た奴1人って言ってたけど、仲間がいないと断言できるわけではないからだ。

 しかし不思議な場所に出てしまった、感覚では普通の森だと思ったのに。

 俺のいた世界にはストーンヘンジってのがあったらしいけど、あそこは岩が奇妙な並びをしているミステリースポットだったはず。ならここはミステリースポットになるのだろうか?

 全てが石や岩で成り立っている、地面はもちろん全て石、さらには木も川も岩でできている。川に関しては不思議とか常識を超えている、小さな石がころころと絶え間なく転がっている。全くもってカナンは退屈しない世界だ、こんな場所があったとは……

「………石って薬になるのかな?」

 いや、さすがに石を飲む人はいないか。さてさて……ここにいる3人の状態を確かめて、さっさと別の場所に移りますかね。

「おおすごいよ雪、葵! こんな不思議な場所なんて前いた世界じゃお目にかかれないよ!」

 あっ……なんか聞き覚えのある声が……雪とか葵とか言ってたし、多分というか絶対に…

「そうですな露世様! これは是非とも記念の品を持ち帰るのが良いかと思われますぞ!」

「………ぼくこれ……」

 やっぱりあの賑やか3人組だ、あの人たち今日は何してるんだ? 今度こそ関わらないでおこう、前みたいに暇じゃないからね。

 ………誰かの願いを犠牲にして事件を解決させる…だめだめだめだめ、絶対にだめ! 白花さんの事があったのに何を馬鹿な事を。

 自分でも性格悪いとは思ってたけど、ここまでくると自分が信じられない、あぁもう最低だクズだ。……出家でもするか、それともあの3人の仲間に加わって明るさを手に入れるか。

「やめやめ、次の場所いこ。えっと次に1人、2人で変わった場所にいるのは……」

「さっきぶりですね、人探しですか?」

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