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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第6章 自分と世界をしっかり見つめて
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本当は消えた?

 あー…まだ喉が変な感じする、人生で初めて物を詰まらせた、一瞬お花畑が見えたよ。本当に死ぬかと思った…

 …死ぬかと思った、か…。あの後よく考えてみたら、美良さんが生き返ったのは白花さんのおかげだってすぐにわかった。今日会ったのにお礼言えてないや、でもこういうのって言ったらいけないのかな……分からない。

 ま、その辺はいいか。いまはこっちに集中しないといけない、さて…情報収集、情報収集と。でもなんて訊けばいいんだろう、「おれを見ませんでしたか?」…今見てるよ。

 うーん、変なところで詰まった、何かうまいセリフはないものか。

 ………ここは自爆覚悟でこれしかない! 変な人って思われてもいいから、当たって砕けてゴミ箱行きだ!

「あの、すみません」

「はいなんですか?」

「おれ何してました?」




 収穫無し、あるのは嫌な視線だけだ。はぁ…こんなんならもっとマシな訊き方すればよかった…。

 大体偽物って何さ、そっくりなの? 名前が同じなの? どっちでもいいよ、誰か1人くらい知ってる人がいてもいいでしょ。

 そもそもこういうのって何か罠とか張ってなるおびき寄せる、とかそういうのが効果的なんじゃないのか。なんでおれは足で捜してるんだ、刑事ドラマかっての。

 ゼェ…ゼェ…、1人で何やってんだろ。

 あぁもうめんどっちい、図書館行こ、みんなで調べ物したほうがよっぽど事件解決に貢献できるよ。そうだそうしよう、偽物なんて裂け目と一緒に……

 馬鹿かおれ……そうだよ裂け目と一緒にいるって! なんで気づかなかったんだよ、白花さんの話を聞く限り一緒と考えるのが自然だ。うっわ本当に馬鹿だ、アンケートとったら100人がおれを馬鹿って選ぶよ。

 そうと決まったら早速裂け目探しだ、3人はまだ調べ物してるかな、先に見つけて驚かせてやろう。

「よし! やるぞ!」

 大声を出した所為でまた変な目で見られた。




「これがその裂け目とやらに関する本、今日はアレサの友達はいないんだね」

「ありがとうキアレ。マリの事でしょ、何をしてるのか分からないけどきっと寝てるわ。昨日か一昨日かに事件解決したとか言ってたと思うし」

 やっぱりあいつの能力はこういった緊急時には向かない、なんとかいつでも戦えるようにできないのかしら。

 …っと、結構な量あるわね、5センチ程度の厚さが5冊、これは骨が折れそうだわ。まぁ、今日は…えっと…三葉ちゃんと樅さんだったかしら? と、とにかく2人もいるし、真知さんとアレサも手伝ってくれるらしいから早く済むでしょうね。

「事件解決に役立つ本を読みたい!」

 三葉ちゃん⁉︎ どうしていきなり大声を出したのよ、ここは図書館だから静かにするのが常識じゃ……

「……多分これだ。そこの僕ちゃん、他のは片付けていいよ」

 ちょっと何言ってんのよ、多分って何よ多分って。樅さんお兄さんならなんとか……だめだこの人、うんうん首を縦に振ってるだけだ。「成長したな…」じゃないわよ。

「えっ? 本当にそれだけでいいの?」

「うーん…じゃあ退けといて、邪魔だから」

 だめだついていけない、この人達がシオンの友達? なるほど頷けるわ、特に何をしでかすか分からないところが。

「………」

 三葉ちゃんがぺーじをぱらぱらとめくっていく、内容なんて見ていない、適当にぱらぱら……本を買う前の人みたい。

 なんだか心配だなぁ、今のうちにキアレが退けた別の裂け目に関する本を読んだ方がいい気がする。三葉ちゃんが正しい本を選んだかどうかは分からないし。

「あった! これ、これじゃない?」

 おっと…あぶなかったわ、あと1秒でも遅かったら席を立ってた、つまり信用してないと思われるところだったわ。ふぅ…嫌な人って思われなくてよかった。

「ちょっと見てもいいかしら?」

「どうぞ、私が読んでもよく分からないだろうから」

 やけにすんなり渡してくれた、予想では私が読む、って駄々をこねるような人だと思ってたのに、うん…なかなか人の中身までは分からないわ。

 ま、そんな事はどうでもいいのよ。さて内容は…と……

「空間の裂け目、空間の裂け目とは世界にストレスがかかる事で出現する。その裂け目はストレスが続く限りどんどん大きくなり、最終的には「最悪の災厄ロストワールド」が起こり、世界は裂け目に飲み込まれる……モエミの言ってた事と同じね」

「えっ⁉︎ って事はカナンが終わっちゃうの⁉︎」

 今更? シオンに説明した時に一緒に聞いてたじゃないのよ、まぁいいわ、事の重大さを理解できたのなら。

 ここからが重要なんだから邪魔しないでね、発生から終了までの時間とか書いてるかもしれない、見逃さないようにしないと。

 あ、あったあった、えっと……

「なになに……裂け目の発生から最悪の災厄ロストワールドまでの時間は決まっていない? 1番厄介なやつね。発生の条件としては大きくまとめるとストレス、具体的な事象としては爆発的な人口増加による自然環境の変化、気温の上昇や低下、摩訶不思議な超常現象の発生……多分最後のこれね、何が起こっているのか分からないけど」

「あぁそれなら心音君が言ってたよ、カナンの重力が1.01倍になってるって。多分それじゃない?」

 うそ…なんであいつ私に教えないのよ、普通は裂け目を調べてた私に教えるでしょう。……まぁ良しとしましょう、結果的には早い段階で知る事ができたものね。

 えっと他には…おっ? 発生しやすい場所ですって? いいじゃないのよ。

「発生しやすい場所……『不明』ですって? 大事なところはまるで書かれてやしない、最悪の災厄ロストワールドがどんな厄災かも書かれてないし、とんだ二流品ね」

「あのー」

 なにかしら、あなたが選んだか本にケチをつけたから怒ってる? でもそんな雰囲気じゃないわね。

「なに? 他の本も読んでみる?」

「いやそうじゃなくて、裂け目は心音君の偽物と一緒に消えたんだよね?」

 ええそう、確かに裂け目は消えた。だからこうして色々と調べ物をしてるんじゃないの、どこに移動したかも分からないその裂け目について。

「じゃあさ、裂け目が無くなった、って考え方はないの?」

「あっ………」

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