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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第6章 自分と世界をしっかり見つめて
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変わって代わって

第6章の始まりです。

 朝、6時頃に起きる。もちろんみんなを起こさないように、ゆっくりと廊下を移動する。今日の朝ごはんは何にしよう、たまには洋食もありなのだろうか、でも沙奈さんと凪さんが嫌うからな。

 っと…ご飯は炊けてるね、電気…魔力ジャーは便利だよ。軽い力で動くんだから。さて、お味噌汁作らなきゃ…

 卵あるけど…目玉焼きもなぁ、昨日はぬか漬けだったし、やっぱり卵焼きだよな。少し甘めが美味しい…けど胡桃さんがそんなに好きじゃないし…。難しすぎるよ。

 あーもう、そんなやってたらこんな時間だ。もう目玉焼きでいいや、文句は言わせない。


 戸を叩く、さすがに…ね、部屋には入れないよ。

「胡桃さん、時間きたよ。早く起きてよ」

「凪さん、時間だから。朝ごはん食べて」

「沙奈さん、美良さん、早く起きないと胡桃さんに怒られるよ」

 いつも1番に起きるのは胡桃さん、まあ当然といえば当然かな。最初に起こしてるし。次に沙奈さん、美良さん、凪さんの順番だ。これもいつも通り。

 美良さんが帰ってきてからすでに1週間、はじめは胡桃さん達も美良さんが帰ってきた事に驚いた、でもすぐに慣れて元の生活に戻った。

 あの事はまだ美良さんに言っていない、言おうとも思ったけど、胡桃さんに止められた。「知らない方が良い事もある」だって、確かにそうだけど…なんか申し訳ない。

 まあいい…のか?必要があれば話すし、今はこの生活を楽しもう。

「あっ、そういえばシオン、農薬の話はどうなったんですか?」

「なくなったよ、色々とごたごたがあってね」

 そっか、それも知らなかったんだ。美良さんにとってこの約2ヶ月はどうなっているんだろう、記憶に残っているのだろうか…

「ほら、無駄口はたたかないの、早く食べて今日も仕事よ」

「はいっ、……へへへ…」

「なんだよ急に笑って、気持ちの悪い」

「ちょっと沙奈ちゃん、気持ち悪いはひどい。なんだかね、胡桃さんに叱られるの久しぶりだな、って思って…ちょっと嬉しかったの」

 ……やっぱり記憶は無いのかな、こういう時、物語なら「ないなら作ればいい、今から最高の記憶を(キラッ)」みたいな事を言うのだろうか。うわっ、似合わない、黙ってよ。

「美良は叱られるのが嬉しいのね、シオン、こういうのドMっていうの?」

 凪さんは相変わらずだな、どこで覚えたんだそんな言葉。

「ドは付けなくてもいいんじゃない?普通のMで」

「シオンまで…もう!」

「みーんーなー?朝ごはんは食べ終わったのかしらー?」

 あっ…怒ってる、胡桃さん怒ってる…。

「ほ、ほら美良喜びなさいよ!怒られてるわよ!」

「だから違いますって!」

 あはは…と言ってもおれも食べ終わってないや、急いで食べよう。もう8時前か…今日は配達もないし、美良さんと薬草集めにいこうかね。




「はぁーーーーー………」

「なんだよ、力抜けるじゃんか」

「だってーー本当ならさ、私は今頃にこにこ笑ってるはずなのよ?それなのにさーーー、もーーなんでちょっと格好つけちゃったかなぁーーー」

 朝9時、いつもの縁側でお茶を飲む、気分は最悪だわ。太陽の光が私の心の暗さを引き立てる、17年しか生きてないけど、一生の後悔だわ…。

「まぁな……ハクにしちゃカッコよすぎるよな、そういうのは私の役目のはずだろ?」

「知らないわよ、というかあんた泣いて帰ってたじゃない」

「言い方悪いぞ、それじゃあ私が泣き虫みたいじゃないか。あれは言わば感動の涙だ、ルカの曇りのない心に感動したんだ」

 何が感動よ、その後何してたか聞いたら「寝てた」ですって?台無しよ、台無し。

 あーもうやだやだ、やってられないわよ…

「もうこんな世界どーでもいいわよー!」

 私にできるのは叫ぶ事だけ、これ以上ない大声を出す。マリが耳をふさいでいる、そんなにうるさかったかしら。

「ふーん…どうでもいいんだ…」

 うわっ‼︎びっくりした…なんであんたが後ろに…

「おう、シオンじゃんか、一体いつ来たんだよ。お前泥棒になれるぞ」

「失礼な…誰が泥棒になんてなるものですか」

 はぁ…なんで来るのよ、私に感謝しに来たの?そういうのいらないから、寧ろ虚しくなるだけだからほっといてよ。

「白花さん、この世界はどうでもいいの?わた……おれは好きだけどな…」

「聞こえたでしょ、どうでもいいのよ。それとあんた、私に何かお礼の品でも持ってきたのかと思えば説教?いらないからさっさと帰ってちょうだい。私は今そんな気分じゃないのよ」

 そうよ、言わばあなたの所為、と言うより露世さんの所為?いやいや、シオンの所為だ。そうに違いない。

「そうか、気分じゃないか」

「ええそう、そうだ…どうせならあなたが私の代わりにカナンを守ってくれてもいいのよ?好きなんでしょ?」

「………‼︎もういい!」

 あーあ、怒って帰っちゃった。

「………なぁハク、お前ちょっと意地悪いぞ?なんか子供みたいだ」

 そうかな…私もまだ子供、か。まさかマリに言われるとはね、まぁそういうところはマリの方が大人よね。

「でもシオンもシオンじゃない?私はあいつのためを思って…」

「はいはい、そういうのは性格悪いと思われるからやめときな。…まぁ確かに少しおかしかったな、主に喋り方が」

 ふん、馬鹿ね。シオンはああいう喋り方になったのよ。事件についてこなかったからそう思うだけ。

「はぁ……こういう時に限ってモエミが来るんだけど…今日は勘弁してよね」

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