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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第5章 『変わったね』と言われたくて
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運命変えます

「おお!これは美味だ!」

「当然の事、食事は皆でする方が楽しいし美味しい!」

「………そうだね……」

 あははは…なんだこの3人組は。声が大きい、喋り方が昔っぽい、無口、今まで会ってきたどんな人達よりもそれぞれが主張しすぎている。

 いわば三葉さんと樅さんと美良さんを、もっと自己主張させた感じだろう。一体この3人はどういった関係なんだ…

 というかどこからさつまいも出してきたんだ、火をつけて芋を入れる様子はなかった。最初から入ってた?いやでもそんな事は…

「ほらほら、君たちもたくさん食べな!芋はまだまだあるからね!」

「あっ、ありがとう……」

 うーん…とは言われてもさっきお昼食べたばかりだからな…結構小さめだけど2つも食べられないよ。

 でもありがとうって言っちゃったし、食べないと申し訳ないというか、俺の酒が飲めないのか!とか言われそうだし。頑張って食べるしかないかな。

 それにしてもすごいのはあの無口君だ。大きめのさつまいもをすでに5個は食べている。お昼ご飯を食べていないにしても、さすがに5個はなかなか食べられない。

 なんだか疲れてきた、色々ときつすぎる。それに運命変えられてもアレだし、早く帰ったほうがいいだろう。ねっ、白花さ……

「美味しい…」

 満面の笑み、確かに美味しいけど…今までこんな白花さんを見た事がない。さつまいもが好きなのか?皮を剥きながらちょびちょびと食べ進めている。

「いやー嬉しいねぇ!君たち面白いよ、気に入った!」

 いや、どこに面白い要素が…それに勝手に気に入られても困るんだけど…

「まあここで出会えたのも何かの縁だ、君たちに良い事をしてあげるよ!」

 良い事?良い事って…

「良い事ってなんですか?」

 白花さん聞くの早いな、まあ俺も聞きたいところではあったのだけれど。

「ふふん、何を隠そう私たちは普通の人には無い変わった能力を持っているのだ!さっき火をつけたのは、心澄みすみ ゆき…雪の能力なんだよ!」

 ……今頃?あーでもここで知ってた、とか言ったら気持ちよく話してるのに邪魔する事になるな。黙っておこう…いや、むしろ相槌をうったほうがいいのか?

「へーそうだったんですか」

 おお、白花さんナイス!というか知らなかったのか?この人はたまに狙って言っているのか天然で言ってるのかわからないところがある。

「あー君たち、私たちが能力を持っているからって怖がる事はないよ!大丈夫、私たちフレンドリー、リラックス…リラックスよ?」

 うん、帰りたい。

 白花さんは白花さんで「フレンドリー?リラックス?」みたいな事を考えているんだろうな、後で教えてあげようか。

 そんなおれたちは御構い無しで話は続く。

「でだ、葵…九天くてん あおいの能力、これがまたすごいんだよ。食べ物を作り出せる能力なんだよ!しかも美味しい!さっきのさつまいもも葵の能力で作り出した物なんだよ」

 実用的な能力だな…おれもつい最近までは能力は戦いのための物、って考えてたけど…100パーセント戦いに不向きな能力があったとは…

 さらに話は続く、いい加減この空気に慣れてきた自分が怖い。

「そしてとりをかざるのは私、不可能を可能にする女、青薇せいら 露世ろぜです!拍手!」

「わー!露世様かっこいいですぞ!」

「…………いえーい……」

 お笑い芸人さんみたいだ、今から…いや、かなり前かなネタが始まっているのかな。

「ふふふ…場も温まってきたね、よーしじゃあ発表しましょう!私の能力は……あっ、これが君たちにする良い事に関係があるからね?さて発表しましょう!私の能力は……………ほら雪…ドラムロール、ドラムロール早く」

「はっ⁉︎も、申し訳ございません!コホン、…ダラララララララララ、ダンッ‼︎」

 長いな…どうせイカをタコに変えるとか…

「はい!私の能力は…何でも願いを叶える能力です!やったね!」

「露世様すごーい!」

「………しびれるー……」

 …⁉︎ちょっと待って、そんなノリで片付けちゃダメな能力なんだけど。この人たちそれが普通とか思ってるのか…いやいや、つづみさんの能力も信じられなかったけど、この人のは訳がわからない…

「えっ、願いを叶えるって…本当なんですか…?」

「あぁもちろん!嘘をついてどうするんだよーこのこのー。で、君たちの願いを叶えてあげよう、って事なのさ!おめでとう!」

 ありがとう!ってなると思うのか…怖っ、能力って怖っ。いやむしろこの楽観主義者みたいな人が持っているから怖いのか…

「何でもって、何でも?」

「もちろん!」

「イカをタコに変える事も?」

「可能!」

 願い…何でも……

「ねぇシオン何でもって事は…」

「死んだ人を生き返らせる事も…」

「この理不尽な運命から逃げる事も…」

「可能…」

 おれと白花さんの声が見事にハモる、驚きよりも疑いに近い声だった。

「ほ、本当に何でも叶えてくれるんですか?」

「もちろんだよ!君たちはもう私たちの友達だからね!あっ、でも1つ聞いてほしい事があるんだよ」

 なんだ?薬に副作用があるみたいな感じでこれにも大きな代償みたいなものがあるのか?いや、どんな副作用でもいい、おれは願いを叶えたい。

「えっとね…願いを叶えられるのは1人、1つだけ!だから君たち、2人でよく考えて決めてね!」


「えっ?」


 今度はなぜか4人でハモる、何であんたらまで驚くんだよ。

「ちょっと…露世様、それは少し違うのでは…」

「………説明、少し下手……」

 何をこそこそ言ってるのか知らないけど、これは大変な事だ。1人しか願いを叶えられないのなら、譲るわけにはいかない。

「白花さん、この願い…譲ってくれないかな」

「譲らないわよ、私はこの人生を変えたいの…!」

 自然と拳に力が入る、白花さんは戦いが嫌いらしいしおれも勝ち目ないから…

「ジャンケンで勝負…?」

「分かった…」

 運命を変えるジャンケン勝負、数秒で終わる勝負が幕をあける。


「ほら露世様!何だかややこしい事に!早く訂正を!」

「ん?どこか間違ってた?」

「………区切るところ……」

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