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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第5章 『変わったね』と言われたくて
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そんなひどい事…

「さて…やっちゃいましょうかしらね、お説教は聞きたくないし、さっさと終わらせて寝て忘れましょ」

「許さない!神はお前を許さないのよ!なぜこのような人間が生まれたのか、神にも理解できないわ!」

 はいはいそうですね、私も詰めが甘かったわ、今度は本当に避けれないようにしなきゃね。

 ふたたび空へ向かう、回収した分を合わせて紙は30枚あるかないか、今まで私は贅沢すぎたわ。

「よーっし………と、そら行け!」

 紙をビリビリに破いてからつづみさんの周りにばらまく、これで紙と紙の隙間はほぼ無くなる、避けることは難しいわよ。

「同じ手で、しかもただ破るだけで勝ったつもりでいるなんてとんだ単細胞ね!神はお前の常識など通用しないのよ!せっかく貴女のレベルに合わせてあげていたけど…もうその必要もないわ!神様が瞬間移動できないと思っているの!」

「うわー、ずるいなー。瞬間移動なんてー」

 甘いのはそっちよ、同じ手に2度も引っかかるなんて…

「捕まえた!」

 紙の分身がつづみさんをがっちりと掴む、次の紙への命令は…

「起爆装置を踏みなさい!」

「了解!」

 分身が落ちた紙に足を伸ばす。

「させないわよ!分身ごと瞬間移動する事だって可能なのよ!」

 つづみさんの姿が消える、くっ…掴んでてもだめなのね…

「ここなら起爆装置はない、さっさと離れなさい!」

 分身を振り払おうとしている、今、そこへ紙を落とせば…

「えっ…?」

 なんで…紙は風に煽られない程度の重さのはず、それなのになんで…

「早く離れろ!このっ……!…なっ⁉︎」

 紙が…紙が砂けむりと一緒につづみさんに向かって飛んでいる…

「くっ、くそっ!」

 再び瞬間移動、が、紙と砂けむりは追跡をやめない。またもや風が吹き、つづみさんに向かっていく。

「ちいっ…お前何をした!」

「………(まさかこの人…)ええそうよ!さっきの起爆装置と爆弾を繋いだ要領で、私と爆弾を魔力で繋いで操っているのよ!」

 嘘だけど…私にだって何が起こってるか分からないわよ。なんなのよこの不気味な風は、意図的に誰かが吹かせているみたいな…

 それにこの人、私の心を読めてないみたい。冷静じゃないからかしらね。

 つづみさんは、分身の私に掴まれたまま瞬間移動を繰り返す。その度に風が吹いて、紙がつづみさんに向かい飛んでいく。こういうのを「いたちごっこ」って言うんでしょう。

 それにしてもきりがない、実際、見ているだけの私は暇だ。消えては追い、消えては追いの繰り返し、…あっ、そうか…

「チッ、こうなったら打ち落すしか…」

「今よ!踏みなさい!」

「…‼︎しまっ…」

 瞬間移動のしすぎで、うっかり起爆装置の近くに移動している、そこをついた。紙は一気に引き寄せられ大爆発、これでかなりの痛手を負わせたはず。あとは鈍くなった動きをついて…

 へへん、なんだかよくわからないけど、これで勝負あったかしらね。それにしてもあの風、一体何だったのかしら、絶対に自然物じゃないし…

「よそ見している暇があるの……‼︎」

 う、嘘⁉︎ぴんぴんしてる⁉︎あの爆発を食らったのに…普通なら死んでてもおかしくない規模だったわよ。

 ルカの時のように首を絞められる、苦しい…今更だけど、この人どれだけ腕力あるのよ…。ルカも片手で持ち上げるくらいだから……だめだ、考えられない…。

「散々捕まえた捕まえた、って言ってたけど…今度は私がお前を捕まえたぞ。もう避ける事もできまい、この槍で貫いてくれる…‼︎」

 まずい…な、何とか紙で反撃…いっ⁉︎

「させんぞ…」

 腕に何か違和感が、それとなんか痛みが…ちょっ⁉︎槍が刺さってる!

 痛い痛い!…意識帰ってきた、良くはないけど…腕が動かせない…

「さて…止めだ」

 槍を抜き、私のお腹めがけて槍を突きにくる。

 あぁ…この人の言った通り、私はここで死ぬ運命だったのかしら。「ここで死ぬ運命というのなら、私はそれを受け入れる」こんな事、言わなきゃよかった…

 でもいいか、この残念な世界から解放されるのなら…

「神の裁きだ、死ね!」


「はいはい神様神様、分かったからこれ借りるよ」


 槍が止まる、つづみさんが急に手を離した所為で砂に落ちる。信じられない、信じられない者を見た、なんで…なんで死んだはずの、

「シオン…なんで生きてるのよ…」

「ん?あぁ言ってなかったっけ?おれ結構前に薬を飲んで不死になっちゃったんだよね。だからこっそり隠れてた。おかげで不便で仕方ないよ…死にたくても死ねないんだから…」

 うぉい、なんなのそれ…衝撃的すぎて逆に驚けないわよ…

 そういえばつづみさんは…シオンが蹴りを入れたのね、まったく…女の人に対してなんて事を…ま、いっか!

「今さ、酷いやつとか思ったんじゃないの?女に蹴りをいれるなんて…って。いいじゃんか別に、風を起こして手伝ったし、爆弾を避けるのも大変だったんだから」

「あんたがやってたのね、そう、ありがとう」

 いや、ありがとうよりごめんなさいの方が正しいかしら?

「あっ、ちょっと待っててよー………よいさっ!」

 えっ、ちょっと…うそ、刺した…奪った槍で刺した⁉︎倒れて動けないつづみさんを刺した⁉︎うわーひどい…私には無理だわ。

「またひどいとか思ってるでしょ?大丈夫、おれが生贄なんだから…途中で分かったよ、この人はつづみさんじゃないよ。いや、つづみさんなんだけども…」

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