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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第3章 能力は生活必需品
23/180

舐めてかかるから

「よーし、早速能力を使ってみよう。うーんと…あっ、お昼ご飯はピザがいい!」


しーん…


 時刻は昼、お腹も空いてきた。

 三葉さんは有言実行奇々怪々ケ・セラ・セラと名付けた能力にお昼ご飯を要求するが、当然何も起こらない。話を聞いてくださいよ、山の中にピザが落ちているとでも?

「三葉さん、いいですか?現実に起こらない事は無理です。空から玉ねぎが降ってきますか?無理でしょう?そういう事は出来ないんです」

「なーんだ、あんまり便利じゃないね」

「いえ、そうとは言えませんよ」

 え、なになに?と三葉さんが聞いてくる。少しは自分で考えるという事をしてほしい。

「ちょっと考えたんですが、三葉さんには召喚術が合ってると思うんです」

「召喚術?なんでまた」

「まぁなんとなくなんですけど…ほら!例えば水の精霊とか呼び出してさ、一緒に攻撃する四精霊召喚士エレメンタルサマナーみたいな…格好良くないですか?」

「なにそれ…すっごい格好いい!四精霊召喚士エレメンタルサマナーやりたい!」

 三葉さん、なかなか乗り気だ。実際、召喚術と三葉さんの能力は相性ばっちりと思う。「現われろ!ナンチャラカンチャラ!」って言うだけですからね、こんなこと言ったら本物の召喚士さんに怒られそうだけど。

「でも魔術書グリモワールとか今無いですからね…適当にやって出来るものじゃないでしょうし」

「大丈夫大丈夫、やってみるから」

 そのすごい自信はどこから湧いてくるんだ?召喚士さんに怒られるぞ、人の事言えないけど。

 そんな俺を脇目に、三葉さんが召喚のために術を唱え始める、もちろん適当に。

「うーんそうだね、とりあえず風の精霊シルフ出てこーい!」

 うん、ひどい。せめて「風の精霊よ、汝の姿を現せ!(キラリーン)」みたいな感じに言えばいいのに、呼び出される方が可哀想ですよ。というかこれは術なのか?

 その時、三葉さんが適当に友達を遊びに誘う様な言葉を口にしたまさにその時だ。

 突然、光の玉が目の前に現れる。眩しい、まともに見たら目がやられてしまう、俺は目と鼻が弱いんだ。

「何これ何これ⁉︎ねぇ心音君何これ⁉︎」

 こっちが聞きたいよ…やったのは三葉さんだ。まさかあんな適当なやり方で…いや、信じ難いがそれしか…

 光の玉はふわふわと三葉さんの方に向かい動いている。まさか精霊が…


ピカーン‼︎


 光の玉がはじける、成功…したのか?

「み…三葉さん?大丈夫ですか?」

「うん…大丈夫…だけど」

 三葉さんは腰を抜かしてへたり込んでいた。無理も無い、いきなり光の玉がパーンだもんな。

「何だったんだろうね、さっきの光」

「さあ?俺に聞かれても困りますよ」

 俺たちの周りに変わったことは無い、別に木が俺たちを中心に倒れたり、体が小さくなったりなんかはしていない。本当に何だったんだ?

 考えられる事として、三葉さんの実力が不十分で召喚が中途半端に終わったか、もしくは本当に意味不明な超常現象が起こったかのどちらかだ。

 まぁどちらにせよ、修行すれば召喚術が使えるのは確かな様だ。さて、どうやって三葉さんの実力を上げさせるか…

「ネェ!」

 声が聞こえる

「ん、三葉さん何か言いました?」

「いいや、何も」

 そうだよな、なんか妙に高い声だったし…気のせいか。

「ネェ!聞こエなイノ!」

 違う、気のせいじゃない、確かに聞こえた。誰だ、誰なんだ?周りには人影らしきものはない。キアレさんの時の様に上も確認するが、やはり誰もいない。

「どこ?どこにいるの?」

 三葉さんも必死に探す。

「シタ!シタだヨ!」

 した?したってまさか…恐る恐る下を見る。

「うわ⁉︎なんですかこれ⁉︎」

 したにいたのは豆大福2つ分くらいの大きさの小さな人型の生き物、何だこいつ…

「コレとハ失礼だナ!私は風ノ精霊、シルフだ!」

「えっ、シルフさん⁉︎やった、やったよ心音君、私成功したんだ!」

 待て待て、これは成功したのか?お世辞にも強そうとは言えないし、しかもこんなに小さい。三葉さん落ち着いて、落ち着いてもう1回見て、シルフと現実をもう1回ずつ。

「やったよ心音君!私が、私がやったんだよ!」

 うっ…こんなに嬉しそうにしている三葉さんに失敗なんて言えない。

「ちょット!ナに勝手に盛り上ガってルノ!」

「あ、ごめんなさいシルフさん。私はあなたを呼び出した三葉って…」

「違ウ!ソうじゃナイ!」

 三葉さんの自己紹介をシルフが途中で止める、その様子はただ事ではない様に思えた。

「どうしたのシルフさん?あと、聞こえずらいから乗って」

 三葉さんがシルフに手のひらに乗るように要求する。

「うるさい、私は精霊なんだから飛べるよ」

 そう言ってシルフは、三葉さんの肩の高さくらいまで浮かんだ。

「でさ、どうしてくれるの?責任とってよね!」

シルフは相変わらず高い声で怒鳴る。

「えっ?責任ってなんの?」

「とぼけないでよ!あなたが私を呼び出したんでしょう、それも中途半端な召喚して、私どうやって帰るのよ!」

 話を聞くと、どうやらシルフは精霊の住処からこちらに召喚されたらしい。しかも、まともな召喚術は帰り道が用意されているらしいが、三葉さんは適当な召喚術で呼び出してしまったため、変える方法がないとの事だ。

「さあ!早く私を元の場所に帰してよ!」

「えっと…そんなこと言われても…そうだ!シルフさんの仲間を召喚しよう、そうしたら寂しくないよ!出てこーい!水精ウンディー…」

「わーっ!ストップストップ!」

 俺は急いで三葉さんを止める、この人といると寿命が縮みっぱなしだ。退屈しないのはいいけど。

「ねえシルフさん、提案なんだけどしばらく一緒にいたらいいんじゃないですか?三葉さんが修行して実力をつければ住処に戻れるかもしれませんよ?」

 とりあえずその場しのぎの提案をする、これでなんとかならないか?

「うーん…そうだね、そうさせてもらおうかな。ほらみつば!そうと決まれば早く修行しなさい!」

「は、はいっ!」


ーー修行8日目 終了

これから賑やかになりそうだ…

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