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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第3章 能力は生活必需品
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いきなりですか…

どうも、今回より第3章の始まりです。この章はシオンメインです、下がった株を上げていきます。

「じゃあまた2週間後に来ますね」

「ああ、いつもありがとうね」

 いえいえ、と言い、俺は家を出て次の家へと向かう。

 誘拐事件が解決して数日、更にお客様が増えた。町はずれに住んでいる人たちは殆ど薬を買ってくれた。

 能力があったりだとか、謎の研究で怪我をしただとか、そんな感じで薬が必要な人が多いのだ。危なっかしいな。


「さて、仕事も終わったし、今日も探しますか」

 俺はある人を探している、名前も姿も知らないけど、多分なんとかなるだろう。

 しかし、1ヶ月以上も仕事で町を周っているのに見た事が無いなんて、おかしな話もあるもんだ。

「今日は見つかるかな」

 探しているのはキアレさんの言っていた占い師、その人は町では有名で、とりあえず何かは当たるらしい。

 別にその人に会って何かをしようというわけでは無いが、なんとなく会ってみたいのだ。

 町の端から中央くらいまで来た。

 しかしまぁ、聞いた話ではザ・占い師って格好をしてるらしいのに…全然見つからない。

 今日も見つからないか…ん?なんだ、あの行列は?町の中央を少し行ったところに行列を発見した。いつもはこんな行列なんて無いのに。

「すみません、これって何の行列ですか?」

 行列に並んでいる1人のおじさんに訊ねる。

「何だお前、知らないのか?今日は有名な占い師様が来てんだよ。みんな占ってもらいたくて並んでんだ」

 へー、そうなんだ。知らないから聞いてるんだよね。しかしよかった、ようやく噂の占い師に会えるんだ。でも…この行列に並ぶのか…

 そう思うのも無理はない、ざっと見ただけで100人はいる。占いって時間がかかるだろうからな、どうしよ?

「何だ、お前も占ってほしいのか?じゃあ俺の順番譲ってやるよ」

「え、いいんですか?」

「おう、俺ぁもう足が痛いんだ。お前に譲るよ」

 なんと、これはラッキー。じゃあ俺もお礼しなきゃ…俺は親切なおじさんに痛み止めの薬を渡す、もちろんタダだ。

「おお、悪いね。じゃあ俺ぁ帰るよ」

 おじさんは去っていった、よかったよかった、少し時間短縮ができた。

 おじさんの並んでいたところは大体半分くらい、よく分からないけど多分1時間くらいで俺の順番がくるかな?


ーー2時間後


 甘かった…俺の考えはカステラの紙のように甘かった…何が1時間だ、2時間経ったのにまだ順番が回ってこない。

 しかし、この調子なら後30分で俺の順番になる。後少しの辛抱…何が辛いって暇なんだよ。

 前の世界にいた時、東京都の人はパンケーキやらかき氷やらに2、3時間並ぶって聞いたけど…すごい忍耐力だ。

 並んでいる途中にあった和菓子屋の羊羹がすごく美味しそうだった。帰りが遅くなったお詫びに買って帰ろう。


ーー30分後


「次の方…どうぞお入りください…」

 やっと俺の番だ、長かった…1度会ってみたいって理由で2時間半の時間を失ってしまった。なんか俺…馬鹿みたいだな。

「よろしくお願いします」

 テントのような建物に入ると、そこには水晶玉もタロットカードもない、どうやって占うんだ?

 俺は用意されていた椅子に座る。

「で…何が聞きたいんですか?」

 占い師が訊ねてきた。本当に物語に出てくるような格好をしている、面白い人だな。

 っと、何が聞きたいかだよね…

「あの…俺って何を聞けばいいんでしょうか?」

 占い師が呆気にとられている。そりゃそうか、ここに来る人は何かを聞きたくて来るからな。

「あー…はい…まぁ見てみます」

 あぁどうも、とだけ言っておく。向こうからしたらなんだこの客、って言いたいんだろうな。

「あなた…なんだか他の人とは違うような気がします…他の人には無い何かを持ってますね?」

 他の人には無い何か?能力のことか?

「ええまあ、それがどうかしたんですか?」

「いえ別に、お気になさらないで」

 あれ?今、この人が少し笑った気がする…気のせいかな?

「コホン、では本題です。あなた…何かの能力者ですか?」

 おお、すごい。当てられた、流石占い師だ。真知さんとは少し違う、心を読む能力とかそんなんじゃないな。

「ええ、そうですよ。よくわかりましたね」

「そうですか…」

 あれ?やっぱりこの人笑ってない?なんだなんだ、俺の顔ってそんなに変か?

「じゃあ次、あなた…1ヶ月程前に勝負に負けませんでしたか?」

 うげっ、嫌な所まで当ててきたな。まあ実際そうだし…仕方ないか。

「はい、仰る通りです」

「そうですか…」

 やっぱり!絶対にこの人笑ってる!俺を馬鹿にしてるのか?

「じゃあ最後です」

 あぁ、これで最後か…もういいや、我慢して最後まで聞こう。

「あなた…強くなりたくありませんか?」

…は?なんでそんな事…

「ええ…まぁ…」

 意外な質問に戸惑いながらも正直に答える。一体何者なんだこの人は。

「そうですか…分かりました」

 分かったんだ、何が分かったんだろう?

「ちょっと待ってくださいね」

 俺にそう告げて、占い師は外へ出る。

「皆さんすみません、今日はもう店じまいです」

え?まだこんなにお客さんがいるのに?当然外からは怒鳴り声が上がる。あーあ、俺知らない。

 とりあえず言われた通りに待っているが…おや?外が静かになった、みんな了承したのか?

「お待たせしました」

 占い師が帰ってくる、何があったか聞こうとしたが、その前に占い師に先を越された。

「さあ、早く行きましょう!」

「へ?行くってどこへですか?」

「決まってるでしょ!修行だよ!」

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