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世界に捧ぐ幻想花  作者: にぼし
第2章 優しさに酔いしれて
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花火職人にでもなろうかな?

「すみません、変わってください」

………は⁉︎

 ちょっと待ちなさい、あんた何を言ってんのよ。私に薬を持たせて、俺が勝ったらなんとかかんとかって言ってたのに…

「え?ごめんなんて言ったか分かんない。もう1回言ってもらえる?」

 そうだ、多分聞き間違いだ。きっとカナッペ下さいって言ったんだ…カナッペってなんだっけ?

「変わってください、俺無理です」

 うっ…聞き間違いじゃない…

「なんで変わんなきゃいけないのよ!あんた戦うって言ったじゃない!」

「いや、それなんですけど…俺、キアレさん苦手なんです。さっきの火炎弾、重力で圧し潰したんですけど…爆発したんですよね」

「は?それが何よ?」

 爆発したのが理由、なんでそれで私がやらなくちゃいけないのよ。

「あのですね…俺の通常弾みたいな弾は、圧し潰すと普通に潰れて消えてくれるんです。でもキアレさんの火炎弾…多分あれキアレさんの通常弾で、何発も撃たれたら1つ潰しただけで誘爆するんです。自分に近い方が重力かけやすいので…わかるでしょ?自分が爆発に巻き込まれる可能性があるんです、だから…お願いします!」

 えぇぇ…何よそれ知らないわよ。私の紙なら大丈夫ってことなの?冗談じゃない…

「ねえあなた、自分が負けそうだから代わりに戦ってもらおうなんて、どういう神経をしてるの?それに薬があるんだから怪我したらそれで回復を…」

「いやいや、細胞まで焼き尽くされたら回復も何もありませんよ」

 もういや!こいつと会話してると頭が痛くなってくる。わかったわよ、やればいいんでしょう!

「はぁ…なんでこうなるんだろ…」

 ため息をつく私にシオンは、すみませんね〜、白花さんの方が相性いいですから、と笑いながら謝る。くっそう、これが終わったらただじゃすまないから。

私は空へと向かう。


「何?あの人はどうしたの?」

 キアレが私に問う、こっちが聞きたいわよ…

「アハハ…なんだか危険だから私に代わってくれだってさ。ハハハ…はぁ…」

「そう…酷い人だね、軽蔑するよ。お姉さんも大変だね、あんな人に付き合って…真知さんならこんな人の気持ちを考えない様な事しないよ」

 信頼されてるな真知さんは、モエミとは大違い。

「そうね、あなたの主人はいい人よ」

「主人じゃなくて家族、そこんところしっかりね」

 あぁはいはい、ごめんなさい。

「悪いけど、私は人を傷付けるのが嫌いなの。先に聞いておくけど諦める気は?」

 キアレは当然、ないよ、という。まあそうだろう。

はぁ…今回は前のシオンみたいにむかついてもないし…どうしよう。

 まあ私も死にかければ正当防衛としてなんとかするけど、それもちょっとね。

「んじゃまいくよ」

 そう言ってキアレが火炎弾、もとい通常弾を放ってくる。本当にこんな大きい弾を紙で消せるのか?

 そう考えつつも私は紙をいつも通り鉄…いや、鉄じゃ溶けるな。面倒くさいが耐熱合金に変えて投げる。

 ちょっと心配だったが、無事紙は火炎弾を爆発させ突き抜ける。確かにシオンの言う通り私の方が戦いやすいのかも。

「ふーん、なかなかいい能力ですね。でもまぁ甘いですね」

 キアレが再び溜め無しで火炎弾を撃つ。それはさっきまでの火炎弾よりも大きい。

 ただでさえ大きかったのに、そういえば最初はこんなもんって言ってたな…まさかまだまだ大きくなるのかしら?

 火炎弾が私の投げた耐熱合金の紙をチーズよろしくドロドロに溶かす。

 嘘でしょ、あれより熱に耐えられる素材なんて私知らないわよ。

 火炎弾がこちらに進行してくる。かなり大きいがスピードはそうでもない、これなら避けられる。

「っ…でもこのままじゃまずいわね…」

 キアレがこの場所をお気に入りといった意味がわかった気がする。ここは遮るものが何も無いから、どんなに弾が大きくてもいいのだ。だからキアレにとってこれほどいい練習場所、もとい戦闘場所は無い。

 でもそれだけではお気に入りとは言えない、おそらく能力が関係しているだろう。

 おそらくキアレの能力は「熱を力に変える」だとかそんな感じだろう。だから最初に会った時、暑いって言いながら高所で太陽光を浴びていたのだろう。

「キアレ、あんたの能力は大体わかった。『熱を力に変える』とかそんな感じでしょう?」

 私がキアレに向かい言うと、キアレは頭の上に疑問符を付けていそうな顔をしていた。

「違うよ、多分僕の能力は絶対に分からない。それは1+1=2の2以外の答えを探す様なものだから」

 なんだそれは、違うのか?そうでも無いとあんな早い間隔であの大きな弾を撃つなんて無理に等しい。

「何考えてるの?どんどんいくよ!」

 キアレが更に大きな火炎弾を数発撃ってきた。残念ながら、私はこの熱に耐えられる素材を知らない、知らなければ作れない。打ち消すのは不可能、避けるしか方法が無い。

 私は空を舞う、火炎弾の隙間をぬって回避する。

「白花さーん!攻撃しないと勝てませんよー!」

 下から裏切り者のシオンが私にそう言う。

「うるさい!何度でも言うけど、私は人を傷つけるのが嫌いなの!」

 そうは言っても、実際私が攻撃したのはたったの1回、耐熱合金を投げただけだ。

「その人の言う通りですよ、酷い人ですが言ってる事は合ってます」

 はぁ…情けない、敵にまで攻撃を求められるとは、どっかの戦闘大好き魔法使いに何て言われるか。

仕方ない、ちょっと攻撃してやるか。

「あんたが攻撃しろって言ったのよ、文句は言わないで、怒らないで、いい?」

「当然、もっともあなたの攻撃はここまで届かないでしょうけど」

 言ってくれるじゃない、私だって強いんだから、なめてもらっちゃ困る。頼まれたからやる、私は関係ない、悪いのはキアレだ。

「そう、いいわよやってあげる。私の能力の恐ろしさを教えてあげる」

「うん、じゃあ僕も次は本気だから」

 キアレは火炎弾を連続して撃ってくる、間隔が短い。よし、逆に利用してやろう。

 私は下に降りる、逃げたのではない、勝つためだ。可哀想だけど火傷に効く薬ならシオンが持ってたもの、なんとかなる。

 私は火炎弾を避けながら紙に手で砂をすくって乗せ、丸める。これいいかも、仕事辞めてこっちの仕事しようかしら?

 その砂の入った紙を、キアレの火炎弾に向かい投げる。

 計画通り、紙が当たった火炎弾が爆発する、紙の中の砂は火薬に変えておいた。

 火炎弾の爆発が他の火炎弾の爆発を誘う。キアレは連続して撃っていたから、どんどん自分の方に爆発が迫る。まるで爆弾のドミノだ、キアレは爆発に巻き込まれ下へと落ちていった。

「はぁ、シオン!火傷の薬の準備して!」

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