なんだこいつら…
白花視点になります
マリがアレサとの戦闘を終える、どうやら真犯人はキアレというやつらしい。
真知さんは、アレサが動物を連れてきたから犯人だと思っていたらしい、そこは能力使ってちょうだいよ。
まあ仕方ないのか、能力を使っちゃえばアレサの考えが、ガンガン心にダメージを与えるかもしれないものね。
「ごめんなさい、私あなたの事を疑ってたわ」
「いいんですよ真知さん、そのおかげでマリと友達になれたんです。むしろ感謝ですよ」
アレサはにこにこと笑いながら言っているが、真知さんは内心怖いんだろう、口だけなら何とでも言えるもの。
後、こんな事を言うと性格が悪いって言われそうだけど、魔力の泉行けばいいじゃない。
まあせっかくマリに友達ができたんだ、言わないでおこう。
「ところで、肝心のキアレって人はどこなの。ほらマリ、シオン、さっさと終わらせてきなさいよ」
私は早く帰りたいんだ。今気づいたのだけれど、この事件って世界守の仕事なの?カナン関係ないじゃない。
「そのことなんですけど、キアレは今ここにはいないんです。お気に入りの場所に行ってて…」
真知さんが私のシオンに言った言葉に対して反応してくる。
「お気に入りの場所?どこなんですか?」シオンが真知さんに尋ねる。
「それが、結構危ない場所で…いやその、場所自体が危ないわけではないんだけど」
どういうこと?危ない場所、どこなのそれは?
「砂丘、あるでしょ?本当に何もないただの砂丘。そこにいるはず」
ますますわけがわからない。砂丘が危ない?確かにあの砂丘は危なくないけれども、キアレの能力に関係があるのか?
「まあいいわ、シオン、マリ、行ってきなさいよ。私はここで本を読んでるから」
「ああ悪い、私はここで離脱だ。魔力使い切ったからハク頼むわ」
は?なんでなのよ、確か前の日にしっかり寝たって言ってたのに。
「悪いなハク、シオン、私防御魔法苦手なんだ。調整に魔力を無駄に消費したから」
「はぁ、本当にあんたは…まあいいわ、シオンに倒してもらうから」
白花さん、働いてくださいよ、とシオンは言いたそうだが私は気にしない。
「じゃあ行ってらっしゃい、キアレは強いわよ」
真知さんの忠告を受けて、私とシオンは砂丘へ向かった。
砂丘、ただの砂丘。説明することなんてない。本当にただの砂丘です、場所説明終わり。
「暑い…砂漠じゃないんですかここ」
「馬鹿ね、砂丘と砂漠じゃ全然違うわよ。具体的には…えっと…そう!力強さが違うわ」
「あ、そうなんですか。初めて知りました」
あはは、嘘言っちゃった。後で調べとこ…
「ところでキアレさんはどこにいるんですかね?遮る物がないから、すぐに見つかると思ってたんですけど」
シオンが言う。確かに変だわ、どこを見ても砂しかない。もう帰ったのかしら?
その時だ、
「何してんのー!ここには何もないよー!」
なんだ、どこかから声が聞こえる。でも見渡す限り砂、砂、砂で誰かがいる様子はない。
「おーい!どこ見てんのー!うえだよ、う、えー!」
上?そういえば上を見てなかった、眩しいから避けていたのだ。
見上げてみると、こっちに向かい笑顔で手を振る少年がいた。あの子がキアレか?
「ねぇ!とりあえず大声出すの疲れるから降りてきてよ!」
私がそう言うと少年が、わかりましたー!と言って降りてくる。
「ふぅ、暑かった。で、どうしたの?ここには何もないよ?」
暑かったんかい、「いやね、ちょっと人探しをしてるの。もしかしてあなたがキアレ?」
「うん、キアレは僕だけど…何か用?」
「キアレさんが連れて来た動物達についてなんですけど」そうシオンが聞く。そういえばあんたいたわね。
「あ、ああ動物達の事?捨てられた子達を連れて来たんだよ」そう言うキアレだが、明らかに目が泳いでいる。
「ネタは上がってるんですよ、さあ早く白状してクニマスを2、3匹分けてください」
なんだ、シオンも真面目にやってるわけじゃないのね。クニマス、美味しいのかしら?
「クニマスなんていないよ、連れて来たのは籠に入れられてたトキとかツノウサギとかだよ」
なんだ、クニマスいないのか。ちょっとがっかり。
「そうなんですか。しかしツノウサギなんて飼ってる人なんているんですね」
「まさか、ツノウサギは珍しいから飼ってる人なんていないよ。外界の生き物だし、保護されてますよ」
「そうですよね、珍しいですもんね。よし覚悟しなさい」
「うん、もう薄々こうなると思ってた。僕強いよ、動物達の為だから本気出す。みんなをあんな籠の中なんかに閉じ込めさせてたまるもんか」
なんだろう、シオンとキアレは波長が合うのか?私には似たものを感じられる。
「じゃあ白花さん、俺戦ってきますね。そうだ、これ持っててください」
薬?なんで私が持たなきゃいけないのよ。
「ねぇ、これ勝負途中で使ったらいいじゃない」
「そんなことしません、それにもう俺に薬使っても意味ないですから」
どういうこと?薬を使う意味がない、怪我したらどうすんのよ。
「いいんです、しっかり持っててくださいね」
そう言ってシオンは再びキアレと会話する。
「お待たせしました、じゃあ始めますか。俺が勝ったら動物達は元の保護者返す、いいですね?」
「うん、いいよ。負けないから」
シオンとキアレが空へ向かう。広い場所での戦いは空中戦の方が何かとやりやすい。それに今回、地面は砂だから足場は最悪だもの。
「よーっし、特訓の成果見せますよー!」
シオンは早速両手を銃の様に構え、魔力弾を何発かキアレに向かって撃った。
「小さいね、弱そうだね、その弾は」
キアレが左手を広げ前に出す。すると、1秒の溜めもなく巨大な火炎弾を放ってきた。
シオンの弾が勝てるはずがない、そのまま火炎弾に打ち消される。依然、火炎弾は進行を止めない。
「うーん、それはずるいですね。まあ問題ないですが」
火炎弾が突然爆発する、シオンが何かしたのか?
「へー、まあ最初はこんなもんだよね」
キアレがそう言ったおよそ5秒後、
「白花さん」シオンが降りてきて私を呼ぶ。
「何?どうしたの?」
私は次のシオンの台詞に耳を疑った。
「すみません、変わってください」
………は⁉︎




