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異世界転生ライフ 〜ニューゲーム→ニューライフ〜  作者: ㌔㍉コン
第三章〈グランドクロス領〉
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第二十九話【修行】

第三章スタートです。


お久しぶりです。



───話をしよう。





なんて語り出しでオレは語り始める。

これはとても重大な話だ。

悩み、考えて、また悩んだが結局結論には至らなかった事だ。

しかし誰に相談しようもない、そんな事。

だからオレは自問の意味も()ねて、語ってみようと思う……



───ロリータ・コンプレックスについて……



さて、先ずはロリータ・コンプレックス───ロリコンの定理付けと行こうか。


「よっ、と」


ここでロリコンは幼女または少女への性的嗜好や恋愛感情を持つ者、としておこう。


「ほっ、……ていっ」


まあ、元ネタと言うか言葉の起源とかはとりあえず置いて置こう。

ここで大事なのは幼女または少女にそんな感情を抱くと言う事だ。


「ほいやっ、と」


ここで問題だ。


「おらよっ、」


Q.あなたの初恋は何歳でしたか?


初恋の定義は?

なんて聞かれたら弱る所だが……

そこは主観として、まあ、ませてる子は幼稚園。

大抵は小学校の時なんかだろう。

小学生……つまり六才(から)十二才くらいだ。

そこで出て来るのはオレの今の年齢九才。


「おっと、危ない」


うむ、もう言いたい事は伝わっただろうか。

とりあえずここでとある少女三人の年齢を紹介しよう。

エルフっ子シエルさんは……いや、待て。オレはシエルの年齢を知らない。


「っと、危ねえー」


あの子、年齢聞くと怒るんだよな。

特にオレの年を教えた辺りから……いや、あの時の事は忘れよう。


「おら、よっと」


よし、狐耳モフモフ少女サクラさんの年齢だ。

彼女は現在十二才である。

オレなんかより年上だ。

少し世間知らずなんて所もあって忘れがちだが年上である。


「くっ、ほらよっ」


続いて魔眼白髪少女ユウさんの年齢だ。

彼女は十一才である。

うむ、年上だ……


「とあっと、危ねぇ」


つまり三人とも年上である。

うむ、オレはロリコンではない。はず……だ。

まあ、別に彼女たちに対して恋愛感情があるかと言われれば……父性的な、感じだ。

こう、保護欲って感じのやつ。


「うんうん、そうな感じだ……ってあぁ危な!」


「おいこらユリウス。さっきから何ダラっとしてんだ。何回言わせんだ」


「あ、はい。すいません」


オレは跳躍してヘッドボアの突進を避けつつ返事をする。


「これは回避の訓練だって言ったろうが。しっかり相手を見てぶつかる寸前で(かわ)すってのが大事だ」


「でも、こいつ遅いんですよ。動きも単調ですし」


ふごふご言いながら突っ込んでくるヘッドボア。

こいつは見た目も中身も普通のイノシシだ。まあ、無駄に頭がデカイんだが。


「まあ、そうだな。なら一撃で仕留めろ。それで終了にしてやる」


「え、本当ですか」


「ああ、俺は嘘をついたことないからな」


「あっ、早速嘘つきましたね」


「そうか、あと一日やるか?」


「いえ、結構ですっ、と」


そんな軽口を叩きつつヘッドボアを観察する。

斜め後方へ跳ぶことで突進を避け、そのまま木の側面に足を着け停止。

それを繰り返しながら煽っていく。

しかし、一撃……


「あのー、ケイトさん。質問いいですか」


「ん、どうした?」


「その、非常に困っているんです……。僕はどうやって攻撃すればいいんですか?」


「………………」


「っちょ、黙るのはなしですよ。僕、訓練中に魔法使わないって決めたじゃないですか。確かにエアブレードで一発ですけど……その縛りは守りたいですっ、と」


くそー、喋ってる途中に突進してくるなよ。

怒るぞ!


「それにこの剣」


背中にある神剣、イデアル=イリュジュオンをチラリと見る。

白銀に輝く見惚れるようなその作り。

抜いて振り、使いたいという欲望に駆られるような不思議な魅力を秘めている。

しかしこいつはなかなかの曲者(くせもの)で扱いが難しい。

何よりまるで意思を持つかのようにオレの魔力を欲するのだ。

まあ、最近辛くなって来た日課の魔力消費の際、とても役にたってくれるのだが……

しかし、


「抜いて使ったらどうなるか知りませんよ。今、イデアル=イリュジュオンに溜まっているのは僕の三ヶ月分の魔力ですよ。それも日々上昇してる」


「……それはマズイな。うん、非常にマズイと思う……。うーん、まあ頑張れ。男に二言は無い、からな」


「って、普通その台詞本人は言いませんって」


と、いうオレの言葉もどこ吹く風。

ケイトさんは木の上で目をそらした。

まるでバツが悪いように……

しかし誠意を感じることが出来ない。

あの人は普段からああだからな……ったく。


グッと踏み込み目の前に迫るヘッドボアに向かい駆け出す。

虚をつかれた様な様子、だがその突進の勢いは衰えない。

ぶつかる寸前でオレは足に魔力を流していく。

活性化だ。


ダンッ


そんな音と共に薄っすらと沈む地面。

オレは力を殺す為にヘッドボアの上を回転しながら、真下を通過していく姿を確認。

うん、予想通りだ。

恐らく長々と仕留め損ねていた敵、つまりオレに攻撃が届いたと確信しているのだろう。

その突進の勢いを殺す事なくケイトさんのいる大木へと突っ込んだ。


ドシンッと鈍く思い音。

ケイトさんも驚いた様子で…………っくそ、あの人別の木に移動してやがる。

見下した様にニヤニヤしやがって。


だがこれで第一目標はクリアだ。

オレは足元にあった手頃な石を二つ拾い木に登る。

未だ興奮冷めず、と言った感じのヘッドボアに向けてそれを投げつけた。

魔力を込めて、だ。


──臨界突破(クリティカルオーバー)

物質に魔力を流して許容限界を迎えさせ内側から破壊する。

某エルフ少女を助ける時にも使った技だ。懐かしい。


オレの思惑とは違い、石はヘッドボアに届く前に爆発したがする事はかわらない。

しかし、本当にこれは扱いが難しいな……

下手な使い方をしたら手元でボンッだからな。

やはりサフィールのサポートがあってこそだよなぁ……


おっと、頭上の寂しさに浸っている場合では無い。

ブフォブフォと、言いながら後ろ足で地面を削りながらこちらを睨むヘッドボアへと意識を向ける。

さーて、戦闘は始末してしまうまでが戦闘ですよ、と。


残ったもう一つの石に魔力を込めて思いっきりヘッドボアの後方へと投げる。

ドンッという爆発音と共にダッシュを開始。

背後から聞こえるケイトさんの物らしい「てめぇ、さっきらか俺を狙ってるだろ!!」と言う声は……そら耳だろう。

うん、わざとじゃない。あんな所にいるケイトさんが悪いのだ。

散々ハイトさんと共に練習した木から木への移動を駆使しヘッドボアから逃げる。

これは慣れてくると地面を普通に走るより早く移動可能だ。あくまで普通より、だが。

さらに木と足の接地面に魔力を流して安定性をアップ。


現在位置から考えるに二分。

恐らく二分全力で走れば目的地へと着くだろう。

蹴る度にギシリと軋む枝に不安を覚えつつ先を急ぐ。

ヘッドボアが追ってこれる様なコースどりを考えながらの逃走。

なかなか骨が折れる。

ヘッドボアにオレの事を視認されつつやつが木の幹に突っ込まない様に……

なかなかに面倒だがしょうがない。


しかし、以外と遠いな……

精神的に結構疲れるぞ、これ。

そろそろ三分か、ケイトさんは地面を走りながら付いて来てるんだろうな……

うむ、体力的には問題ない。

そろそろゴールの……


「───あはっ、やっぱりいいや。この光景……よっと」


年甲斐もなく感嘆の声を出してしまった。

いや、実年齢からしたら丁度いいのかもな。

それにしてもこの光景は何度見ても……素晴らしいな。

広大に、どこまでも広がる樹林。

地平線まで濃い緑、奥にいくほど濃く、濃くなっていき最果ては漆黒と言えるほどに染まっている。


危険度Sランクの侵入禁止領域、地獄の森(インフェルノヴァルト)

最低Bランク以上の化け物の巣窟となっているこの森は世界会議(フリーデン)により侵入禁止の魔境となっている。

入る者は拒まず、しかれど生かさず。

数多の騎士や冒険者たちを葬り去り、再奥には魔を統べる王が居るとも言われている伝説の森だ。


「うむ、美しい……」


オレはこの景色が好きだ。

この温厚な森(ウォームフォレスト)地獄の森(インフェルノヴァルト)とを分かつこの終わりの崖(エンドクリフ)から見る景色が……

高さ八百メートルのこの崖。

落ちたら終わり、まさにエンドなクリフな訳だ。


「おい、ユリウス。危ないから戻って来い」


おっ、邪魔者がっ──と、間違い。

ケイトさんがやって来た。


「いやいやケイトさん。ここはとても素晴らしい景色ですよ。ほら、下を見てください。僕が見事に落としたヘッドボアを怪鳥が我先にと空中で奪い合ってますよ」


うわーエグい。


「はぁ、まあいいよ。それにしてもお前は石であいつに二回攻撃したぞ。一撃ではないわけだ」


勝った、という感じで笑うケイトさん。

だが甘い、


「残念、僕が狙ったのはあくまでケイトさんです。ヘッドボアはオマケですよ……ってわぁ!! すみません、冗談、ですっ。本当に死にますってぇえええええ!!」


いや、マジで大人気ねぇよ。

オレが今いるのはウォームフォレストからエンドクリフへと突き出た一本の枝。

ケイトさんがその幹をグワングワン揺らすのだ。

いや、死にます……!!


「ぎぁああああああああ!!って、あっ……」


浮遊感。

あぁ、お父さん、お母さん、僕は旅に出ます。

よし、ここから魔境編スタートだ!!

きっと下に落ちて幾多の化け物と戦って成長するわけだ。

──とはならない。

なぜならケイトさんが助けてくれるからだ。


「たくっ、気を付けろよ」


「いやいや、ケイトさんはそれ言っちゃダメでしょ……」


まあ、助けてくれたのはありがたいんだが……

落とした張本人に言われても、ね。

しかし、


「ケイトさんその魔法、かっこいいですね。なんかこう、光って……うん、かっこいいです」


「お、そうか? これはな、ちょっと旅先で教えて貰ったんだよなぁ」


と、言いつつ(くう)を蹴るケイトさん。

その足元には薄緑に発行する魔法陣。

なんか、かっこいい。


「それ、僕にも教えて下さいよ。是非とも!!」


「はぁ、なんでだよ。ジョルジュにすら教えて無いんだぜ。俺の秘蔵だよ、秘蔵」


「うーん、そうなんですか。なら……何か一つ条件を出して下さいよ。できる事なら何でも聞きますから」


「はぁ、何でも、か……何でも。……そう、何でも!!」


その時のケイトさんのニヤリとした顔をきっとオレは忘れないだろう。








タンッ、タンッ、と華麗に空を蹴るケイトさん。

小脇にオレを抱えて空を翔ぶ、いや跳ぶ姿は面白い物があるだろう。


「それで物は相談だ。ユリウス」


無意識にゴクリと唾を飲んでしまうオレ。

ちなみに現在はグランドクロス邸への帰り道である。

三ヶ月間に及ぶケイトさんと二人きりの修行生活も終了した訳だ。

本当に二人きり、出会ってから今まで一度も離れた事が無いサフィールとも、である。

ああ、早く会いたいなぁ……


「──っておい、ユリウス。聞いてるのか?」


「あぁ、すいません。みんなと久々に会えるなぁって思ってまして」


「あぁ、確かに久々だな。何か心配事か?」


「ええ、ちょっとユウの事がですね」


「ユウ……あの白髪の子の事か?」


「はい、彼女。何と言うか……人間の人間の部分を怖がってる所があって……そこが……」


「あー、確か過去に色々あったとか言っていたな」


「それに彼女、ユウは人の心が読めるんですよ。それによる人間不信と悪感情と言いますか……」


「はぁ、それはまあ、気にすんな」


「え、?」


「あそこの人達はいい意味でも悪い意味でも人間やめてるからさ。ちょっとやそっとの事じゃなびかねえよ」


「しかし……」


「まあまあまあ、固い事は気にすんな。今は俺の話に集中しろ、な!!」


「いや……どうしてそんなにテンション高いんですか。それにわざわざ空飛ぶ必要あるんですか?」


「いやー、保険だよ、保険。もしもハイトがいたらマズイから、な。あいつが本気で隠れたら解放(レベル)3くらい使わないと無理だから、な」


「レベル……?」


「ん、まあ気にすんな。いずれジェイドさんが直接教えてくれるだろうから、さ。それより俺の話を聞け、いいか─────」








「ふむ、それは興味深い話ですね……」


ケイトさんから聞いた話はとても面白かった。

いや、まあ僕も男の子ですから……


「ははっ、流石ユリウスだ。お前なら理解してくれると信じてたぞ。お前が少し余裕が出来た時でいいから頼むぞ」


「はい、任せて下さい!! 僕も将来的には必要になりそうですし、お供も務めますよ!!」


「おおっ、本当か!? お前は見てくれも性格もいいからな……それに俺ともタイプが違う。いやー、楽しみだ」


「ははっ、期待してて下さいよ」


なんて、ケイトさんのお願いで意気投合してしまったわけだ。

お願いの内容?

それは中身が大人のオレと全部大人のケイトさんと二人だけの秘密である。





「おっ、見えてきた見えてきた。降りるぞー」


グッと浮遊感の後、スタンと着地。

本当に身のこなしが軽いな。

なんか、こう、振動ゼロみたいな。

うむ、これは感覚としか言いようがないな。


「ああっ、そうだ。ユリウスはここでちょっと待ってろ、絶対について来るなよ」


「あ、はい。待ってます」


「おう、サッと行ってくるわ……」



───そして数分後……頭の上に楽しそうに跳ねるサフィールを乗せたケイトさんが、肩を落とし涙目で帰ってきた。


「明日まで帰って来るなだってよ……」


中で何があったんですか……?




いろいろあって投稿が遅れました。


誤字修正や感想返しも滞ってしまい申し訳ありせん。

長らく投稿せず、お気に入り登録いただいている方々には申し訳ない所です。


リアルの時間を調整しつつ執筆していこうと思っていますのでこれからもお願いします。

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