期待と現実の狭間で――「ブックマーク」という名の魔物
毎日、仕事の合間や寝る前の貴重な時間を削って、必死にキーボードを叩いています。
脳内ではスズネが絶叫し、リナが変態的な笑みを浮かべ、カイルが「踏んでください」と跪いている。そんな愛すべき(?)キャラたちが暴走する物語を世に送り出すとき、私は密かな期待を抱かずにはいられません。
(きっと、誰かが「面白い!」って言ってくれるはず)
そう思って投稿ボタンを押し、数時間おき……いえ、数分おきに管理画面をリロードする日々。
そこで私の心を一喜一憂させるのが、「ブックマーク(ブクマ)」という名の数字です。
PV(閲覧数)が増えるのは、確かに嬉しい。
誰かが私の書いた「恥ずかしい魔法少女」の物語を一瞬でも覗き見てくれたという証拠ですから。
けれど、ブクマの数字は、その喜びとはまた別の、もっと重い意味を持っています。
それは「続きが読みたい」という読者からの、明確な「期待」の重みです。
一時期、タイトルを『異世界★魔法少女―転生初日に聖女扱いされましたが、変身が罰ゲームすぎます!―』と、これでもかとインパクト重視の長い名前に変えたことがありました。
その結果、確かにPVは以前より伸び始めました。
けれど、ブクマの増え方は、期待したほど爆発的ではありませんでした。
(あれ……?見てはくれているけど、ブックマークには入れてもらえないの?)
そう気づいた瞬間の、あの「あ、あたし、滑ってる……?」という、スズネがパステルピンクのフリルをなびかせながら空中で静止したときのような、居心地の悪い羞恥心。
自分の作品を「面白いんじゃないの?」と自画自賛していただけに、その数字の停滞は、私のガラスのメンタルを容赦なく削りにきます。
ブクマが一つ増えるたびに、砂漠でオアシスを見つけたような心地になり、執筆のモチベーションが魔法のように回復します。
けれど、不意に数字が一つ減ったときの、あの心臓がキュッとなる感覚。
(ごめんなさい、面白くなかったですよね……次はもっと頑張りますから!)と、画面の向こうの見知らぬ誰かに、心の中でスライディング土下座を繰り返してしまいます。
それでも、私は今日も書き続けます。
そんな悶々とした日々の中で、その瞬間は訪れました。
いつものように無意識にリロードした管理画面。
そこにある「ブックマーク」の数字が、ついに「10」を指していたのです。
(じ、10件……。二桁、いった……!)
それは、私の作品を「面白い」と認め、これからも追いかけようと決めてくれた人が、この広いネットの海に10人もいるという揺るぎない事実。
画面を見つめたまま、しばらくフリーズしてしまいました。
爆発的な伸びではないかもしれない。
けれど、コツコツと積み上げてきた一話一話が、誰かの心にちゃんと届いた証拠だと思うと、鼻の奥がツンと熱くなりました。
一方で、不意に数字が一つ減ったときの、あの心臓がキュッとなる感覚。
(ごめんなさい、面白くなかったですよね……次はもっと頑張りますから!)と、画面の向こうの見知らぬ誰かに、心の中でスライディング土下座を繰り返してしまいます。
それでも、私は今日も書き続けます。
たとえブクマの伸びが緩やかでも、一度は「面白い」と思ってしまった自分の感性を信じたいから。
何より、勝手に動き出してしまったスズネたちが、次はどんな恥ずかしい目に遭うのか、作者である私自身が一番見たがっているからです。
無謀にもコミカライズを目指す道のりは、まだまだ遠く、険しい。
けれど、10人の読者という「希望」を糧に、私はこのWeb小説という大海原を、ピンクの旗を掲げて進み続けようと思います。
……あ、でもやっぱり、11件目が増えていないか気になって、またリロードボタンを押しちゃうんですけどね。




