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はじめてのプレゼント

「〜〜〜!..........!」


ああ、うるさい。


紐で花を縛りつける。


花の色が青くなるにつれ、頭の中のノイズが消えていく。


紐を緩めると、花が元の色を取り戻す。


もう一本の見知らぬ花はハサミで切ってしまった。

中からは液が漏れ、服が汚れた。


ああ、イライラする。


再び紐をきつく締める。花が青みを増す。


ははは!面白い!


紐を緩めると、呼吸の仕方を思い出す様に、花がまた色を取り戻す。


そういえば、この紐ってなんの紐だったけ?


確か誰かにもらった様な気がするんだけど……


「〜〜〜〜〜〜〜〜!?…………!!」


「だから、うるさいって!!」


花を地面に2回打ち付け、八つ当たりする。

花は少し赤みを増した。


ああ、そうだった。これは靴の紐だ。

大切な誰かにもらった、大事な宝物だった……気がする。


認知的に負荷が掛かるからだろうか?

色々思い出そうとすればするほど、筋肉が緊張して思わず腕に力が入ってしまう。


「あっごめん。このままじゃ枯れちゃうね」


紐を緩める。赤黒くなった花がまた息を吹き返す。

よかった。生きているみたいだ。


なんとなく誰かの顔の輪郭が浮かび上がって来る。

そうだ、確か大学で出会って、付き合う事になって……。


手がプルプルと震え始め、思わず花を殴りつけてしまった。


「…………ッ!!!〜〜〜〜〜て!!」


ノイズと共に花が赤みを増して行く。


そうそう、この紐は彼女からもらった最初のプレゼントである靴についていた靴紐だ。


彼女、今どうしてるんだろう?

えっと…そもそもどうして別れたんだっけ?


紐で絞める度に色が変化する花の状態を楽しみながら、物思いに耽る。花は色々な所から液体を漏らし始めた。


……そうだ、あの日講義が休講になって早く帰れる事になって……。


・・・が必死でもがく。

僕は紐を握る手に力がこもる。


家に帰ったら、靴が二組あって……。


・・・の顔がどんどん変色して行く。

僕は再び手を緩める。


寝室に着いたら……。


・・・が訳の分からない事を叫び出す。

やっぱり僕にはノイズにしか聞こえない。


「ね、もう良いよね。なんか君の顔も見飽きちゃったし。花にしてはなんていうか君は見苦しい」


僕は靴紐で・・・の首を絞め上げる。顔色はどんどん青黒く変色していき、舌を突き出していく。


「あははははは!はぁ……ああ醜い」


かつて生き物だったものは、今となってはただの肉塊に過ぎなくなった。


美とはなんだろう?生き物で無くなる直前の二人は、どれも醜く見るに耐えなかった。


この世の中には存在するのだろうか?理不尽な死という現実を目の前にして、美しく咲き香る事の出来る花が。


「はっ、ははは!あはははははは!じゃあ、いっそ探してみようかな?」


美しい花を思い描き、僕は狂気の渦に飲まれていった……

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