初めての夜中依頼
「さて、コハク君行くよ!」
ローラが俺を引っ張った。多分薬場ギルドだな。てかもうそろそろ帰りたいんだがな。
「どこに行くの?『ギャウゥ?』」
「多分薬場ギルドだな『ファア』」
マユの疑問にルークが答えてくれた。
「今はきついかな」
俺がそう言った。
「何で!」
「だってルリ達が留守番してるしさ」
俺は理由を言った。
「それなら夜中で良いんじゃないか?」
そう口にしたのはエルだった。
「それなら私達も用はないしね!」
レナもそうテンション高く言っている
「え、来るの?」
ローラは驚いている。それは俺もだ。これは薬場ギルドに登録している俺とローラの仕事だ。冒険者ギルドのみのエル達には関係ない。
「それは確かに面白そうだな」
タキも納得している。エル達はAランクだから数日の依頼もあるのか。
「ならお前らに依頼がある!」
おっさんが笑顔で言った。
「これだ!」
依頼書を見てみると薬場ギルドと冒険者ギルドの共同依頼だった。
共同依頼とは別のギルド同士の者が一緒に受ける依頼の事だ。報酬は別々だ。しかしパーティは1組と数えられる。
「この依頼はボンナイトという数体のBランクの骨の魔物の討伐だ」
討伐って薬場ギルド要らなくね?
「ボンナイトは通常魔法は通じないんだ」
「はぁ!?」
エルが驚きすぎて叫んだ。
「なら無理じゃない!」
ローラもそう言った。
「しかし剣などの物理攻撃や光魔法なら通じるんだ」
でも光魔法を使える人は珍しいが冒険者でも少しは居るはずだ。
「後は光癒ポーションが必須なんだ」
「どう言う事ですか?」
タキが質問した。俺も聞きたかったから質問してくれて良かった。
「光癒ポーションにはな、呪いを解く力もあるんだ!」
「呪い?」
俺が疑問を口にした。
「あぁ、ボンナイトは夜しか出ないが体力を徐々に減らしていく呪いがある」
怖いな。呪いならBランク以上ありそうだな。俺はそう不思議に思った。
「ボンナイトは1体だとBランクだがな群れで行動するからなそうなるとAランクなんだ」
「何で依頼書はBランクなんですか?」
レナがそう聞いた。
「夜に依頼に行ってくれる人はあまり居なくてな正確な情報が無いんだ」
なるほど…
「あ、ちなみに光癒ポーションプラスでも良いぞ」
光癒ポーションやプラスを普通に持ってる人は俺ぐらいなのか。だからこの依頼に呼ばれたんだ。
「言っておくがただポーションを持ってるからじゃ無いぞ、ファイヤグールとコハクだから出すんだ!」
俺って顔に出やすいタイプなのか?
ずっと思っている事がバレている。
「私は冒険者としてなの?」
ローラが聞いた。確か、ローラは両方入っているのか。俺は冒険者ギルドは独学だから正式には薬場ギルドと商業ギルドだけだからな。
「今回の依頼は冒険者ギルドと薬場ギルド、1組ずつなんだ」
「てことは冒険者側ね!」
おっさんの説明にローラは納得していた。
「依頼報酬は1組に白銀貨8枚だ」
俺達は納得をして依頼に関する約束をして帰った。理由としてはライ達の事もあったからだ。
俺はライ達にケイとマユの事や今回の依頼の事も話した。鬼人って事に驚いてはいたが最終的にはケイ達と仲良くしていた。
話は通じないが何となく理解は出来るらしい。これも俺の影響なのか。
そして夜になりライトエメは帰りエル達と待ち合わせ場所に行った。
「あれ、遅れた?」
「遅れてなどいない」
タキがそう返事した。
遅刻してなくて良かったな。
「ファア!『儂が乗せよう』」
「良いのか?」
「もちろん!『ファア!』」
ルークは当たり前という表情をしている。
俺はエル達に伝えるとルークにお礼を言っていた。
ルリは大きさ的にもスイ達と行く事にした。
「お空、楽しみ!『ギャウ!』」
マユがそう言っているので自動的にケイも乗るのだ。最近はスイ達がルリと仲良いのでルリの背中で良いみたいだ。
「あれが、ボンナイト……」
俺は目的の場所に着きボンナイトが見えたのでそう呟いた。予想より多い数だ。
皆、物理攻撃をしている。しかしレナは炎属性だけの為にスイ達が守っている。
「ライトニング!」
光魔法で槍を出して数体倒すが中々減らない。
一応言っておくが倒すと骨が1本だけになるのだ。
「私も戦えたらな……」
「キュー!」
「スイの言う通りだ。どの職業にも不向きはある。仕方ない『ウォン』」
俺はスイとルリの言葉を訳すとレナはありがとうと呟いた。
しかし全然減らないな。こうなりゃ最終手段だ。
「皆、目を瞑って!」
「ライトウォール」
全力で光の壁でエル達に近づけないようにした。
その声にエル達、ルリやスイ達も目を閉じた。
「え、何!?」
マユは驚いて周りを見ていた。マユが目を閉じないと出来ない。そんな事ないがこのままやってしまうとマユにまで被害がでる。
あの数は俺のライトウォールでも厳しい為に言葉が出ない。
「コハク様!やって下さい!」
ケイが自分は目を開けてマユの元へ行き手で目を隠して又、目を瞑った。
「ケイ、ありがと!」
これで出来る為に俺はケイにお礼を言った。
「シャイン!」
光魔法の上級であるシャインを使った。これは言えば太陽みたいにその場を明るくする魔法だ。
これも全力の為にどれほどの威力か分からなかった。だから皆に目を瞑ってもらった。
ボンナイトは全て倒れてその場に骨だけになった。何故か皆、呪いにはかからなった。
俺達は早めに倒したから冒険者ギルドに戻れなかった為に俺のストイムで骨を入れてこの場所を離れた。
そして野宿する事になった。朝まで魔物が出る事など何もなく過ごせた。
冒険者ギルドに俺達は報告に行った。しっかりと数えてなかったからボンナイトの倒した数に驚くのだった……
それにその額もあんなに増えるとは今の俺達はおっさんを除いて誰も知らないのであった……




