宣伝の効果と俺の意思
「俺達は良かったと思ったんだけどなぁ」
「流石コハク君だよねー」
エル達だった。ローラは褒めてくれていた。
「これが偽物とは信じ難いな……」
タキもそう言っていた。
「前のポーション売ってた子か!」
冒険者だと思われる男性が数人いた。
「光癒ポーションを5つほど良いか?」
「聞くのか?」
「あぁ、前にエルさんに言われて試しで1本買ったがもの凄い効果だったぞ!」
そう嬉しそうに言ってくれた。
「でも高くないか?」
「確かにそうだがAランクポーションだからな……」
「俺らBランクだぞ?」
「ほんとに凄い効果なんだって!」
そう会話している。
「別に高ランクの物を買ったらダメなんてルールは無いぞ!」
前のイベントでも買ってくれた人が説得してくれていると別の冒険者がそう言うと他の人達もその話題で話している。てか、多くないか?
「前買ったポーション凄かったよ!」
「高いけど凄いから仕方ないよね!」
そう話してくれている。確かにAランクの物になると大金貨は行くのだ。
「1本でも多いと思うけどね」
「確かに!少し飲むだけで殆ど回復するから便利よ!」
体力の回復にはポーションを飲むか睡眠を取るかの2択だ。睡眠だと時間がかかるから、依頼終わりなどはポーションの方が楽なのだ。
「やっぱり凄いよな」
「そりゃ俺の行きつけだからな!」
冒険者の1人が褒めるとエルが答えてくれた。そのお陰で本当にお客さんが沢山来てくれるから感謝だな。
そこから1時間程度で現在持っている全てのポーションは売れた。
凄いスピードだな……
あと少しで夕方になるから帰ろうかな。
「魔物だー!」
ギルドの外から叫び声が聞こえた。
俺達は急いでその場所へ向かった。魔物なら話が通るかもしれないからな。
「コハク、アイツらと話してくれないか?」
おっさんが2体の魔物を指してそう言った。俺は魔物を鑑定した。
鬼人
Aランク
人型だが角がある
戦闘能力があるがちゃんと人の心もある
「どうしたんだ?」
人の心が分かるなら俺の言葉は通じる筈だ。
「こいつらが俺達の家族を殺した!『ギャウ、ギャウ!』」
鬼人が指を指した方を見ると俺が売っているポーションを馬鹿にした奴らだった。
「魔物だからそりゃ狩るだろ?」
「依頼は出てたの?」
「そんな依頼はない筈だ!」
クレーマー冒険者の1人がそう言うと俺は質問した。その質問に答えたのはおっさんだった。
「お母さんが病気だったから皆でこの街に治してくれる人が居ないか探してたの『ギャウギャウギャウ……』」
妹みたいなのが泣きそうだ。
「お前みたいに話が伝わる奴を探していたが不意を突かれて俺とコイツ以外の8人は殺された『ギャウギャウ』」
鬼人って結構強いだろ。それを多数殺すなんてどんな不意を狙ったんだよ!
「ちなみお前達や家族は誰かを殺した事はあるか?」
「ない!俺達は殺意のあるものしかやらん『ギャウ!ギャウ』」
「それにちゃんと話し合うしね!『ギャウ!』」
鬼人の兄妹はそう言っている。それなら俺はコイツらの味方だな。
「すまなかった!」
「何してるの!?」
俺が頭を下げたのに皆は驚いている。ローラは声が出ていた。なので俺は皆に鬼人達が言っていた言葉を伝えた。
「お前は何もしてないだろ?『ギャウ?』」
「確かにそうだが俺もお前達の家族を殺した人間と同じ種族だ、それに独学中だが冒険者でもある」
俺はそう説明していると鬼人達の家族を殺したクレーマー達は大笑いしていた。
「やっぱり馬鹿だな、俺達はコイツに反撃されたがな」
そう大声で言った。
「そうか?」
それに反論した者がいた。
「相手は魔物だが不意に家族を殺されたら怒るのは当たり前だ」
「魔物は俺達が殺すのが当たり前だろ?」
「そんなのは建前に過ぎない」
そうも返している。
「魔物が強いのを自分の力とな勘違いしている奴に頭でもイカれたか?」
クレーマー冒険者が嫌味を言うとルークがキレていた。
「ルーク、落ち着いてくれよ」
俺はルークを撫でて落ち着かせている。
「主人は我より強いぞ『ファア』」
ルークは凄い圧が出ている。
俺が文句を言おうとしたがエルが止めている。さっきからの発言もエルだ。
「コハクはお前らよりダントツに強い!」
そうエルは胸を張って言った。
「魔物が居るからそう思うだけだろ!」
「いや、魔物抜きでも変らないな」
「まぁうちのエルは鑑定出来るからねぇ……」
ローラはそうドヤ顔で言っている。周りの皆は信じている。流石はAランク冒険者だな。
クレーマー冒険者は武器を出そうとしたがおっさんに止められた。
「今回の事はお前らに非がある」
「魔物なんて悪しかいないだろ!」
コイツは何を言っているんだ?
「何でそう思うの?」
俺は不意に聞いた。
「すぐに襲ってくるからだ!」
「それは魔物によるよ」
「それならコイツらもだ!」
2人の鬼人を指してそう言った。
「それは貴方達もそうだよ!」
「馬鹿な事を言うな!」
俺はそう返すとクレーマーは俺に武器をおろした。
「ぬるい!『ファア!』」
ルークが足で止めた。流石はルークだ。足で跳ね返すとは……
「人間だって魔物の言葉が分からないから話を聞かずに襲うよね?」
「そんなの知るかよ!」
「そうだよ、言葉が通じないから仕方ないじゃねぇか!」
冒険者達は俺の言葉に反論している。
「それは理解しようとしてないからだよ、魔物は色んな接し方がある、れが襲ってるように見えたから反撃したは可笑しな話だよ」
「お前の変な事を押し付けるなよ!」
そう大声で言ったが俺は笑った
「どうした?コハク!」
おっさんは心配してくれてるようだ。
「どの口が言うの?」
「は?」
クレーマー冒険者は腹が立っている様だ。
「魔物は殺すのが当たり前だっけ?」
「あぁ!」
俺がそう聞くと頷いた。
「それは良いけど何で俺が言った事に笑ったの?」
「そんなの馬鹿だからじゃねえか」
話が通じないな。
「押し付けるのはそっちもでしょ、俺は魔物の意見を尊重したいそれを自分はころすのが当たり前だから尊重するのが馬鹿って笑ってるのも押し付けの一種じゃない?」
俺はそう反論すると周りは爆笑していた。
「確かにそうだな!」
「人の事言えないよ!」
「馬鹿って言ってる方が馬鹿じゃん!」
そんな声が聞こえて来た。
クレーマー冒険者達は恥ずかしくなり逃げていった。
「この件は俺とコハクが引き受けるから皆は自分の事に戻ってくれ!」
そう言うと周りの騒ぎは無くなっていった。
「俺達は依頼が終わったし良いか?」
その質問におっさんと俺は了承した。
「お前テイマーだったよな?」
鬼人の1人がそう言うので俺は頷いた。
「名前は?『ギャウ?』」
「コハクだよ」
俺は名前を言った。
「俺達をテイムしてくれ!『ギャウ!』」
「貴方なら私達の家族になって欲しい『ギャウ』」
そう兄妹は頭を下げた。
「分かった」
俺が拒む理由はない。
「なら名前を付けるぞ!」
「やった!名前!『ギャウ!ギャウ』」
妹の方は喜んでいた。ちゃんとした名前を考えないとな。
「兄の方はケイだ!」
「ケイとは良い名だ『ギャウ』」
喜んでるようでよかった。
「私は?『ギャウ?』」
「君は、マユだ!」
「マユ!『ギャウ!』」
喜んでいるみたいだな。
人型だから人間っぽい名前にしてみた。
「ありがたき幸せ!『ギャウ!』」
ケイは俺に頭を下げた。いや忠誠を誓う姿勢だな。マユもその姿勢だ。
「私達はコハク様に命を授けます!『ギャウ!』」
「マユの命もハク兄の物!『ギャウ!』」
マユもそう言っている。いつのまにか兄認定されていたのか。ケイの口調も変わってるな。まぁ良いか。
「ありがとう!これからよろしく頼む!」
そう言うと2人ともよろしくと言ってくれた。
この後にライ達に説明するのが面倒だと思うのはここだけの話だ。




