俺の力? ルークの力?
俺は今、ルークに乗って空を飛んでいる。
「ファア?『目的はあるのか?』」
「いや、ないぞ」
俺はそう答えた。
「単に空を見たくてな!」
ルリ達はエメとライと鍛えている。スイ達もだ。
今日は何処にも行く予定がない。
薬場ギルドは前に行ったばっかりで商業ギルドに至ってたは昨日行ったしまだ人に会っていないのだ。
ストイムにポーションはあるからいつでも売れるがな。
まぁルークと1対1で話す事が無かったから話したかったってのが本音だ。
「ファア!『空なんて何処でも見れるではないか!』」
「ただ見るのと違うだろ?」
普通に空を眺めるのと高く飛んでいる中見上げるのとは全く違うと感じるのだ。
「空だと何か良いことがありそうだしな」
そう俺が言うとルークはぐるぐると周ってくれている。
「人が襲われている、助けるか?『ファアー?』」
ルークに言われて見てみると殺意満々の魔物と戦っているエル達だった。俺は助けたい為にルークに指示をした。
「コハクか!?」
「逃げた方がいいわよ!」
エルが俺に驚くがレナがそう提案した。もちろん帰るつもりはない。
皆体力がないと思うから回復してもらう。
「これ飲んで!」
ストイムで光癒ポーションプラスを出した。エルとタキがギリギリ立っていてレナとローラは座っているので光癒ポーションよりは良いと思った。
正直に言うと回復量がわからないだけだが……
「かたじけない!」
「これがプラス…」
エルとレナは黙って飲み、タキとローラは一言だけ言って飲んだ。
「これは…」
エル達は驚くがもの凄い回復力で直ぐに戦いに戻った。しかし中々倒せない。
俺も参戦する為にとりあえず鑑定するか。
ポイズンオーガ
Aランク
ゴブリンの最終進化
耐久型
耐久型の魔物だからAランクパーティでも倒せないのか?
でも皆がAランクだから普通に倒せる筈だ。
いや、2匹だから倒せないんだ!
「ファア!『儂がやって良いか?』」
「あぁ、支援は要るか?」
「ファアー!『ルリ殿やスイ殿達が言っていた力か、是非やってもらうじゃないか!』」
ルークがそう言ったので俺は支援をした。
「これが主人の力!『ファア!』」
ルークは驚いているが飛んでポイズンオーガの首を突いた。
速さが俺の支援で上がっている為にもう1匹も突いて行った。ポイズンオーガの首を跳ねた。
これは少しグロいな……
「凄いなぁ」
エルが呟いた。他の3人は唖然している。
少し時間が経つと3人の気は戻った。
「助かった!」
「かたじけない!」
エルとタキが頭を下げた。
「気にしないで」
俺はそう言っておいた。
「でも君の従物凄いね?」
「主人のお陰だ!『ファア!』」
レナが褒めるとルークはそう言って胸を張っていた。
「そういえば何でここにいるの?」
「ポイズンオーガ1匹の依頼で来たんだがもう1匹居たとは予想外でな」
「コハクくんから買ったポーションは皆割られてさ」
Aランクとなってくると自我は無くても脳が優れていたりするからな。
俺はそのまま帰ろうとしたが止められた。
「ポイズンオーガは持って行かないのかい?」
「依頼だったんでしょ?」
エルが言うが俺がそう返した。元々の依頼を俺が横取りするのは違うからな。
「こう言う大物は耳などの一部で良いからな」
タキが答えた。
そうなのか!俺はストイムがあるから分からなかったが基本は無いから軽く持ち運べる一部で良いのか……
「コハクくん、ポーションって何本ある?」
「まだ、50本以上はあるよ」
ローラの質問に俺は返した。
「なら売ってくれない?」
「そうだな、また魔物に襲われるかもしれないからな!」
ローラの言葉にエルも賛同した。
「ファア!『儂が乗せて行こうか?』」
「行けるの?」
「ファア!『もちろん』」
ルークの背中に乗っても良いと言う許可が出たので乗せてもらって冒険者ギルドに行く事になった。
「てか乗せれるのか?」
ルークは大きいが5人の人を乗せる程の大きさは無い。
するとルークは大きさが変わりかなり大きくなった。
「凄いな!」
俺は驚いた。俺が驚くと言う事は他の皆はそれ以上だ。
俺達はルークの背中に乗り冒険者ギルドに行った。
エル達は受け付けに行き討伐報告をした。
「これ、コハクの報酬だ!」
エルが袋を渡したので中身をみると大金貨が2枚入っていた。かなりの額だな。
ポイズンオーガ2匹だから1匹で金貨5枚だ。
「いらないよ!」
俺は何もしていないからな。ルークもそう言ってる。
「コハク殿が居なければ我々は死んでたからこれぐらいの額は当然だ」
タキが言うと他の2人と強く頷いていた。
俺はありがたく貰う事にした。すると知っている様な声がした。
「また魔物が強いからって威張ってるんだ」
「カエデ……」
ルナはそう呟いた。
「魔物だけはじゃないよ!」
ローラがそう言ってくれた。
「今回助けたのはそこの魔物よね?」
俺はその言葉に頷いた。
「なら私が当たってるじゃない」
「魔物が強いからってコハクが弱いとは限らない」
エルがそう言った。
「何言ってるの?テイマーは魔物が強いだけでしょ!」
テイマーが良く言われる事を言っている。
「言い合いは表でやれって言ってるだろ!」
おっさんが来た。
「コハクか……またなんかやったか?」
「それが……」
タキが説明した。エルは説明下手って言ってたからな。
「流石だな」
そう笑っていた。
「こいつの強さは俺が証明する!」
おっさんがそう叫んだ。周りはマジかよって声でいっぱいだ。
「コハクは従物の力無しで俺に勝っている!」
また疑いの声がしている。しかし勝負を見てくれていた人やエル達は尊敬の目だ。
「まぁ良いわ!」
カエデは帰った。
「てかすげぇな!」
最初にエルが声を上げた。
「ギルマスに勝つなんて!俺なんて手も足も出なかったぞ!」
話を聞くとエルも戦った事はあるが全く歯が立たなかったみたいだ。
「ごめん!」
そう言ったのはルナだった。
「何が?」
「カエデの事よ!」
「ルナは関係ないよ」
そう俺は否定した。
「あるのよそれが」
「どう言う事?」
「私とカエデは幼馴染なの」
そうだったのか。だがそれだけで謝られてもな……
「最初はあんなんじゃなかった、ちゃんと力を分かってた!」
最初の頃はあんな事は言ってなかったのか。
「でもあの子は光属性だった、対する私は炎属性だったからこのチームに入れた」
光属性でも随分強いと思うがな!
「カエデは力は知ってたけど結構傲慢なタイプだっからチームの人達に嫌がらせをされていたって聞いたわ」
その性格は変わらないのか。
「そして彼女はソロで伸びって行ったわ」
そうだったのか。
「ただそのせいで力に溺れて行った」
例え暗い過去があったとしても力に溺れる事はよく無いな。
「まぁレナは幼馴染でもあの人にそんな過去があっても関係ないから気にしないで」
そう言うとレナはお礼を言った。
「コハクくん、この後時間ある?」
ローラに誘われた。多分薬場ギルドの事だろう。今は朝だから予定はないので了承した。
「なら薬場ギルドの依頼行かない!」
「良いね!」
俺がそう言うとローラは喜び俺の手を取り走ろうとした。
「まだポーション買ってないぞ!」
エルがそう言うとローラは謝り先ずはポーションを買う事から始まった。
そして薬場ギルドの依頼をこなす前にまさかあのおっさんがある事を提案するとは思ってもいなかった。




