加減はしよう!
「早速だがウォーターウォールについて聞きたい」
冒険者ギルドまで歩いていると父がそう聞いた。
「あれは中級魔法だよな?」
「そうだよ」
俺は答えた。
「どうやって覚えた?」
「冒険者ギルドで独学許可書と一緒に貰った教科書とかで見た!」
ギルドなどで独学をするときは必ず教科書を貰える。それで魔法の勉強をする。
俺はその全属性の教科書の半分は読んでいる。
1属性に1冊なので8冊と結構量はあるが前世の勉強の量に比べたら大した事はない。
「一応言っておくが、冒険者だと初級でも1年かかるんだぞ、初級魔法だって1属性でも何種類もあるからな」
確かに種類はあるがどれも1発で出来たし……
「俺なんかCランクだけど中級魔法1つしか使えない」
「私は先日にDランクに上がったけど初級魔法全部は覚えてないよ〜」
「俺も似たようなもんだな」
「うんうん」
父と一緒に居た冒険者数人がそう言っている。
「だからコハクは凄いが周りの普通も知るべきだ」
俺が異常って事は言われなくても分かってるよ。
こういう会話をしていると冒険者ギルドに着いた。
「グライ達にコハクもいるな、依頼は行けたのか?」
「それがな?」
父はギルマスのおっさんに俺が中級魔法を使える事を話した。
「確かに今の時期に中級は初めて見るな!」
そう言いおっさんは笑っていた。
「コハク、あれは本気だったのか?」
「加減はしてないよ」
父の言葉に俺は返した。
「少しは加減したらどうだ?」
「まだ戦う相手がそんなに居ないから分からないんだよ」
「確かに、あの強さだと加減って難しいなぁ」
1人の冒険者はそう言ってくれた。
「ライ、お前はまだFランクでそんなに戦う事ないから言えるんだ」
「でもライの言う通りかもね!」
ライと言う冒険者以外にもフォローしてくれる人は多々いた。
「でも俺はグライの意見に賛成だな、独学の者がDランクを倒すとかブラックウルフの群れを初級魔法1発で倒したって聞くと変だからな」
そこから父とおっさんの説教と言う名の話し合いはライなどの冒険者がフォローには言っても別の話し合いが始まり数時間が経った。
数時間も話を聞くぐらいなら初級魔法を使えば良かったな。それとルリにも加減の仕方を教われば良かった。
「ここは?」
「起きたか、ロイン!」
父とおっさんの話が終わった頃にロインは目覚めた。
「俺はあのガキにやられたのか」
ロインは俺の方にやってきた。
「お前の考えだと冒険者に何かなれやしないから独学は辞めるんだな!」
「そんな事はないと思うけどなぁ…」
ロインが文句を言うとライが否定してくれた。
「お前なんかが言うな!」
「ロイン!言いすぎよ!」
「エメ、お前も全然成長しない奴は関わるのは辞めといた方が良いぞ」
「同期だから話しても良いじゃない!」
ロインとライ、エメが喧嘩をしている。
「喧嘩するなら表でやれ!」
おっさんが注意すると静かになった。
「おいガキ!お前はそのプライドを捨てとけよ!」
そう言うとロインは去った。
「コハク、俺が加減の仕方を教えてやるよ!」
おっさんがそう言った。その言葉に今いる冒険者達は変な空気になった。
「コハク、ドンマイ!」
「グライさんの息子よ健闘を祈る」
皆はそう俺の無事を祈っている。どんだけやばいんだよ!
「ルリがいるから大丈夫だよ!」
「我1人で十分だ!『ウォン』」
ルリもやる気みたいだし出来るだろう。
「なら、明日俺と勝負だ!」
「おっさんとやら加減無しで十分だろ!」
「いや、両方とも使って俺が判断する!」
「明日は早すぎますよ!」
皆がそうおっさんに言っている。
「それが嫌なら俺と練習だな」
ならやってみるか。ルリも1日で行けるって余裕な感じが満々としてる。
「分かったよ」
俺が言うと明日、冒険者ギルドの奥にある訓練場でやる事になった。
その勝負のせいでよく頼られるようになるのはここだけの話である。