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第99話 虎と火


残りのエネルギーを全放出した昂輝(こうき)とそれを防いだ瑞希(みずき)はふらつきながら立ち上がった。

「倒れろよ」

「それはこっちのセリフだ。お前のせいで両手がいかれたじゃねぇか」

「じゃあ、手ぶらで帰れよ。何も待てねぇだろ」

「帰れるわけねぇだろ。仮に俺が帰っても、他の追跡者(チェイサ―)がお前を(ねら)うだけだ」

「それは俺を見つけれたらだろ?」

「その通りだな。でも、ここに応援は呼んである」

「なら、さっさと倒れてもらわねぇとな」

昂輝の身体に光が集まり始める。

「前もってエネルギーを()めておくスタイルだったのか。さっきのは全力じゃなかったってことか?」

「あぁ」

(恐ろしい奴だ)

潮鼓(しおく)瑞希(みずき)は歯を食いしばりながら、拳を握り後ろに引き、放った、

「っ、"突き抜ける衝撃(ランサー・ショック)"」

「仕組みがわかっちまえば、見えなくても怖くねぇよ!」

昂輝は、潮鼓が繰り出し続ける拳の直線上から逃れながら距離を詰めた、

「"電撃爪(エレクロウ) -(そう)-"」

「この距離で避けれんのか?"突き抜ける衝撃(ランサー・ショック)"!」

潮鼓が拳を突き出す瞬間、昂輝は両足から電気を放出し宙返(ちゅうがえ)りをした。

「後ろ、取ったぜ」

(こいつ、)


昂輝の爪撃(そうげき)を受けた潮鼓はその場に倒れた。



「あいつ、死んだか?」

「うんん、生きてる」

「なんだ、生きてんのか。それなら、お前1人で来ればよかったろ」

「そうねぇ。日中の動きが(にぶ)いおっさんと組まされるなんて」

女性はため息をついた。

「日中動けねぇのはお前もだろ」

「その上、がさつなおっさん」

再びため息をついた。


2人が河川敷(かせんじき)に降りると、昂輝はようやくその存在に気付いた。

「誰だてめーーー」

「追跡者だ」

(まだら)虎太郎(こたろう)は昂輝が(しゃべ)り終わる前に答えた。

「坊や〜、2人追加で。よろしくね」


(距離は100m以上ある。逃げ切れない距離ではないはず)


「逃げようとしてるわよ」

「そいつはダメだ」

斑は両脚の筋肉を電気で刺激し溜め込んだ力で身体を前に弾き出した。その1歩は(ゆう)に30mを超えている。

「逃げんなよ!」

斑の1歩を見て、逃げれないことを(さっ)した昂輝は2歩目が蹴り出される瞬間に、自身も斑らの方へ踏み込んだ。

「相手してやるよ。"電撃爪 (エレクロウ)-(つじ)-"」

「"雷尾突(ラビット)"」

斑は身を低くして攻撃を避けると同時に電気を(まと)った(とら)の尾で昂輝の腹を突いた。

「ぐ、」

昂輝はその場にうずくまり、その口からは血が(こぼ)()ちた。

「お?なんだ?めっちゃ効いてんな。あー、あいつの技()らってたもんな。そりゃ内臓(ないぞう)が傷ついてるわ」

斑は昂輝の様子見るため近づいた、

「おーい、息し–––」

その瞬間、一筋(ひとすじ)電撃(でんげき)が斑の顔の前を()()けた。ギリギリで身を引いたがその(ひたい)にはくっきりと傷ができている。

「元気じゃねぇかよっ!」

苛立(いらだ)った斑は昂輝の腹を蹴り上げ、虎の獣人型(じゅうじんがた)へと変化する。


「ちょっと!殺しちゃダメよ」

「知らねぇよ。日中とはいえ、俺に一撃入れやがって」

昂輝は地面に()いつくばりながら斑を(にら)みつける。

「やる気はあるようだ。さっきの技、悪くなかったぞ」

斑は(するど)い爪のある右手と両脚に電気を溜め込んだ、

「こうやんだろ?"電撃爪(エレクロウ) -(つじ)-"」

地に()す昂輝目掛けて斑が跳んでくる。

(くそ、こんなところで、、、)


「"炎鏡(ほのかがみ) -転写(てんしゃ)-"」

斑の正面に現れた炎の中から、反転した斑自身が飛び出してきた。斑は跳んで炎の正面から外れると、女性の追跡者に叫んだ、

邪魔(じゃま)すんじゃねぇ!」

「殺したらダメって言われてるでしょ!"炎鏡(ほのかがみ)"」

再び、斑の前に炎が現れる。

(こいつ、)

「"-(うつ)()-"」

「しまっ、」

炎の中に現れた2つの光を見つめた斑は金縛(かなしば)りにあったように動きが止まり、地面へと落下した。

「まだやる気なら私が相手するよ」

下半身が(へび)の獣人型になった尾高(おたか)千穂(ちほ)は斑を囲みながらぐるぐると回っている。

「、、、いや、俺が(あきら)めよう。お前の相手をするのは面倒(めんどう)だ」

「わかればいいのよ」

2人は人型に戻ると昂輝の前に立った。

「じゃ、この坊やを連れて帰りましょうか」

「連れ帰るったって、どうやって。潮鼓も伸びてんだぞ」

「あっちは身内だし、置いて帰ってもいいんじゃない?」


「だれ、が、、連れて帰、られる、か、、」

「あら、起きてる」

「よぉ坊主。自分で歩いてくるか?動けんのか?」

斑が質問したが何も返ってこない。

「おい、また気絶してんぞ」

「若いのにおっさんにいじめられて可哀想(かわいそう)に」

尾高が昂輝の頭を()でた時、スマホの着信音が(ひび)いた。


「誰のだ」

「私。あ、所長からだ」


「あー、もしもし?任務中にすまん。今大丈夫か?」

「大丈夫よ」

「稲鳴昂輝はどうなった?」

「私たちの前で気絶してるわ」

「あー、遅かったか。まぁいいや。稲鳴昂輝はそこに放置して帰ってきてくれ」

「え!?いいの?」

「あぁ、構わん。ちなみに潮鼓は」

「そっちも気絶してるわ」

「ほぉ、潮鼓を下したのか」

脱獄(だつごく)した坊や、斑らにも一撃入れてたわよ」

「それはそれは、、、」

「?」

「じゃあ、潮鼓を連れて帰ってきてくれ。じゃあな」

三久須(みくす)所長は電話を切った。


「何つってた?」

「この坊や、ここに置いて行って良いそうよ。潮鼓だけを連れて帰れ、だって」

「なんでだ?脱獄者だろ」

「さぁ?私も知りません」

「帰ったら訊いてやる。ついでに時間外労働の賃金(ちんぎん)もせしめてやる」

「がめついのね」

「正当な金を受け取って何が悪い」

「別に言わなくたってちゃんと貰えるわよ」

「念だよ!念!」


斑が潮鼓を(かつ)()げると、2人は昂輝を1人残して河川敷を後にした。

特殊能力のある世界 第99話 ご覧いただきありがとうございます。


仕事は繁忙期、引っ越しもしてバタバタの毎日です。

AACA脱獄編、次回でラストです。

その次は、久しぶりに子どもたちを描きます


次回の投稿は2/19(木)です。

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