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第74話 護衛No,14と15、それと8


「き~めたっ!」

ビルの屋上で横になっていたリンは跳び起きると

イヤホンをもう一人の男に返し、ビルから飛び降りた。

「おい!目立つような―――」

男が下を覗き込むと被っていたフードを突風が吹き飛ばした。

(それこそ、能力の無駄遣いだろ)

男は返された右のイヤホンを装着すると、

再び、並べた空き缶を撃ち始めた。



市長の家の中では、四阿支部長が鎖の能力を有する侵入者Bと戦っていた。

「やはり、強いな」

「これが仕事ですから」

しかし、四阿支部長は6本の鎖に対して、1本の刀で防戦一方になっていた。

(キリがないですね、かといって2階から降りるわけには、、、)

「No,14、降りても大丈夫ですよ」

四阿支部長に声を掛けたのは護衛No,8だった。

「しかし、」

「正面から来る侵入者Aくらいは対応できます。

私たちも護衛を引き受けた身ですので」

「わかりました、そちらは頼みます」

そう言うと、四阿支部長はホールに降りた。

「やっと、降りてきたか」



(これで2階の廊下は、安全か?)

すり抜けの能力を有する侵入者Aは一連の様子を寝室から(うかが)っていた。

(っにしても、壁はぼこぼこだな、、、。

まぁいい、今のうちに市長を仕留めるか)

侵入者Aは拳銃を構えると、寝室から出て仕事部屋の扉を開けた。

「市長!ここまでだな」

「いいえ、まだ護衛が2人いますので」

「でもどうだ?俺が来た瞬間を狙わないあたり非能力者なんだろ?」

侵入者Aが一歩踏み出すと、護衛No,1と8が立ちはだかった。

「一応、守る気はあるようだな」


「ここは私が行きましょう」

前に出たのはNo,8だった。

「皆さん、多少の発砲はお気になさらず」

そう言うと、No,8は一歩ずつ歩き出した。

「護衛の任務を(まっと)うしたいのは分かるが丸腰で何ができる?」

「そういうあなたは拳銃をもっている()()、ですね」

「だけ、だと?撃たれてから泣くんじゃねぇぞ」

「えぇ、どうぞ、ご自由に」

侵入者AがNo,8に向かって2回発砲した。

弾丸は2発とも腹部に命中したがNo,8は顔色一つ変えず歩き続ける。

そして、

「心臓、頭は的が狭い、だから腹を狙うんですね」

No,8は左手で侵入者Aの左胸を軽く叩いた後、その手を右頬に添え、

右の拳で侵入者Aの顔面を殴り飛ばした。

「No,14、15、侵入者Aの武器は回収しました。

もう時間稼ぎは不要です」


((あの人、こっちの意図を知って、、、))

「あってますよね?

他2人を先に倒したら戦闘系を能力者ではない侵入者Aは逃げるから

先に侵入者Aを捕まえる必要があるって」

「はい、あってますが、どうして」

「私もこの道長いものでして」

「なるほど、助かりました」


四阿支部長は腰から抜いた2本の短刀を左手に握った。

「上は終わったようですよ」

「しらねぇよ、あんなやつ。顔もな。

市長を()るより、あんたの方が株も上がりそうだしな」

「う~ん、それは、困りましたね」

四阿支部長は短刀を投げ、6本の鎖のうち2本を床に固定した。

(こいつ、穴を的確に!)

四阿支部長は4本の鎖を潜り抜け、侵入者Bの懐に入った。

「チェックメイトです」

「どこがだ!」

侵入者Bは固定された2本の鎖を消すと、

新たな2本の鎖を生成し、1本は刀、もう1本は身体を目掛けて発射した。

しかし、突如として侵入者Bの眼前から四阿支部長は消えた

「!?」

「後ろですよ」

四阿支部長は(つか)で侵入者Bの首を殴り気絶させた。

「こちらも終わりました。No,15いかがですか?」


「うぃ~、こっちも終わるぜぇ」


そう答える斗升の足元には焼酎(しょうちゅう)の空き(びん)が転がっている。


(なんだあいつ、酒飲んでから明らかにパワーが増したぞ)

ライオンの能力を有する侵入者Cは獣人型になり、斗升から少し距離を置いている。


「うぅ~あ~、中は片付いたようですぜぇ~」

「いい、いい、どんな奴かもしらねぇし」

「ん?そうなんですかぃ?」

「あぁ、知ってんのは互いの能力くらいか?

まぁ、今はてめぇの事の方が気になるけどな。

護衛中に酒飲むなんか聞いたことねぇよ」

「あっしですかぃ?あっしはぁ、酔っ払いでさぁ」

「んなこと見りゃわかんだよ!」

侵入者Cは斗升に向かって走り出した。

(庭が少し焼けやすが、勘弁してくだせぇ)

斗升は右手の中指と人差し指を立て、顔の前に持ってきた。

「あぁ?なんだ?忍者ごっこか?」

「"第3炎舞 漁火(いさりび)光柱(こうちゅう)"」

途端、侵入者Cが脚を置いた場所が光り、火柱が上がった。

「ちっ!」

攻撃を受けた脚を咄嗟に別の場所に移したが、

次はそこから火柱が上がった。

「っ!?こっちもかよ」

脚を動かすたびにその場所から火柱が上がる。

そして、それは侵入者Cの行動範囲を狭め、動きを封じた。

「くそ、逃げ場がねぇ」

「では、これにて」

斗升が両手を叩くと、火柱は空へ上り消えていった。

「けっ、それだけでよかった、の、、か、、、」

(、、身体がうごかねぇ)

「漁火光柱という現象は、綺麗で人の足を止める。

この技は攻撃技じゃぁ、ねぇのよぉ」

斗升は侵入者Cが動けない隙に拘束作業を済ませた。


「こちらNo,15、おわりやした」

「こちらNo,1、そっちに侵入者Aは行ってないか?」

「んん?来てねぇですが」

「No,5です、俺も見てません」

「逃げられたんですかい?」

「、、、あぁ、申し訳ない。

だが、No,8が発信器を仕掛けてたようでな、追跡している」

「あぁ、それでさっき、庭を行ったり来たりと。

裏口を探してやしたんですかね。

No,14はどうしやした?」

「侵入者Bを取り調べ中だ」



その頃、侵入者Aは塀をすり抜け、裏路地に入っていた、が、、、

「み~つけた」

特殊能力のある世界 第74話 ご覧いただきありがとうございます。


漁火光柱は実際にある現象で、

漁船から発せられる光が、上空で反射することで

光の柱のように見られる現象のようです。

冬によくみられるようなので、

もしかしたら、近々見かけることもあるかも?


次回の投稿は1/26(日)です。

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