第71話 南雲市長からの依頼
葉泉共立美術館で行われた彫刻展から約1週間経ったある日
南雲支部の支部長、四阿紫水のもとに1件の依頼が届いた。
「護衛、ですか」
「ごえぃ~?だれのです」
捜査官の斗升合蔵は焼酎片手にスルメをかじっている。
「南雲市の市長です。常駐の護衛に加わってくれ、と」
「そりゃぁ、大層な依頼ですなぁ」
他人事のように聞く斗升は、マヨネーズに七味を振りかけている。
「で、受けるんですかい?」
「無視はできないですね。お世話にもなってますし」
「うぃ~、それもそうだぁ。じゃぁ、頑張ってきてくだせぇ」
「まるで他人事ですね」
「こんな酔っ払いには不釣り合いでさぁ」
「いいえ、斗升さんには同行してもらいます」
「かぁー、こんな酔っ払いに何が―――」
「強い人を2名、と書いてありますので」
「くぅ~、タイミングがわりぃ。あっしは炎使いよぉ」
「家も庭も壊れたら直すそうですよ」
「そいつぁ、また」
斗升は笑いながら焼酎を口に運んだ。
数日後、四阿支部長と斗升はスーツにサングラス姿で南雲市長の邸宅を訪れた。
「っかぁ~、広い庭!
俺の能力で更地になりやせんか?」
「大声で能力の話をしないでください。
今日は護衛として行動をするんですから」
「おっと、こりゃ失礼。
にしても、サングラスまでいりますかい?」
「市長の護衛は全員してますからね」
「そういやあ、支部長、刀は?」
「刀を背負って現れたら、紛れられないですからね」
「じゃあ、今日は素手ですかい?」
「後でわかりますよ」
2人は玄関に着くと、関係者専用のパスワードで扉を開けた。
玄関を入るとホールの左側にはキッチンとリビング、左奥に浴室
正面には応接室があり、右側には物置がある。
ホールの中央左右からは階段が伸びており、2階の廊下に繋がっている。
2階の廊下はホールを「コ」の字に囲うように伸びていて、
キッチンとリビングの上には子ども部屋が、
正面左に仕事部屋、正面右は寝室、物置の上に当たるところには書斎がある。
「では、仕事部屋に行きましょう。そこに市長がいます」
四阿支部長は寝室の前に立つとドアをノックした。
「本日から配属になったNo,14、15です」
「入ってください」
2人はドアを開け、市長と対面した。
「2人ともよく来てくれました。
ここでは、護衛のプライバシー保護のため、全員を番号で呼んでいます。
サングラスも慣れないと思いますが、よろしくお願いします」
インターホンが鳴り響いた。
― ピンポーン、ピンポーン ―
「荷物が届いたようですね。
No,14は荷物を取りに行った後、ここで私の護衛をお願いします」
「承知しました」
そう言うと、四阿支部長は荷物を受け取りに玄関へ向かった。
「それと、No,15はこれをお願いします」
市長は斗升にスーツケースを差し出した。
「何ですかい、これは」
「どうぞ、開けてください。
他の人には見えないように」
斗升は机の上にスーツケースを置くと、中を覗き込んだ。
「こ、これは!」
「No,15はこれを持って、庭をお願いします」
「承知しました」
斗升は仕事部屋を出て、玄関に向かう途中に四阿支部長とすれ違った。
「それってもしかして」
斗升は四阿支部長の持つ細長い段ボール箱を指さして言った。
「そうです。
では、外を頼みましたよNo,15」
「はい」
南雲市長の護衛として集められた人物は15名。
市長のいる仕事部屋に3名、物置を除いたその他の部屋とホールに1名ずつ、
庭に2名、塀の外には3名が配置された。
南雲市長宅周辺の護衛を見つめる3人がスマホに届いたメールを確認する。
(家の中にいるスーツの奴を撃てばいいのか)
((3回目の発砲音が合図))
特殊能力のある世界 第71話 ご覧いただきありがとうございます。
南雲支部初登場が第28話、これが1年以上前に投稿した話なんです。
見返してて思ったのが、
何で四阿支部長は、斗升さんではなく合蔵さん、って呼んでんだろ?って
呼びにくいし、本当になんでそうしたんだっけ?ってなったので
斗升さん呼びに直しました。
(2回目に登場した第52話っでは、斗升さん呼びだったし統一)
2025年はどんどん投稿していきますよ。
さっさと第1部終わらせなきゃなので。
次回の投稿は、1/5(日)20時頃を予定しています。
投稿したら、またインスタでお知らせします。
06yuuha10




