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第68話 晴天と荒天


AACAと笠尾組による西白共立美術館襲撃の翌日

凛奈(りな)はアジトのソファでくつろぎ、昨日のことを思い返していた。


―――――

千陽(ちはる)さん、最後に1ついい?」

「どうしたの?」

「ここ1年、葉泉支部で殉職(じゅんしょく)した人いる?」

「いないわ」

「そう、よかった」

―――――


(葉泉支部で殉職はない、、、つまり、昨日ので2回目、、、)


凛奈の視線の先では昂輝(こうき)が包帯を取り換えられている


「いってぇな!」

「昂輝が、無茶するから、、、」

「悪かったって言っただろ?長文の説教メールも送ってきやがって」

「なにそれ~?

アル、そんなもの送りつけたの?」

「うん、」

「何回スクロールしたことか」

「昂輝はそれを全文読んだんだ、ウケる」

まつりは笑いながら二人の周りをうろついている。

「でもま、命あってよかったじゃん?」

「まぁな、これがなかったらやばかった」

昂輝は机に置かれた雷型のペンダントに目を向けた。

「特別な機能付いてるのは昂輝のだけなの?」

「うん、2人のは、間に合わなくて」

「え!?じゃあ、そのうち?」

「頑張っては、みるけど、、、」


そんな話をしているうちにアルは昂輝の包帯を取り換え終えた。

「サンキューな!

にしても、あの女何だったんだよ。

糸の能力のほかに伸縮する刀を使ってんだぞ」

「刀が伸びるって面白いよね。ダブルかな?」

「いや、本人は否定してた。

捜査官と行動してるわけでもなさそうだったし、」

「へぇ~、他の勢力かな?」


「いや、違うわね」

凛奈はまつりの考えを否定した。


「え~、りなっちは何でそう思うの?」

「昂輝が木漏れ日の間に入ってきた捜査官を倒した後の通信、

そこで、千陽さんは中の彫刻は無事だと言った。

木漏れ日の間には昂輝しかいないにも関わらず、

彫刻が盗られることはないって断言しているとも考えられる」

「たしかに!無事ってことは傷もついてないってことにもなるね!

中の状況を把握してる人物がいたってことか!」

「彫刻を守ってたあの(まゆ)、俺の技じゃ傷一つ付かなかったんだよな」

「昂輝の能力でダメなら、私たちじゃ壊せないね」

「、、ねぇ」

「なんだよ?」

「その女の人、天井にぶら下がってた、って言ったよね?」

「あぁ、糸を壁に伸ばして飛ぶみたいに移動もしてたぜ」

「、、、まつり、、机をお願い」

「えー、いやだぁ、おもたぁい」

すると、3つの机が飛んできてアルを囲うように並んだ。

「あ、りなっち、ナイス!」

「アル、なにすんだよ」

「集中するから、、、、」

アルはパソコンとノートを並べて、作業を始めてしまった。




所変わって、葉泉市内のショッピングモール

外ではヒーローショー、中の一角では物産展が開催されており、

いつにもまして人が多い。


そこには、待ち合わせをする芽吹小学校の4年生、波溜(はる)和華(わか)奈穂(なほ)の姿もあった。


「奈穂、遅いってば!」

「ごめーん、ねぼうしたぁ」

「わかってるって、ほら、早く物産展いくよ!」

波溜は和華と奈穂の手を引いて足早に歩き出した。

「あぁ~、自分で歩けるってばぁ~」

「早く行かなきゃ売り切れちゃうの!」

「波溜ちゃんが食べたいクレープは午前午後それぞれで限定100食だもんね」

「えぇ、ごめぇん。

でも、集合時間は開店から1時間後だったよねぇ?

午前の分は売り切れてるんじゃ、、、」

「午後の整理券を取るのよ!」

「なるほどぉ」

3人は案内表示通りに進み、物産展の会場に到着した。


「うわっ、思ってたより人多い!

波溜ちゃんの行きたいお店はどこ?」

「一番奥!」


3人は無事に午後の整理券を受け取ると、時間になるまで会場を散策していた。

そして、数量限定のクレープを買うと、3階の展望デッキに移動した。


「晴れててよかったね」

「うん!クレープも買えたし。満足!」

「これ、おいしいねぇ。初めて食べたぁ」

「でしょ!うちも去年初めて食べたんだけど、おいしくてさ!」

「ほんとだ!美味しいね」


「んー、見覚えのある可愛い子が3人。

ちーっす、お(じょう)ちゃんたち、どっかで見たことあるんだよねぇ」


波溜、和華、奈穂がクレープを食べていると

茶髪にスーツ姿の若い男性が声を掛けてきた。

「あ!そこのクレープ美味しいよねぇ

俺も食べたことあってさぁ、、、ってあれ?」


3人は顔を見合わせてこそこそと話を始めた。

「知り合い?」

「しらない」

「わたしも~」

「わるいひとかな?」

「ただのチャラ男?」

「たしかに、チャラいよねぇ」

「叫んどく?」

「うん、そうしよ」


3人は息を大きく吸った、

「「「だーれー―――」」」

「"氷の部屋(アイス・ツィマ―)"」

4人を囲うように厚い氷が出現した。

「「「能力者!?」」」

「ひー、びっくりしたぁ」

男性が指をならすと、能力は解除された。

「「「?」」」

「なんで解いたの?って顔してるねぇ。

ここであんなの出してたら目立つじゃん?」

すると、和華が男性に向かって叫んだ。

「あの!」

「ん?」

「私たち!あなたのこと知らないです!!!」

「、、、、あれ?そうなの?

じゃあ人違いかぁ、ごめんね。

はい、これ、お()びってことで、俺の連絡先。

困ったらいつでも呼んで、こう見えても―――」

「「「葉泉支部の捜査官!?」」」

「そ!みえないっしょ?

名前読める?吉田(よしだ)玲真(りょうま)

景山(かげやま)さんと全然雰囲気ちがいますねぇ」

「そうっしょ?あの人の方が捜査官って感じだよなぁ、

スーツもビシッと決まってて、、、って、景山さん知ってんの?

、、、あ!思い出した!芽吹小の子だ、(つかさ)の友達っしょ!

社会科見学の時に訓練室で撮った写真、それで見たことあったんだわ」

「撮りましたけど、何で司のことまで?」

「司くんと知り合いですか?」

「うーん、そんなに深くは知らねぇけどな。

今も支部の訓練室で訓練してんじゃねぇか?

今朝、お友達に連れて来られてたぜ」

「司の友達?」

「おん、名前なんつったっけなぁ。

なんか、勢い任せの頭弱そうなやつなんだけど、、、」

「それって、駿(しゅん)くんじゃないですか?」

「駿くんなら納得~。司くんのこと振り回しそ~」

「あ!そいつだ!駿!

駿のやつ、景山さんに頼み込んで訓練してんだとよ。

景山さんも最初はダメだって言ってたみたいだけどな、

守りたい人くらい自分で守れるようになりたいとかなんとか言われて、

仕方ないからたまに訓練室の使用を許可してんだってさ」

「へぇ~、あの駿くんがねぇ~」

「駿くんはまっすぐだもんね」

「ふんっ、あのバカに誰が守れるのよ」

「波溜ちゃんを守りたいんだろぉねぇ」

「だよねー」

奈穂と和華がクスクスと笑っている。

「別に、あんな無茶ばっかりのバカに守られなくても大丈夫だし!」

「へぇ~、さすが小学生、若いねぇ~。

まぁ、司の方が強いのは当然として、

駿の奴に見込みがないわけでもないぜ、勉強はあれだけどな」

「え!?そうなんですか?」

「あぁ、景山さん相手の勝負でもなんとか突破口を見つけようと努力はしてる。

小学生対大人だ、それだけでも今は充分だろ」

「駿くん諦めなさそー」

「バカなだけでしょ」

「あ、そうそう、このこと他に言うなよ。

俺が怒られちまう。

じゃ、そろそろ行くわ、気を付けて帰れよ

名刺、なくすんじゃねぇぞ」

「「「はーい」」」



そう言って玲真はその場を後にした。

「あー、もしもし、景山さん?

任務完了しました」

「お前、余計な事話してないだろうな?」

「余計なことって、話してないっすよ。

それより、そっちはどうっすか?」

「こっちなぁ、、、」


景山は訓練室で横たわる司と駿、

そして、その奥の人物に目を向け、飽きれた声で言った。


「乱入者の所為(せい)で、大荒れだよ」

「乱入者?」


その人物は司と駿の前にしゃがんで言った。

「沖和くんも松平君も、まだまだですね」



特殊能力のある世界 第68話 ご覧いただきありがとうございます。


ちょっとした箸休め回を先月頭に投稿する予定が

書き始めから1ヶ月もかかってしまいました。

箸休めどころか、お休みに、、、


次回の投稿は10/12(土)の予定ですが、

不定期の予感もあるので、Xやインスタでまた告知します<m(__)m>


※2024/10/20 誤字訂正

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