第61話 駆ける稲妻
「"充電"」
昂輝は右手をつき、能力を発動した。
すると、昂輝を囲うように円が現れ、
その周から昂輝に向かって光が集まり始める。
「兄者、あれは?」
「チャージ、、、力を蓄えてるんだろう。
相手さんが強くなる前にやっちまうぞ」
「あいよ!」
村井兄弟が同時に正面から昂輝に殴りかかる。
(ちっ、邪魔くせぇな)
「"バーン・フィ―――"」
「"ウィンド・フィ―――"」
「"放電"」
途端、昂輝から円に向かって光が動き始め、
その光は円に到達すると稲妻となって円の外に放出された。
「くっ、こいつ。いったん離脱だ!」
誠斗と勇斗は拳に纏った炎と風の噴射によって
稲妻を避け、昂輝から距離を取った。
(久しぶりに暴れるんだ、90%以上は、)
「"充電"」
昂輝は再び力を蓄え始めた。
「兄者、こいつ思ったより隙ないよ」
「電気の流れを上手く使ってやがるな。
だが、攻めないと力を蓄えられるだけだ」
「なら、俺がやってやるよ」
勇斗は両手の親指と人差し指で三角形を作ると、昂輝の方へ向けた。
(また、何かしてくる気か)
「吹き飛べ!"3つの竜巻"」
三角形の各頂点から現れた竜巻がうねりながら昂輝を取り囲んだ。
「だりぃんだよ!"放電"」
再び昂輝の稲妻が勇斗の技を相殺する。
「あいつ、また、、、」
「おいおい、勇斗~、負けてんじゃねぇよ」
誠斗は笑いながら勇斗の背中を叩いた。
「はぁ?負けてねぇよ!相打ち、引き分けだ。
次は兄者やてくれよ」
「あぁ、もちろんだ」
誠斗は両手をポキポキと鳴らした、
「いくぜ!」
誠斗の両手足に炎が灯る。
そして、その推進力で昂輝に急接近する。
(91%)
昂輝は顔を上げ、誠斗を睨みつけた。
「くらえ!充電野郎!"バーン・フィスト"」
誠斗は燃える拳を叩きつけるが、その先に昂輝の姿はない。
「どこ行きやがった」
「兄者!後ろ!」
その声に誠斗が振り返るが、
昂輝はまさに踵を振り下ろそうとしている。
(こいつ、いつの間に!)
しかし、誠斗は両手の炎を爆発させ、その勢いで距離を取る。
だが、昂輝はその爆風に乗り標的を勇斗に変えた。
「来てみろ!」
勇斗は昂輝にすごむが、
時速80Kmで動き回る昂輝を目で追うので精一杯になる。
(やっぱり、、速いな、)
「電撃爪」
勇斗の横で稲妻が光った、
(っ、)
間一髪、勇斗は直撃を逃れ反撃を試みる、
「ウィン―――」
しかし、すでに昂輝の姿はない。
「ほぉ、よく避けたな」
「くっそ、生意気な」
小さな竜巻が勇斗を浮き上がらせる。
「おい!次は俺の番だろ!」
誠斗の四肢には炎が揺らめく。
(ちっ、諦めわりぃな)
昂輝は村井兄弟の間に高速移動した。
「「!?」」
「"起電爆衝"」
稲妻を纏った光が木漏れ日の間を包んだ。
(あ~もうっ、何よこの光!)
「ってぇなぁ~」
誠斗の前には炎の壁が揺れている。
「お?兄者、死んだか?」
勇斗の前には5本の竜巻が壁を成している。
「バカ野郎!死ぬわけねぇだろ!」
(こいつら、防いだ、のか、、、)
「よぉ、充電小僧。
急な爆発びっくりするじゃねぇか、ところで、
今、何%なんだ?」
特殊能力のある世界 第61話 ご覧いただきありがとうございました。
この彫刻編は62話までかな?とか思ってましたが、
全然終わりませんでした(見通しが甘い!)
さて、力を蓄えた昂輝は村井兄弟に対して優勢でしたが、
VB・ショックでどのくらいまで充電が減ったんでしょうか?
まさかの劣勢?
次回の投稿は6/1(土)です。
遂に、6月かぁ