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第58話 開場


司たちの住んでいる西白(せいはく)地方

そんな西白地方一番の都市は山津(やまつ)市である。


そしてここは山津市立図書館


AACAの裏方 雨森(あめもり)アルが個室でパソコン2台を並べて起動していた。

(美術館周辺の防犯カメラの映像確認、

館内システム異常なし、、、、

疲れる、開場まで、あと30分)

アルは背もたれにもたれてコーヒーを口に運んだ。



山津市 西白共立美術館

開場にはまだ早いが多くの人が集まっていた。

今日から行われる展示会の目玉は、

左之江(さのえ)玄造(げんぞう)の作品『黒檀の昇り龍-紅玉ノ眼-』

美術館前に集まっている人の中には

それを見に来た者と盗りに来た者がいる。


「うっわ~、すっごい人だね~」

「どいつが敵なのかもわかんねぇな。

あの根暗陰キャはどうするつもりなんだ?」

「アルは市内のカメラをできる限り追うみたいよ。

あと、笠尾組や捜査官で顔が割れてる人もいるからって言ってたわ」

「ふーん、俺にはよくわかんねぇな」

「それに、お相手さんはあのシステムのこと知らないでしょうし」

「何だよ、あのシステムって」

「言ってなかった?入場整理システムのこと」

「この入場券の番号のことだろ?

名前も入ってるし、俺らだって連番で取ったろ」

「え~~!昂輝(こうき)何も知らずに来たの?」

「まぁ、知らなくても作戦には影響ないしいいわ。

じゃ、まつりは上、任せたわよ」

「ラジャー、まっかせといて!」

AACAの偵察(ていさつ)/援護(えんご)笛鳴(ふえなき)まつりは木陰で鳥型に変化(へんげ)すると空へ羽ばたいた。


「さ、私たちは依頼人の葉木(はぎ)老人と合流しましょう」

「なんだよ、葉木老人って呼び方」

「本人からの希望よ」



(取り合えず、予定通り、、

捜査官は、葉泉(ようせん)支部支部長の橋本(はしもと)千陽(ちはる)だけかな、

他に支部長クラス以上はいないってこと?

笠尾(かさお)組は村井(むらい)兄弟とジョン・スミスの3人か、、、

まぁ、総戦力では来ないよね、、、

皆に報告しとかなきゃ)



「へい、兄者、中に入ったらどうする?」

「そんなん、作戦通り。

展示があるのは木漏れ日の間、お前は出口、俺は入り口を塞ぐ」

「他の敵さんや捜査官はどうする?」

「何の心配をしてるんだ?

俺たちの入場券の番号は9と10、サクッといこうじゃないか」

「なるほど!それなら、敵さんも少ないな!

で、ジョンさんは何番で?」

「あぁ?んなことも知らねぇのか?

ジョンさ―――」

「ジョンさーーん!!」

村井兄弟の弟、村井(むらい)勇斗(ゆうと)は大声でジョン・スミスを呼んだ。

「ばっきゃろう!何を大声で呼んどんじゃ!

おのれ、自分らの立場わかっとんのか?」

村井兄弟の兄、村井(むらい)誠斗(まさと)は弟の頭をひっぱたいた。

「う~、いってぇよ」

「なんだ、呼んだか?」

「ジョンさんって入場券何番なんだい?」

「あー、私は入場券ないぞ。君らとは別行動」

「てめぇはほんと何にも聞いてねぇんだな!」

兄、誠斗は再び弟、勇斗の頭を叩いた。

「このクソ兄者!何回も叩きやがって!」


勇斗が両手の親指と人差し指を合わせた時、

美術館前にアナウンスが鳴り響いた。


「皆さん、本日は特別展示会『黒と木目の世界』に

足を運んでいただきありがとうございます。

これより、入場整理番号の抽選を行いますので、

お手持ちの入場券の順に並んで下さい」


「兄者!聞いたか」

「この入場券の番号は入場順じゃないのか!」

「2人の計画、狂ったな。他の下っ端も同様。

私は自分の計画を遂行してくる」

そう言い残してジョン・スミスは美術館の裏に回った。


「弟よ、仕方ない」

「並ぶか」

入場券番号9、10の村井兄弟は列の前へと進んでいった。




(さてと、、始めなきゃな)

アルは入場口の映像を見ながら

入場整理番号を決めるシステムの遠隔操作を始めた。


その結果、

AACAサイド 凛奈「5」、昂輝「15」、依頼人「14」

笠尾組サイド 誠斗「38」、勇斗「50」 となった。


AACAのメンバーのインカムにアルの声が入る。

「番号は、今、言った通り、、

笠尾組の下っ端や、捜査官は、

中にいるから、、気を付けて、」

「充分だろ」

「まぁ、村井兄弟は騒ぎになったら入ってくるでしょうね」

「それと、、、木漏れ日の間に、橋本千陽」

「厄介ね」

「誰だそれ?」

「葉泉支部の支部長でしょ!この前話したじゃん!」

「そうだっけ?」

「あと、まつりへ、、

裏口にジョン・スミスが向かってる」

「え!?マジ!?いったん抜ける」

「じゃあ、みんな、ぬかりの無いように」

「「「ラジャー」」」



「兄者、、、お互い、引きが」

「くそ!だが、俺は20分待てば中へ入れる。

下っ端どもはどうした」

「確認、確認」

勇斗はスマホを取り出した。

「ばらけてるけど、前の方にもいるって」

「なら、充分じゃねぇか。

どうせ、敵さんたちもまとまっちゃいねぇよ」


ここまではアルの手のひらの上



そして、また一人

この展示会に別の目的を持った人物が紛れ込む。


「キキョウ、クレグレモメダツナヨ」

「わかっていますよ。

あなたの靄が一番目立ってますよ、それでは」


キキョウと呼ばれる人物は「1」と書かれた入場整理札を手に

美術館の入口へ向かった。



入場開始時間、美術館前には再度人が列を成した。

館内外の警備員、彫刻を狙う者たちに緊張が走る中、

第1グループ 整理番号「1」~「10」の入場が始まった。


「それでは、これより特別展示会『黒と木目の世界』

入場を開始します!!」


人々は整理番号順に入場するが、我先にと走る者はいない。

それだけで目立ち、行動しにくくなるからだ。


館内に1歩踏み入れた時、

展示会に来ていた大学生 奥井(おくい)実和(みわ)のスマホにメールが届いた。


「俺は彫刻には興味ねぇ」


実和はそのメールを見て溜息をつく、

(はぁ、釣れない奴)

特殊能力のある世界 第58話 ご覧いただきありがとうございます。


次週から美術館内外で、彫刻をめぐる戦いが始まります。

第一部、主人公が主人公してないなぁと、、、


次回の更新は5/3(金)です。

サイドストーリは明日投稿します。

(時間は未定です)

Xとインスタでは公開通知するので良ければフォローお願いします。

幽波(ゆうは)で出てくると思います。


それでは、よきゴールデンウィークを

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