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第5話 それぞれの作戦

~前回までのお話~

芽吹小学校4年生は転入生の沖和司を歓迎してバスケットボールをすることとなった。

現在:前半終了間近、2対2の同点。

この状況にチームAは湯滝波溜をパスの起点とした


チームA

峰石涼太、湯滝波溜、松平駿、大野奈穂、田所光

チームB

沖和司、指旗和華、新見信介、本庄拓也、片桐朱里

チームAはシューターを涼太と駿、パスの起点を波溜にした。


試合が再開され、ボールは光から奈穂、そして波溜へ渡る。

「波溜ちゃん、ボールあげる」

「任せて!」

しかし、波溜の目の前には和華がいる。

「2本目は止めさせてもらうよ」

(和華がいるんじゃ、1本目みたいにはいかないかも・・・)

「波溜ちゃん、僕か駿くんに回して!」

涼太が波溜に声を掛けた。

(それなら、)

「駿!」

ボールは駿のいる方向に投げられた。

((な、涼太じゃねえのかよ))

司と信介は完全に不意を突かれた。

「よっしゃ、ついに俺が点を決める時だ!」

しかし、駿の手にボールは収まっていない。

ボールを持っているのは涼太だ。

「はぁっ!?なんでだよ!」

(ボールの軌道が曲がった?)

ボールの進行方向が駿から涼太に変わったのだ。

「波溜ちゃん、ナイスパス」

涼太がシュートを決め、前半が終了した。


(A)4-2(B)


「涼太ナイスシュート」

「おい波溜!俺のこと利用したな?」

「点取れたんだからいいでしょ」

「だからってなぁ、」

「まぁまぁー、後半も頑張ってこー」



「なぁ拓也、さっきのパスは?」

「そういえば、司は知らないのか。」

「波溜ちゃんはね、投げた物の軌道を曲げれるの」

「じゃあ、1本目のシュートもそれか」

「よく見てたな。都合よく曲げて落とせるのもいいよなぁ」

「曲げれる方向は自由なのか?」

「方向は自由だけど、回数は1回って言ってたよ」

「あと、大きく曲げるほど疲れるとも言ってたな」

「そうか、ありがとう」

「じゃ、後半も頑張ろう!」


「後半始めますよー、チームBから始めてください」


後半が始まり、ボールは信介から朱里へ

しかし、パスコースを塞ぐように光がディフェンスについている。

そこへ信介がジェスチャーで指示を出す

(あ、その手があるのか)

朱里は信介の指示通り、和華に向けてボールを転がす。

しかし和華にも波溜がしっかりディフェンスについている。

「今回は止めさせてもらうよ」

波溜は和華のシュートを止めると、そのまま攻め上がる。


「な、なんで信介がこっちにくんのよ」

「ノーマークだと点入れ放題でしょ?」

「なら、パスするだけだよ。涼太!」

司がいることなどお構いなしにボールが投げられる。

「さぁ、転入生どうする?」

(1回しか曲げられないなら、)

司はボールを止めようと手を伸ばす。

「その手から逃げれるのがうちの能力だよ」

ボールは司の手の下をくぐるように曲がる。

が、その瞬間、司はバックステップを踏み1歩下がる。

(変化を見れば取れないことはない)

司はパスカットをするとドリブルで攻め上がる。

それを涼太が追いかける。

(波溜ちゃんの曲がるボール、変化が少ないのはもう取れるんだ)

(涼太速いな、もう追いつかれる)

スリーポイントライン内側で涼太が追いついた。

涼太はコート内の様子から司の次の動きを予測する。

(和華ちゃんと信介くんへはバックパスになる、

他2人にはディフェンスもついてるし、

司くんはシュートを打つ可能性が高い)

(普通に撃つと、また取られるよな)

シュートモーションに入る司に涼太は手を伸ばした。

(あれ?なんで?)

司はそのままシュートを撃つ。


―ドンッ、ガタン―


(やっぱ入んないよな)

しかし、落ちたボールで朱里がシュートを決める。

(A)4-4(B)


「朱里だっけ?フォローありがとう」

「いいよ」


(なんで手が届かなかったんだろう...?)

涼太はボールに手が届かなかったことを不思議に感じている。

「手が届かなかったのはー、転入生が後ろに下がったからだよー」

「奈穂ちゃん、見てたの?」

「うんー。波溜ちゃんのパス取った時も同じ動きしてたよー」

「そうだったんだ、ありがと」


試合は奈穂のスローインから再開される。

「さーてー、光ちゃんボールおねがーい」

「オッケ、駿くん撃ちたいならどうぞ」

「お?ついに俺の出番か?どっかの誰かさんよりは信用できるな」

スリーポイントライン手前で駿にボールが渡る。

「よっしゃ、俺の出番だ!信介のディフェンスなんて関係ねえ!」

駿はゴールボードに向かってボールを投げつける。

「「「はぁっ!?」」」

「お前らただ投げただけだと思ってんだろ?」

そう言うと、駿はゴールに向かって走り出し、

落下してくるボールでシュートを決めた。


(A)6-4(B)


ほぼ全員が呆気に取られている。

「駿くん、すごいじゃん!タップシュートなんてどこで覚えたの?」

「ネットで見てきた。涼太に褒められるとうれしいな」

「どーせまぐれでしょ」

「波溜ちゃんもそんなこと言わずに、点取れたんだからさ」


「先生、あと何分ですか?」

「沖和くんは時間が気になるんですね、あと4分くらいですよ」

「ありがとうございます」

「司くん、あと何分だって?」

「4分」

「あんまり時間ねえんだな。どうやって点とる?」

「今まで通りでいいでしょ。新しいことしてもね」

「そうだね、信介くんの言う通り作戦は変えずにいこう」


後半の折り返し地点、ボールは信介が持っている。

「ここを止めたら、俺はさらにヒーローだろ!」

「まぁまぁ、駿()()は少し冷静になりなよ?」

「信介は冷静すぎるんだよ」

「君は後ろに司がいることを気にしてないんじゃない?」

「それが何だってんだ」

「別になんでもないさ」

そう言うと信介は駿の足の間にボールを転がした。

「げっ、ただの間抜けじゃんか」

「信介、ナイス股抜き」

攻め上がる司とそれを追いかける涼太。

「司くん、次は撃たせないよ」

試合は終盤に差し掛かっている。

涼太と波溜が司を止めるために思考を巡らせる。

(和華ちゃんは司くんのほぼ真後ろ、間には波溜ちゃんがいる)

(転入生が下がって撃つなら、うちがブロックに行けばいい)

(うん、いい位置にいる。これなら()()()()())

涼太が手を伸ばすとほぼ同時に司はバックステップを踏んだ。

(きた、バックステップ。うちが少しでも触れれば)

待ち構えていた波溜がブロックに跳ぶ。

(やっぱり、止めに来たか)

司がシュートに構えたボールは後ろへと落ちる。

「波溜ちゃん、ナイスブロック!」

「ブロックしてない!和華がボール持ってる!」

司が渡したボールで和華がシュートを決める。


(A)6-6(B)


「和華ちゃんナイス!よくとっさにあんなプレーできたね」

「朱里ちゃんありがと。あれは、作戦会議の後に頼まれてたの」

「じゃあ、うちを誘導するために和華はあの位置にいたの?」

「あ、うん。シュート撃つ人を無視はしないでしょって」

「うちらは転入生の手のひらの上か~」

「さすがには波溜ちゃんの能力には驚いてたけどね」

「そんなことはいいよ。あと一本きめて勝ってやる」


後半残り1分、波溜のスローインから再開する。

「光、うち上がるからボール回して!」

「オッケ、任せて」

光はドリブルでディフェンスを抜くとボールを波溜に返す。

「はい、持ってきたよ」

「ありがと。涼太、ラストお願い」

波溜は深く呼吸をすると涼太にボールを投げた。

司と涼太はボールの軌道に集中する。

(バックステップされても転入生に止められない軌道は・・・)

涼太と和華は波溜の狙いに気づき走り出した。

司はボールが迫ってきたので、前回同様に後ろへ下がるが、

ボールは司を避けるように真左へと軌道を変えた。

(そんなに曲げれるのかよ、)

涼太はボールを受け取り、シュートを撃とうとする。

「波溜ちゃん、ナイス判断」

しかし、同じタイミングで和華もブロックに跳んだ。

(あと、数センチでボールに届くのに・・・)

(和華の身長じゃ、涼太には届かない。うちらの勝ちだ)

波溜が勝利を確信したその時、


―ポンッッ―


涼太の放ったボールが真上へ跳ね上がった

「うそ!届いたの!?」

ボールが落ちたところでホイッスルが鳴った。


「はーい、皆さん試合終了です」


「最後のシュート、止められると思わなかったよ」

「私も届かないと思ってたからびっくりしてる」

(でも、触った感覚ないんだよね)

「それぞれ感想もあると思いますが、急いで教室に戻りますよ

今日は教科書とか、渡すもの多いんですから」

「「はーい」」


かくして、沖和司歓迎バスケは幕を閉じた。



しかし、その様子を体育館の陰から見ていた人物がいる。

「あれが、沖和司ねぇ。あれだけの能力があって、もったいない」

「それは、お嬢も同じなのでは?」

「うるさいわね。もっと気の利いた言葉を掛けなさいよ」

「すんません、」




「特殊能力のある世界」第5話を読んでいただきありがとうございます。


実際に波溜みたいな能力があったら、どうなんでしょうね?

実生活で役立ちそうにないですが、スポーツでは強そうです。

今後も様々な能力が登場するので楽しみにしていてください。


筆者へのメッセ―ジ開放してますので、

改善してほしい点等ありましたら、お申しつけください。

より読みやすくなるよう努力して参ります。


次回 第6話は4月25日 21時頃更新予定です。


学生の皆さん、宿題をサボってはいけませんよ。


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