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第45話 阻むもの


葉泉北小学校の校庭で対峙(たいじ)する2人

1人はスーツ姿の女性

もう1人は紫みのある青いジャージを身に(まと)っている男性

男性は女性に(たず)ねる。


「あんたが、俺の悪事をサポートしてくれるのか?」


少し間をおいて女性が答える。

「いいえ、私じゃないですね」

「そうか」


そう言うと男性は女性の横を通り過ぎて行った。

(なんなんだ、あいつ、、、)

少ししてから女性が声をかける。

「あ、言い忘れてました。

あなた、ここから出られませんよ」

(はぁ?何言って―――)


― バチッ ―


男性は何かにぶつかって後ろに(はじ)かれた、

しかし、目の前には何もない

(なんだ、服も手も切れてやがる)

見えない何かに触れた(そで)は破れ、腕と手にはいくつも切り傷が残った。


「それは私の能力です。

体育館まで行きたいのであれば、その能力を破るしかないですね」

「なかなか面白い事してくれんじゃねぇか」


しかし、男性はその場に横になった。

「!?」

「先に暴れとくのもいいと思ったが、やめだ。

俺には仲間が来る予定がある。まっ、初対面だけどな。

あんたが立ちはだかるなら2対1の方が効率よく倒せるだろ?」

「そのお仲間はいつ来るんですか?」

「さぁな、正門に集合なんだが、まだきてねぇみたいだ。

俺は時間通りなのによ。

まぁ30分だけ寝させてくれや。

あんたも仲間がいるならまとめてとらえたいよな?

つまり、自分の存在を(かん)づかれたくないあんたは今は騒ぎにできない、

そうだろ?どっかの捜査官さんよ」

男性はそう言うと目を(つむ)り眠りについた。


(たしかに、この人の言う通り、、、

まだ30分も待つんですかぁ~?)





一方、芽吹小学校 対 竹ノ杜小学校

芽吹小学校が1点を先制し、サーブ権が片桐(かたぎり)朱里(あかり)に渡った。

朱里の打ったボールを相手が繋ぎ、斗真(とうま)のスパイクがきまった。


― ピッ 芽吹 1-1 竹ノ杜 ―


続く竹ノ杜小学校のサーバーは上武(うわぶ)かこ


(こいつの情報は一切ないわけだが、、、)


試合直前、(つかさ)は皆に作戦を伝えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「第1セット、相手のサーブは全部俺一人でレシーブする。

麻由(まゆ)と朱里はライン際、前衛はネットインのボールに集中してほしい」

「は!?何言ってんだ、他に能力者いるかもしれないんだぞ」

「だからだよ、コート内がごちゃつかないようする。

駿(しゅん)はスパイクきめる準備でもしてろ」

「お、おう、わかってんじゃねぇか。

そういうことなら任せたし、任された」


((あーあ、良いように言いくるめられてる))


ーーーーーーーーーーーーーーー


上武かこの打ったボールは一直線に司のもとへ飛んでくる。


(今のところ普通のサーブか)

司はボールの軌道をみて移動し、かまえた。


しかし、司の腕に落ちようとするボールは

顔の高さで右に曲がり司の横を通過しようとした。

(っ、波溜(はる)と同じ能力か)


司は咄嗟(とっさ)に足でボールをけり上げたが、ボールは2階に入ってしまった。


― ピッ 芽吹 1-2 竹ノ杜 ―


「やったー、サービスエース」

かこが跳んで喜んでいる。

「へっ、1点くらいでなんだよ。

俺は14点だからな!」

「でも、私はあの子から取ったもんっ!」

「やっぱ、消すしか能がない(さい)はまだまだだね」

「なんだと、倖羽(こはね)このやろ~」

「うるさい!」

「「ごめん、、、」」

早知(さち)の一言で才と倖羽が静かになる。



「わりぃ、」

「おま、つかさ、足でホームランかよ」

駿が笑いをこらえながら言った。

「お前もミスするんだな、(こう)にも見せてやりたかった」

「今のボール曲がったよね?波溜ちゃんのみたいに」

「けっ、ここに来てまであいつのこと思い出したくねぇよ」

「駿くん、つよがり?」

「あぁ、駿のそれは強がりだな。

昼休みもバレーしながら言ってたからな、

波溜はケンカの相手いなくて退屈だろうな、って」

慎悟(しんご)さん、何でそれを言うんすか!」

「なぁに~?後でさっちゃん達にも言っとく?」

「ちょっと、麻由さんまで、、、」


駿たちが話をしていると

サービス許可の笛が鳴った。

途端(とたん)、芽吹小学校側、特に司は集中する。


ボールを打つかこ、レシーブを構える司

打たれたボールの正面に司が入り、かこは能力を使おうとする。

(次は下に落としてみようかな)


しかし、かこが能力を発動しようとしたとき

司が1歩前に出てボールに触れた。


(!?)

(あの能力は手前で発動するのが奇襲効果が高い、

それなら距離を詰めて先に触るのも有効)


司の上げたボールを朱里が駿へと繋ぐ、

「いくぜ、俺の超!強力スパイク!!!」

駿が床を強く蹴って踏み切った。


「まぁだ、お前の番じゃねぇよ」


竹ノ杜小学校の佐鯉(さこい)斗真(とうま)が両手をネットに向ける。

すると、斗真の指先から10本の糸が伸び、駿の目の前で(あみ)を形成した。


(さっき陽介が言ってたのはこれか)


駿のスパイクは斗真の能力に阻まれ落下するが、

慎悟がボールを上げ、司へ繋いだ。


「「司、よこせ!」」

慎悟と開が同時にトスを呼んだ。


「ちっ、落とさなかったか」

斗真は舌打ちをしながら能力を解除している。

「なら、次は私の番ね」

倖羽の背中から2枚の翼が現れる。


(翼、飛ぶのか?風か?

どっちにしても、糸のやつはまだ動かないだろ、、、)

司は相手コートをちらっと見て開へトスを上げた。


しかし、誰もブロックに跳んでいない。


「舐めてやがる」

開が勢いよく打ったボールはネットを越えた、が、

コートに落ちず、ふわりと舞い上がった。

そのボールの落下地点には才が入る。


(ここであいつのトスか、、、)


才の上げたボールは見えなくなり、

前衛の3人が助走体勢にはいった。


「だぁー、トスも見えね―――」

「駿、慎悟、右のやつに跳べ!」

しかし、司が指示した時には早知の右手がボールを(とら)えていた。

その瞬間、ボールは全員に見えるようになり、芽吹小学校のコートに落ちた。


― ピッ 芽吹 1-3 竹ノ杜 ―


司と早知が互いをにらむ

((あいつ、やっぱり、、、))



特殊能力のある世界 第45話 ご覧いただきありがとうございます。


球技大会を襲撃に来た男性が寝始めたのは置いといて、

(この人の話が最初に出たの第35話なんですけど、、、)

竹ノ杜小学校のメンバーの能力が次々と判明しましたね。

ちなみに、峰石翔が一切出てこないのは、

45話の下書きを終えるまで、名前が決まっていなかったからです。


次回の投稿は 1/20(土) 19時ごろです!



今までに話が徐々につながってくるような来ないような

竹ノ杜小の能力者たちを前に、芽吹小がどう戦うのか

楽しみにしといてください。

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