表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/81

第41話 全力

学校対抗球技大会 1回戦第3試合

紅葉ヶ丘小学校 対 芽吹小学校

第一セットは芽吹小が取った。

現在、第二セット

紅葉ヶ丘 3-6 芽吹


マッチポイントを握られた紅葉ヶ丘

綿井奈津がとっておきの作戦を実行しようとする。


1回戦第3試合 紅葉ヶ丘 3-6 芽吹

先にマッチポイントを握ったは芽吹小学校だ。

サービスゾーンには、雪の能力を使う旅津沙雪が立つ。


(私も前衛からのサーブなんだし、

開がやってたみたいに前に戻る時間を(かせ)いだ方がいいよね、、、)


沙雪もボールが高く弧を描くように打った。

打たれたボールはこころにレシーブされ、大吾の頭上に返る。


(新太のやつさっき作戦聞いてビビってやがったからな、使ってやろ)

「新太!物は試しだ、入ってこい!」

「え、あ、はい!」


大吾は高いボールを後衛の新太に上げようとする。


これを止めれば1回戦勝利

芽吹小のブロッカーは

ただ高く上がり、放物線を描こうとするボールに集中していた。


「沙雪、開、ここ止めるぞ」

「うん!」「おう!」


しかし、ここで芽吹小の6人はある違和感に気づく、

(このボール、高すぎないか?)


ボールが最高到達点に届いた時、

新太が跳ぶ、

そして、それに釣られて芽吹小のブロッカーも跳ぶが、、、


(あいつら、完全に釣られたな)

「先生、決められたら俺入ります」


ブロッカーの手とボール、

明らかに高い位置にあるのはボールである。

そして、新太はその位置にあるボールを芽吹小コートに打ち落とした。


― 紅葉ヶ丘 4-6 芽吹 ―


「新太~、ビビってた割にはやんじゃん!」

「あ、ありがとうございます。

大吾さん、あの高さのトスきつくないですか?」

「きついけどなぁ、もう慣れたわ。

奈津もナイスだったぞ」

「うん!」


(くっそ~、あいつ、自分のコート内くらいは自由自在って言ってたな、、、

他のやつが跳ぶとは思わなかったけどよ)



そして、芽吹小メンバーに交代が告げられた。


司は麻由と交代し、コートに入ると

沙雪と慎悟の位置を入れ替え、指示を出した。


「その作戦、大丈夫なんだろうな」

「当り前だろ、能力のあの使い方も想定内だった。

のこり1点はこの作戦で取る」


この言葉には紅葉ヶ丘小のメンバーも反応した。

「あ゛?想定内だと?」

「えぇー、私のとっておきだったのにぃ~」

「やーっぱ、司って奴はそんななのね」


「この試合で想定外だったのは、

こいつのレシーブ技術がいつもより高くなってることくらい」

「たしかに!今日の俺は!ぜーっ好調だ!」

「でもまぁ、そちらの思惑通り

コート内に戻ってきてんじゃないですか?」


「なんだよ、あいつの手のひらの上か?」

「ほんま、嫌なくらい冷静で読めてるな」

「よーし、また点取ってやる!

サーブ打っていいぞ!」

「次はあんたでしょ!」

こころが大吾にボールを投げつけた。


大吾は脇腹をさすりながらサービスゾーンに立った。

ミスのできない緊張感のなか、

大きく息を吐くと、司に狙いを定めてボールを打った。

(あいつにセットさせないのが一番だろ)


司はボールを上げるとバックアタックのため助走をとった。


「おい!俺の出番は?」

「ブロックに捕まったら拾ってくれ」


司はブロッカーの指先にボールを当てて大きく弾いた。

(よし、これで――――)


「もこもこウォール」

綿の壁がサイドラインを割ろうとするボールをコート内に戻した。


「よし、ナイスだ、奈津!」

しかし、大吾がボールを高く上げようとしたとき、

奈津が膝をついた、

(しまった、もう限界だったか、、、

トスの修正が間に合わない)

「陽介、すまん!」

「任せぃ、皆全力や」

陽介は、大吾が上げたボールに合わせ跳ぼうとする。


ーーーーーーーーーーーーーーー

「次の高いトスは陽介が打つ可能性が高い。

その代わり、どこで打つかわからないから、

沙雪は真ん中で、能力でボールの勢いだけ殺してほしい」

「なんで、あのウサギ野郎が打つんだよ」

「綿の能力に限界が近いから」

「でも、仮にまだ使えたとしたら?」

「能力は使わずにレシーブ6人で対応する」

「限界なら、私の能力とレシーブ5人ってわけね」

「そういうこと。

あと、次の攻撃はツーだとしても俺がやる。」

ーーーーーーーーーーーーーーー



(司の頭の中どうなってんだよ)

(相手の限界なんてなんでわかるの)


陽介の目の前には雪でできた格子(こうし)状の壁が形成される。



ーーーーーーーーーーーーーーー

「壁は格子状、枠は細くていいから広く作ってほしい」

「どこに打たれても勢いを殺すのが目的だもんね」

ーーーーーーーーーーーーーーー



(この壁は壊れる前提)

(確実に拾って)

(カウンターって腹だな)


陽介の打ったボールは雪の壁を壊し勢いを失った。


(さ、目立ちたがり屋の出番だ)


駿はボールを綺麗に司の頭上に返した。

「どうだ、完璧なレシーブだろ!」

「おう、文句なし」


そして、前衛の3人が助走体勢に入る。


「ブロック、1対1だ!」

「ええんか、それで?」

「フリーで打たせるよりマシだろ」

「たしかに、そうかもねぇ」

紅葉ヶ丘のブロッカーは目の前のアタッカーに合わせて跳んだ。


司の上げたボールは開の手もとへ、

しかし、その開の利き腕の前には美春が両手を広げている。

(このブロック上手いな、ストレートが打ちづらい)


開はボールに少し触れ、美春と大吾の間、

ネットギリギリにボールを落とした。


((フェイント!?))


コートに落ちるボールにこころが飛び込んでくるが、

コンマ数秒間に合わない。


― ピッ 紅葉ヶ丘 4-7 芽吹 ―


「っしゃーー、勝ったー!」

駿は試合直後、芽吹小の皆にハイタッチを求めて回った。



その数分後、紅葉ヶ丘小と芽吹小のメンバーは

いくつかの塊になって2階から次の試合を観戦することになった。


1回戦第4試合 竹ノ杜(たけのもり)学園小学校 VS 葉泉(ようせん)西小学校


2階では陽介、駿、司が一緒に試合開始を待っていた。

「これ勝った方が、次に駿たちとやるところやで」

「どっちが来ても俺が完璧にレシーブしてやるよ」


「それは司も頼もしいだろうね~」

こころが水筒を片手に合流してきた。

「さっきのレベルならな」

「おう!任せとけ!」


「ところで、司、あんたの能力だけど、、、」

「こころ、またお前、お姉ちゃんの彼氏と同じ~

とか言うんやないやろな?」

「さすがにそこまでは言わないわよ。

お姉ちゃんの彼氏の能力は何とか(とり)?みたいなのだった気がするし」

「鳥?」

「なんだそれ!飛べるのか」

「鳥なんだし、飛べるんじゃない?

前に聞いた時は理解できなくって、

説明してもらったときにその何とか鳥って、、、

まぁ能力について聞いたの4,5年前なんだけどね」

「なんや、まだ低学年の時か」

「じゃあ、司とは違うかもな。

飛んでるところ見たことねぇし」

「で、なんなん?司の能力」

「なんで、俺が能力者前提なんですか?」

「なんでって、、、」

「こころさんが言い出したから、、、あ!」

「なに?司は単に頭がキレるだけなの?」

「そういえば、こいつ、4月のバスケでも作戦で活躍してたなぁ」

「な~んだ~、未来予知とかじゃないのかぁ」

「そんな能力なら、能力見る前に作戦考えるし」

「たしかにね」


― ピッピー ―


ホイッスルが鳴り響き、

竹ノ杜小学校と葉泉西小学校の試合が始まった。


「さぁて、俺が次レシーブするかも知れないのはどんなサーブだ?」

駿が興味津々にサーバーを見つめる。



最初のサーバーは竹ノ杜小学校 5年 米井(こめい)(さい)

才はボールを上に放った、

「何だよ、普通のサーブかよ」


しかし、駿ががっかりしたのも(つか)()

葉泉西のメンバーはもちろん、

その試合を見ていた多くの児童、先生は目を疑った。


「お、おれ、あのサーブ取れねぇわ、、、」


― ピッ 竹ノ杜 1-0 葉泉西 ―


(クッソめんどくせぇ能力だな、あいつ)

特殊能力のある世界 第41話 ご覧いただきありがとうございます。


ついに、試合決着、芽吹小の勝利!

あの駿がレシーブで活躍するのもいいですね。


なんで急にうまくなったのかって?

本番で実力以上が発揮されることもありますよね。

(筆者は本番に弱いです、緊張するので)


さて、次の対戦相手は竹ノ杜か葉泉西か、、、


竹ノ杜学園は第31話「不可視の能力」で登場しています。


次回の投稿は12/23(土)19時ごろです。

20日にはサイドストーリー「廻風2」を更新します。

インスタのストーリで小説に関する情報を投稿したりしています。

興味ある方はフォローしてください。


06yuuha10 です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ