第39話 狼煙?
開の打ったボールはいつもより山なりに、
長い滞空時間を経て紅葉ヶ丘コートに落ちようとする。
「あ゛!あいつ何であんなに弱いサーブを!」
「あれが元原の作戦なんだろ。
どこにどう打っても、綿で跳ね上げられる。
それなら、自分が前衛に戻って、万全の状態で守備をする。その時間を稼ぐつもりだ」
「ほぇ〜、そこまで考えないといけないのか」
緩く入ったボールをこころが大吾へ上げた。
(さすがに取りやすいボールに能力は使わない、か)
そして、大吾が再び跳ぶ、
慎悟と開は大吾の空中姿勢から次の行動を考えた。
(ツーか、セットか、どっちだ?)
(司の言ってた通りにするなら、、、)
しかし、その思考は2人の行動を遅らせていた。
「跳べ!!」
大吾がボールに触れようとする時、
司が2人に向かって叫んだ。
「「あ、はい!」」
(ちっ、何で跳んでくるんだよ!)
大吾が押し込んだボールは
上がってくる慎悟の手に当たって跳ね上がった。
そこにすかさず司が跳んでいる。
「あ!慎悟さん後ろ!避けて」
朱里が慎悟に叫んだ。
「はぁ?うしろぉ?」
振り返った慎悟は
ボールに飛びつく司を見つける
(!?こいつ、っぶねぇな)
慎悟は咄嗟に逃げた
(おいおい、打つ気じゃないだろうな?)
「やったれ!司!」
慎悟のワンタッチで上がったボールは
紅葉ヶ丘コートに叩きつけられた。
― ピッ 紅葉ヶ丘 3-6 芽吹 ―
「おい、ビビったわ!無言で突っ込んでくるなよ」
「あ、悪い。
チャンスだったからつい」
「あんなのチャンスだと思うのお前だけだろ」
「慎悟も手にボールが当たるのはわかったろ?」
「それでも跳べねぇって」
「おい、ピョン介なんだよ、あの無茶苦茶野郎」
「知らんがな、顔見知り程度やし」
「あいつ普通じゃねぇわ」
「なっちゃんも準備してなかったもんねー」
「むりむり、3段攻撃かと思ってたわ」
「何とか、司を封じれんか?」
「さぁ?」
「ピョン介のスパイク止めた時と今回、
あいつは動体視力とか反射神経強化の能力か?」
「それなら、説明はつきそうだね、、、」
「だとしたら、そろそろ限界じゃね?」
「ぴょん吉と違って能力使いっぱなしだろうしねぇ」
「あのー、ボール来ますよ」
「げ、マジか、新太ナイス!」
続く開のサーブは奈津が能力で跳ね上げた。
そして大吾が陽介へとボールを繋ぐ。
「ピョン介、いけ!」
しかし、ボールはネットからエンドライン側に少し離れた。
陽介はボールに合わせて跳ぶ位置を変えた。
(おっ!?)
その視界には海の能力のさらに内側
コートの対角が映る。
(この位置、ありかもしれんな)
陽介は対角に向かってボールを打った。
(え!?能力の内側!?)
陽介の打ったボールはフロアに落ちる。
― ピッピー 紅葉ヶ丘 3-7 芽吹 ―
「アウトかよ!!!」
「ピョン太!何であっち打つの」
「いやー、いけると思ったんやけどな」
「でも、あれか?
ネットから離した方が幅がでるか?」
「そうやな、相手コートまで長くなるけど、
あの能力と司がいるならその方がええかも」
「わかった」
「よーっし、セット先取!」
「つかれたー、さっちゃん交代してー」
「オッケー」
「俺も休む、駿出ていいぞ」
その声に全員が驚いた
「お、おい、お前正気か?」
「出たくないのか?」
「いや、出たいけど」
「ちょっと待て、司」
「開さんまでなんですか?」
「いや、指示とかどうすんだよ」
「まぁ、さっきまでと同じで」
「「、、、、、、」」
1回戦 第3試合 紅葉ヶ丘VS芽吹 第2セット
紅葉ヶ丘 芽吹
小川新太 宇佐美陽介 旅津沙雪 松平駿
綿井奈津 常松大吾 木本慎悟 津田麻由
高木こころ 新山美春 元原開 片桐朱里
第2セット、最初のサーバーは小川新太
ボールは麻由から朱里に繋がれ、
スパイクを慎悟が打ったが、
奈津の能力が芽吹の得点を阻んだ。
(なんだよ、司いないのか、
でも、これは俺たちのチャンスだろ?)
大吾がボールに手を伸ばしながらニヤリと笑った
「奈津!あれやるぞ!」
「はーい」
大吾は陽介にトスを上げる時の様にボールを高く上げた。
(あの高さ、マジかよ、、、)
慎悟はブロックに跳びながら絶望した。
奈津の踏み切るところには綿のトランポリン
その反発力が奈津を高く舞い上げる。
「高く跳べるのはうさだけじゃないんだよぉ~」
そして、奈津の左手には綿のグローブ
(なんだ?あんな使い方もあんのか。
俺が取ってやる!)
今までのプレーでは見せなかった能力の使い方、
それを取れば目立てる
駿は奈津の動きとボールを注視した。
「もこもこショット!」
奈津の振り下ろした手と綿の反発で
慎悟や開のスパイクよりも速いボールが駿のもとへ飛んでくる。
(これは、アウト!)
駿がよけたボールはコート外へ出た。
― ピッ 紅葉ヶ丘 0-1 芽吹 ―
「あー、ごめーん」
「仕方ないって」
「でも、あっちは驚いたろうね」
「おい!司!今のどうすんだよ!」
駿の叫びに答えたのは海だった。
「司なら、どっか行ったよー」
((えっ、、、、))
司令塔不在、
相手の新技を見せられた芽吹小メンバーは戸惑いを隠せなかった。
紅葉ヶ丘のこの攻撃は反撃の狼煙となるのか、、、
特殊能力のある世界 第39話 ご覧いただきありがとうございます。
第1セットは芽吹小が取りましたが、
紅葉ヶ丘のラスト2回の攻撃は
第2セットでの軸になりそうですね。
そして、まさかの司令塔、司の不在
芽吹小をどう戦わせようか、、、
実は今日も誕生日の友人がいるんですが、今朝お祝いました。
就職してから、学生時代によく会ってた人とめっきり会わなくなりましたね。
その友達とは卓球で全敗、将棋で全勝と
互いの得意分野でぶつかり合ってました。
機会があれば、リベンジをしたいです。
さて、次回第40話は12/10(日)19時ごろ更新予定です。
もう40話、早い
ちなみにこの小説は1stシーズンから3rdシーズンの予定ですので、
完結はまだまだ先です。




