第36話 学校対抗球技大会
学校対抗球技大会、その1回戦が行われようとする頃、
能力者犯罪捜査機関葉泉支部では
景山省吾が一人不安に駆られ、
オフィス内を歩き回っていた。
「ちょっと!景山、いい加減落ち着きなさい」
「すみません、ですが今日のことが不安で、、、」
「大丈夫、ふう姉さんが対処するんだから、
襲撃されてもけが人はでないわよ」
「彼女が能力者を対処する、というのが不安なんですよ!」
「だから、校庭で対処するように念押ししたんじゃない」
「そうですが、、、」
「ほーらっ、早く仕事して。
襲撃の件をリークしたメールの出どころもつかめてないんだから」
橋本支部長が景山の背中を押して席まで誘導していると、
茶髪にスーツ姿の男がオフィスに入ってきた。
「ちーっす!
景山さーん、そんなに心配なら俺が見に行きましょうか?」
「お前、相変わらずだな」
「玲真くん!ひさしぶり」
「支部長、お久しぶりです。
その襲撃の件、俺が見に行きますよ。
今請け負ってる案件に関係ないわけでもないでしょうし」
そういうと、玲真はUSBメモリーを1つ景山に手渡した。
「4月からの捜査の記録です。
結論から言うと、何も断定はできません。
黒に近そうですが、大元も不明です」
「わかった、ありがとう。
とりあえず、報告書には目を通させてもらうよ」
「うぃっす」
「どう?景山、玲真くんを向かわせるのは」
「吉田が行くなら安心ですね。
さっき言ってたように、今の案件にも関係あるし」
「じゃっ、行ってきまーす」
吉田玲真は勢いよくオフィスを飛び出した。
「ほんと、あいつはオフィスの滞在が短い男だな」
「仕事はしてくれるしいいじゃない」
「すんません!!!」
玲真が息を切らして戻ってきた。
「どうした?」
「現場、どこっすか?」
会場は葉泉北小学校第一体育館
ついに、学校対抗球技大会1回戦第1試合と第3試合が開催されようとしている。
第1試合 葉泉北 VS 森富
第3試合 紅葉ヶ丘 VS 芽吹
司と朱里はピョン兄こと宇佐美陽介と高木こころの2人と
ネットを挟んで対峙した。
陽介がネット越しに司に声を掛ける。
「おーいー、つかさー
さっきからこころが君のことでうるさいんやけどー」
「それは、お気の毒です」
「どうにかならんか?訓練生と小学生を結び付けるなって
言うてるんやけど」
「うるさいのは、うちにも、、、」
司と陽介は芽吹小学校のベンチに目を向けた。
「せーんーせーいー、俺を出してくれよー。
活躍するからよー」
駿が植木先生に必死に訴えていた。
「お互い、たいへんやな、、、」
そして、両校の児童がポジションに着いた。
「学校対抗球技大会 第1回戦、第1試合、第3試合、開始ィ!!」
葉泉北小学校校長の宣言とともに、ホイッスルが鳴り響いた。
第3試合コートではホイッスルとほぼ同時に
司がサーブトスを上げていた。
「あいつ、いきなりかよ」
「やっぱ司だ、せっこい」
司の打ったボールはそのまま対角に飛んだ。
(ライン越える?越えない?嫌なところ、、、)
司の打ったボールはこころが拾い、
紅葉ヶ丘チーム1の長身、常松大吾へ繋がれた。
「ピョン介、1発目のご挨拶したれや!」
ボールは芽吹小学校の皆が想像するよりはるか高くに上げられた。
そして、陽介は2m近くあるネットを跳び越えれる高さまで跳んだ。
芽吹側は海、沙雪、開がブロックに跳ぶが、
人一人分も高さが足りていない。
「視界!良好!」
陽介は芽吹小コートへボールを叩きつけた。
―ピッ 紅葉ヶ丘 1-0 芽吹 ―
特殊能力のある世界 第36話 ご覧いただきありがとうございました。
小学生のバレーボールのネットの高さは2mらしいですね。
そう考えると、ピョン兄のジャンプ力は凄まじい、、、
筆者はフルマラソン完走して足が痛いので
ジャンプどころか歩くこともつらいです。
誰が球技大会を襲撃に来るのか、対処する捜査官は誰なのか、
リークしたのは誰なのか、玲真が捜査している案件とは?
謎しかないですが、いずれ全て解決します。
芽吹小はピョン兄の高さにどう対処するのか
次回投稿は11/25(土) 20時頃です。