第25話 代表発表
芽吹小学校の4年生たちの
社会科見学がおわり、一日が経った。
社会科見学翌日の水曜日
この日のお昼休みはいつもより長いため、
子どもたちはいつもより燥いでいる。
「司!涼太!校庭走ろうぜ」
「やだ」
司が短く答えた。
「何だよ釣れねぇなぁ」
「なぁ、駿さんよ」
信介が悪そうな顔をして駿に近寄る。
「何だよ、」
「ジュース賭けて、校庭10周しようぜ」
「面白い提案してくれるじゃん。
のった!拓也、涼太行くぞ」
「えー、俺は嫌だよ、負けるの見えてるし」
「なら、拓也くんにはハンデあげたらいいんじゃない?」
「うーん、ハンデか、わかった!
それなら...、司!審判やってくれ」
(めんどくせぇ)
男子たちはジュースを賭けて
お昼の校庭へと向かっていった。
その頃、職員室では学校対抗球技大会の代表が発表されていた。
「今年は4~6の各学年から2名以上が選出されています。
本番まで約1ヶ月、学校全体で盛り上がっていきましょう」
そして終礼の時、校内放送で選抜メンバーが発表された。
「終礼中に失礼します、体育教師の植木です。
これから、球技大会の代表を発表します」
「ついにか!」
「俺は?俺は選ばれたのか!?」
「まってました!」
「まず、6年生から、
木本慎悟、須藤海の2名。
攻撃とブロック力を考慮して選出しました」
「っしゃ!選ばれた」
「慎悟ずりぃぞ」
「まぁ、洸は能力的に不利よね」
「くそぉ」
「次に5年生から、
旅津沙雪、津田麻由、元原開の3名
それぞれブロック、レシーブ、攻撃力を評価しました」
「え?わたし?なんかしたっけ?」
「やったじゃん、麻由。
開は間違いなく前衛だろうね」
「お前もだろ」
「最後に、4年生からは、
沖和司、片桐朱里、松平駿の3名
冷静さと安定感、攻撃の多彩さを評価しました」
「しゃっ、俺の時代きたぁ!」
「何であんた選ばれてんの!?」
「駿くんすごいじゃん」
「練習の日程は追って連絡します。
試合形式練習も行うため、今回選ばれなかった児童も
ぜひとも参加してみてください」
球技大会の代表が発表され、
各教室がいつも以上ににぎわっている。
「盛り上がっているところ悪いですがもう一つ連絡があります」
植木先生が放送を続ける。
「近頃、市内で行方不明事件が発生しています。
皆さんはできるだけ一人での行動をしないようにしてください」
「「はーーい」」
多くの子どもが放送に対して返事を返した。
「それでは、放送を終わります」
(未解決の行方不明か、、、)
「どうした、司、ビビってんのか?」
「別に」
司はそう言い残して帰った。
「司くんは事件のことより、球技大会めんどうっておもってそう」
「確かに思ってそうだね」
「その割には、負けず嫌いなんだよな~
まぁ、球技大会はこの俺に任せとけ!」
駿が自信満々に胸を張る。
「はいはい、期待しとくしとく」
波溜はそこまで駿に期待していないようだ。
翌日、芽吹小学校の5年生に転入生が来た。
「皆さん、初めまして、糸原結奈です。
本日からよろしくお願いします」
「やったー、転入生だ!」
「4年の司に続き、うちにもくるとわ!」
「はい、朝の連絡をします―――、」
昼休み、5年生たちは予期せぬ転入生、
糸原結奈に興味津々である。
「結奈ちゃんは何で転入してきたの?」
「親の仕事の都合よ」
「何のお仕事してるの?」
「機関で働いてるの」
「すごいじゃん!結奈ちゃんも能力者なの?」
「そうよ」
「どんな能力?見てみたい」
「見せて、みせて」
「うーん、いいよ。
じゃあ、あれ取ってあげる」
教室の後ろにいる結奈は黒板消しを指さした
「え、遠くない?」
「まぁ、見てなさい」
結奈が腕を引くとその動きに釣られて、
黒板消しが結奈の手元へ飛んできた。
「え!うそ!」
「ほんとにこっちに来た」
そして、結奈はそれを右手でキャッチした。
「すごい!何の能力なの?」
「それは内緒よ。
能力の正体は隠せるなら隠した方がいいのよ」
「なんでー?」
「その方が相手を驚かせれるでしょ?」
放課後、下校時間になり昇降口には児童たちが集まっていた。
連日の行方不明事件もあり、集団下校が続いている。
「全員揃った班から帰っていいですよ」
「先生~、うちらの班揃いました~」
「須藤さんの班ですね、気を付けて帰ってください」
「「さようならー」」
司も班員がそろい、帰路についた。
司の班の班長は金縛りの能力を使う布野丈巳だ。
「司、今日5年にも転入生が来た」
「へぇ、丈巳さんが話してくるなんて珍しい。
面白い奴だったんですか?」
「能力者だったからな、興味あるだろ?」
「そうですねぇ、代わりに選抜にでてくれねぇかな」
「遠くにあるものを手元に持ってきてた。
糸原結奈って奴なんだけどな」
(糸原、結奈?)
「何だその顔、知り合いか?」
「昔の学校に同じ名前のやつがいたなって思っただけです」
「彼女か?」
「違いますよ」
「なんだ、期待して損した」
「丈巳さんってそういう話するんすね」
「人の色恋沙汰は面白いからな」
「らしいっちゃらしいですね」
その日の夕方、
芽吹小学校校区内にあるなかよし公園で
赤城洸が能力の特訓をしていた。
「くそー、何で俺が代表に選ばれねぇんだ!
確かに、バレーでは使い道の少ない能力ではあるが、、、
あ゛ー、特訓だー!!」
一通り叫んだあと、洸は考えた、
(昨日はむしゃくしゃして走り込んだ、
今日は何をするべきだ、俺の能力は、足が速くなること。
俺にできないことは、、、小回りか)
洸は今日の特訓を決めると
公園の隅に荷物を置いた。
「ん、なんだこの箱」
洸は桜の木の下に古びた箱が落ちているのを見つけた。
「汚ねぇ箱だな。誰かの忘れ物か?」
洸はあたりを見渡したが、それらしい人は見当たらない。
「、、、、、、ちょっと開けてみるか」
特殊能力のある世界 第25話 ご覧いただきありがとうございます。
芽吹小学校に2人目の転入生 糸原結奈 が来ましたね。
やっと、この名前を出せた感があります。
初期構想の時点では結奈ではなく、別の名前だったのですが、
それは作成上の裏話ですね。
今回選抜代表に選ばれなかった 赤城洸。
頑張って特訓をしておりますが........
次回、26話は9月14日(木) 20時ごろ更新予定です。
糸原結奈の登場と新たな事件
新シーズンも伏線あります!
周りに読んでる友達がいる人は今後の展開予測してみてください。
球技大会編は第9話~第18話です。