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第22話 犬と鷹と狐

芽吹小学校の4年生たちは能力者犯罪捜査機関葉泉支部に社会化見学に来ている。

案内人の景山から、説明を受け戦闘訓練の見学をしていた。

景山(かげやま)と少年による戦闘訓練を見学し終わった子どもたちは

最初に説明を受けた会議室で待機していた。


「2戦目もすごかったな!

飛んでくるくないを避けて攻撃するとかできねぇわ」

「あの動体視力はスポーツにも活かせそうだよね」

「ドッヂボール強いかも」

「お面の人も銃弾避けてたし、

駿くんも入ったらできるようになるのかな?」

「当り前よ、そのための訓練だ」

「あんたには20年かかりそうね」

「んなことねぇよ、見てろ!」

「見てろって何をよ」

「俺のドッヂボールの上達度をだよ」


(駿くん、話変わっちゃってるよ...)


会議室の扉が開き、右ほほを手当てした景山が入ってきた。

「そんなに言うなら、松平君はボール避けでも体験してみますか?」

「「ボール避け?」」

皆が首を(かし)げた。

「俺が投げる10個のスポンジボールを避けるだけの訓練です。

ただし、動ける範囲は2m×2mの四角形の中のみ」

「やってみたいです!」

「よし、全員第1訓練室に移動しますよ」


一同は第1訓練室に移動した。

「入ってみると思っていたより広いんですね」

「第1訓練室は障害物(しょうがいぶつ)がないからね。

さ、松平君はそこの四角形の中に立って」

「この中しか動けないのか...」

駿は四角形の中を歩いて範囲を確認している。


「ボールを投げるタイミングは俺の自由、

1個ずつ投げるとは限らないから、俺の動きも見とけよ」

そう言うと景山は1個目を思いっきり投げた。


(1個なら避けれるぜ)

駿はしゃがんでボールを避けた。


「お、ちゃんと避けたな」

景山は続いて大きな放物線を描くようにボールを上に投げた。

「景山さん、そんな山なりのボール避けれますって」

駿は余裕の笑みを浮かべながら、ボールを見上げる。


―ポコッ、ポコポコッ―

「げっ...」

床には駿の体に当たったボールが3個転がっている。

(くそ、上のボールに気を取られた...)

その時、駿の頭にボールが落ちてきた。

早くも、4個目の被弾(ひだん)だ。


「はっはー、まだまだだな。

複数投げるって言っただろ」

景山が高らかに笑っている。


「駿くんがんばってー」

「駿くん、足使って足」

[がんばれ、がんばれ!]

「あんた、当たりすぎだって」

皆が駿を応援している。


その後も緩急(かんきゅう)をつけて投げられるボールに翻弄(ほんろう)され、

駿は10個中2個しか避けることができなかった。


「くそー、全然だめだった」

「やっぱ20年かかるんじゃないの?」

波溜が駿を茶化(ちゃか)した。

「20年...30歳かー」

「30歳なら、まだ機関で活躍できるぞ、

地道に頑張れよ!」

景山が駿の肩を叩く。


「よし、次はオフィスに案内するのでついてきてください」

子どもたちは景山についてオフィスへと入る。


「ここが普段仕事をしているオフィスです」

子どもたちはオフィス内を見渡す。

部屋の一番奥には支部長のデスクがあり、

その前には6つの机が島を作っている。

各机にはノートパソコンとモニターが置かれており、

いかにも会社のオフィスという感じだ。


「さて、ここが俺らが仕事をしているオフィス、

まぁ何か特別なものがあるって訳ではないな。

奥の机に座ってるのがここの支部長である橋本(はしもと)千陽(ちはる)さん。

手前の机に座って仕事をしているのが配属2年目の新人、松浦(まつうら)優莉(ゆうり)さんです」

松浦が子どもたちに手を振る。


「あの、さっきの男の子は?」

朱里が景山に訊ねた。

「あいつは休憩室で寝てるよ。

机は俺と優莉の間」


省吾(しょうご)さん、この子たちが芽吹小の4年生~?」

松浦優莉が近づいてきた。

「お姉さんはどんな能力なんですか?」

和華が優莉にきいた。

「んー、気になる人~?」

皆が返事とともに手を挙げた。

「全員か~、まぁそうだよね」

松浦はカバンの中から剣士の格好をした犬のぬいぐるみを取り出した。

「ぬい、ぐるみ?」

「あ、もしかして!動物の兵隊?」

「あったり~! “犬の剣士(ドッグフェンサー)” GO!!」

すると犬のぬいぐるみは煙に包まれ、

身長150cmほどの2足歩行の犬が現れた。


「すげー、アニメのキャラクターみたいだ」

「かわいい!」

「すごいでしょ?2体までなら同時に出せるのよ。

犬の剣士(ドッグフェンサ―)” COME BACK!!」

犬の剣士は2,30cmのぬいぐるみに戻った。


「「他にも見せてください!」」

「いいよー、じゃぁ。 “タカメラ” TAKE OFF!」

今度は体長約50cmの(たか)が現れた。

「ぬいぐるみだったのに自分で飛んでる!?」

「この子が見ている映像は私のスマホで見れるのよ。

もちろん、録画もできるの」

松浦は子どもたちにスマホの画面を見せる。


「もっとみたいです!」

「他の動物の役割気になります」

「だーめ、2体同時に出すのは疲れるんだから。

1体の実体化を維持するのも大変なのよ。」

「「えーーーーー」」

子どもたちは残念そうに肩を落とす。


「優莉ちゃーん」

橋本支部長が松浦を呼んだ。

「千陽さん、どうしました?」

「そろそろ、銀行強盗事件の報告会に行く時間よ。

資料すべてに印鑑(いんかん)押しておいたから忘れずに持って行ってね」

「あ、ほんとだ。もうこんな時間。

じゃあ、皆またね」

「「いってらっしゃーい」」

松浦は資料をまとめ、カバンに詰めると葉泉警察署にむかった。


「動物たちに指示をだして戦うのいいなぁ」

「うちもああいう能力がよかった」

「俺はもっとかっこいい動物がいいな」

「拓也のかっこいい動物って、サメだろ?」

「陸上でもいるよ!好きな動物くらい」

「「例えば~?」」

「えーーと...」


―ブゥーン、ブゥーン、ブゥーン、ブゥーン―


突如、建物内にサイレンが鳴り響く。


「なに?この音」

「お、俺は何もしてねぇぞ」

「そんなことは分かってるわよ」

「はい、皆さん落ち着いて静かにしましょう」

青屋先生が子どもたちを落ち着かせる。


「景山!」

「はい!」

橋本支部長は立ち上がり窓から外を眺め、

景山は急いでパソコンを起動させた。

「支部長、宝石店強盗のようです。それも...」

「ここの目の前とはね」

「どうします?子どもたちの安全確保と

警察への対応の人手も必要ですが」

「今日に限って優莉ちゃんも出ちゃったし」

橋本支部長が景山と青屋先生を見る。


「俺が出ますよ」

狐の面を被った少年がオフィスに入ってきた。

「俺が子どもたちの相手をするよりいいんじゃないんですか?」

「そうね、お願い。

景山はここで子どもたちの安全確保、警察対応は私がする」

「かしこまりました」


少年も窓から外を確認する。

「現場はあそこですか。犯人は2人ですね。

じゃあ、いってきます。」

少年が子どもたちの間を通ってオフィスを出ようとすると、

朱里が声を掛けた。

「ねぇ、」

「ん?」

「いや、、、気を付けて、」


「なぁ、あの人俺とそんなに身長変わんなかったぞ」

駿が波溜につぶやいた。

「何で、あんたは身長で判断するのよ。

それにあの人の方が少し高かったでしょ」


「景山さん、警察からの協力要請なしに動いていいんですか?」

「お、峰石君はよく覚えてるね。

この辺りで起きる犯罪は特例。立地的に俺らの方がすぐ現場に迎えるからね。

だから、周辺のお店や会社にはここにつながる警報装置があるんだ」

「たしかに、早く駆けつけてくれる方がいいですね」



狐のお面を被っ少年は宝石店の前に立つ。

(ふぁ~、ねむたい)



特殊能力のある世界 第22話 ご覧いただきありがとうございます。


ついに、動物の兵隊の能力者が出てきましたね。


現在判明している葉泉支部の捜査官は

支部長 橋本千陽をはじめ、景山省吾、松浦優莉

そして狐の面の少年も机が用意されてましたね。

残る3つの机は誰のものなのか、楽しみにしてください。


次回23話は8月26日(土) 20時頃更新予定です。


そろそろ、インスタにベース演奏を上げる予定です。

ぜひともフォローお願いします

06yuuha10 幽波 (ゆうは)フォローお願いします<m(__)m>


ちなみに銀行強盗の話は第9,10,13,16話で触れてます


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