第21話 戦闘訓練
特殊能力のある世界 第21話
芽吹小の4年生たちが戦闘訓練を見学しているところからです。
狐の面を被った少年は木刀を握り直し、
銃を構える橋本支部長に正面から距離を詰める。
「正面からなんて、余程の自信ですね」
そう言うと、左右の銃から3発ずつ計6発の弾丸が放たれた。
「すげぇ、あいつ銃相手に正面から行きやがった」
少年は飛んでくる弾丸全てを木刀で叩き落すと
橋本支部長の顎に蹴りをいれようとするが、
両手で受け止められてしまう
「あぶない、あぶない」
「そんな風には見えませんよ」
そういうと少年は距離を取り、石柱の後ろに隠れた。
(今撃ったので、さっきのリロードから10発ずつ撃ってる。
残りは左右2発ずつ、賭けに出るか)
少年は石柱から上着を投げた。
それを、橋本支部長は2回撃ち抜いた。
(!?フェイク)
少年は上着を投げた反対側から接近する。
(あと、2発撃ってこい)
橋本支部長は横に跳びながら2発打ち込むが、
少年はそれを避けた。
(いける!)
地面を思いっきり蹴ると、その勢いで突きを放った。
―ガキンッ―
少年の突きは銃身で受け止められた。
もう一方の木刀で殴りかかるが、
足払いでこかされたうえ、小型の銃を向けられる。
「予備の銃、ですか」
「そっ、最近携帯するようにしてるの。
気づかなかった?」
「気づきませんでしたね」
「能力で気づかれるかとも思ったけどね」
「物体同士の境界が曖昧だったので、わかりませんでしたよ」
その時、訓練室のタイマーが鳴った。
「また、俺の負けですか」
「そうね~」
「ここの支部長は3つも銃を使うのか!
「橋本支部長は銃が得意だからね。
もっとも、警察の許可がないと外では使えないんだけど...」
「この訓練見て思ったんですけど、景山さんが空間を消す能力者ですか?」
「お、そうだよ。よく知ってるね」
「景山さんの戦っているところみたいです!!」
「いやー、俺は君たちの案内があるからなー」
「いいんじゃない?私と交代すれば」
橋本支部長が見学室に入ってきた。
「あ!さっきの人だ」
「もう一人の人は?」
「彼なら訓練室で景山を待ってるよ」
「、わかりました、5分だけですよ」
現在、第2訓練室では
景山省吾と狐の面を被った少年が対峙している。
「千陽さんと景山さんのお二人と訓練ができるなんて、
たまには良い事もあるもんですね」
「松平君に迫られてしまってね」
景山は苦笑いをしている。
「『空間を消す』ってワードが気になるんですよ。小学生ですから」
訓練室のスピーカーから橋本支部長の声が流れてくる。
「はーい、二人とも準備良い?訓練始め!」
「お前、連戦なのに大丈夫か?」
「もちろん、大丈夫ですよ」
「そうか、それならいいんだ」
景山はトンファーを握り近づいてくる少年に右手を向けた。
すると、少年はすぐさま石柱の陰に隠れる。
(さすがに警戒はしてるか)
「おーい、来ないならこっちから行くぞ」
景山は少年の隠れてる柱へ歩みを進め始める。
「景山さんの能力って、あの手に仕掛けがあるんですか?」
駿が訓練の様子にかじりつきながら訊ねた。
「景山は自分と物体の距離を一瞬で0にすることができます」
「じゃあ、うちらが聞いた『空間を消す』っていうのは...」
「一瞬で距離が0になるので景山本人がそう言っているんですよ」
「でもあんま戦闘って感じじゃないんだな。
景山さん武器とかもたねぇのか」
(このまま隠れてても埒が明かねぇな)
少年はタイミングを計り、正面から景山を殴りに行く。
「お、やっと出てきたな」
景山は右手をかざすと5mはあった二人の距離が一瞬で縮まった。
(くっ、近すぎる)
少年は攻撃のタイミングをずらされ、
景山からのボディブローを喰らい、元居た位置まで吹き飛ばされた。
「すげぇ、殴っただけであんなに飛ぶのか!」
「あれは景山の能力が切れて、元の位置に戻っただけですよ」
「でも、何であいつは殴らなかったんだ?」
「殴らなかったんじゃなくて、殴れなかったんです。
急に距離が縮まって、攻撃の準備が間に合わなかったんですね」
「そういうことかー」
((駿くん絶対に理解できてない))
「どうだ?腹を殴られるなんて最近なかっただろ?」
「そうです、ね、」
少年は右脇腹を押さえながら立ち上がった。
しかし、再び景山が右手を向ける。
(隠れる暇がねぇな)
少年は景山の能力の直前に左手のトンファーを景山に投げた。
(あの人、トンファーを投げた!?)
そして、景山の能力が発動するが、
景山の眼前にはまずトンファーが迫る。
(なっ!?)
景山は顔と脇腹に一発ずつトンファーでの攻撃を喰らった。
「すげぇ、2発やり返した」
「お前、投げたのはいいが、それ拾えるのか?」
「拾えないですね」
少年はウェストポーチからくないを取り出した。
特殊能力のある世界 第21話 ご覧いただきありがとうございます。
景山が空間を消す能力者であることが明かされましたね。
前回から伏線はあったんですけどね。
さて、次回 第22話は8月20日20時ごろに更新します。
お盆休みも終わり、明日から仕事
学生は夏休みあと2週間
現実に引き戻される感覚嫌ですね。
最近はLaQにはまっていろいろ組み立ててます。




